魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
オーディンはその魔法陣は知ってはいたが、実際使ったことはない。
本来神とは他の神と交流を持たず、単独で行動していることが多い。
オーディンもその例にもれず、今までふらふらと世界を放浪し、時には人と触れ合って生きてきたが…
「その魔法陣は…」
『死神、召喚』
――不敵な笑みを浮かべたコハクがルーン語で呼び出したのは、滅多に人前に姿を見せない神…死神だった。
赤い魔法陣の中から姿を現わした男は、真っ黒なローブを着て、真っ黒なフードを目深に被っていた。
鼻の辺りまで隠れているのでその表情を窺い知ることができず、ラスは傾けられるだけ首を傾けて突然現れた男の顔を覗き込んだ。
「わ…綺麗」
真っ白な肌に薄い唇、目元は少し垂れ、真っ黒な瞳をした優しげな男だった。
が…手にしているのは、巨大な鎌。
一瞬目が合ったが無表情で、すぐに目を逸らされてしまった。
「よう、デス。久しぶりだな」
「…」
コハクは親しげに話しかけたが、“デス”という男は無言で鎌に目を遣った。
デスの出現に驚きを隠せないオーディンは杖を握りしめると、デスから距離を置くように数歩後ずさりした。
「その鎌では私を殺すことはできませんよ。どうするつもりなんですか?というか…死神と交流があったとはね。あなたは本当に私を驚かせてくれますね」
「デスか?こいつは酒飲み友達なんだよ。な、デス」
…だが相変わらずデスは無言で、さっきからラスがしきりにデスに手を伸ばして触れようとしているので躍起になって無理矢理首筋に顔を埋もれさせると、人差し指をちょいちょいしてデスに関心を引かせた。
「ちょっとその鎌貸せよ。すぐ返すからさ」
「……」
「チビ、ちょっと降りてろよ。…おい、なに俺の天使ちゃんガン見してんだ?ちょびっとでもやらしい目で見たらお前のその顔大嫌いな太陽の下で晒してやるからな」
「………貸す」
ようやく小さな返事が聴こえ、ひときわハスキーでセクシーな声にますますラスの関心を引いてしまった。
「この鎌にー、これをかけまーす」
パンツの後ろポケットから出したのは、小さな布袋だった。
本来神とは他の神と交流を持たず、単独で行動していることが多い。
オーディンもその例にもれず、今までふらふらと世界を放浪し、時には人と触れ合って生きてきたが…
「その魔法陣は…」
『死神、召喚』
――不敵な笑みを浮かべたコハクがルーン語で呼び出したのは、滅多に人前に姿を見せない神…死神だった。
赤い魔法陣の中から姿を現わした男は、真っ黒なローブを着て、真っ黒なフードを目深に被っていた。
鼻の辺りまで隠れているのでその表情を窺い知ることができず、ラスは傾けられるだけ首を傾けて突然現れた男の顔を覗き込んだ。
「わ…綺麗」
真っ白な肌に薄い唇、目元は少し垂れ、真っ黒な瞳をした優しげな男だった。
が…手にしているのは、巨大な鎌。
一瞬目が合ったが無表情で、すぐに目を逸らされてしまった。
「よう、デス。久しぶりだな」
「…」
コハクは親しげに話しかけたが、“デス”という男は無言で鎌に目を遣った。
デスの出現に驚きを隠せないオーディンは杖を握りしめると、デスから距離を置くように数歩後ずさりした。
「その鎌では私を殺すことはできませんよ。どうするつもりなんですか?というか…死神と交流があったとはね。あなたは本当に私を驚かせてくれますね」
「デスか?こいつは酒飲み友達なんだよ。な、デス」
…だが相変わらずデスは無言で、さっきからラスがしきりにデスに手を伸ばして触れようとしているので躍起になって無理矢理首筋に顔を埋もれさせると、人差し指をちょいちょいしてデスに関心を引かせた。
「ちょっとその鎌貸せよ。すぐ返すからさ」
「……」
「チビ、ちょっと降りてろよ。…おい、なに俺の天使ちゃんガン見してんだ?ちょびっとでもやらしい目で見たらお前のその顔大嫌いな太陽の下で晒してやるからな」
「………貸す」
ようやく小さな返事が聴こえ、ひときわハスキーでセクシーな声にますますラスの関心を引いてしまった。
「この鎌にー、これをかけまーす」
パンツの後ろポケットから出したのは、小さな布袋だった。