魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その布袋の中に手を入れ、取り出したのは…単なる土のように見えた。
ラスはコハクの腰に抱き着きながらその土に触れ、コハクを見上げた。
「土?これ…どうしたの?」
「俺さあ、長いこと生きてて結構いろんな研究してきたんだけど、これは誰だったかなー、人間じゃねえ奴から貰ったんだ。…“神殺しができる土だ”って言ってた。試してみようかなーと思ってさ」
「…土…まさか…あの場所の…!?」
オーディンがよろめいて顔面蒼白になったので、ひとりきょとん顔のラスは今度はデスを見上げ、ゆったりとしたローブの袖から見えている指先を見てあんぐりと口を開けた。
「…骨…」
手首から下だけが骨。
デスはその手を見られても相変わらず表情は動かなかったが、土から目を離さなかった。
「どこの土だか知ってるみたいだな。じゃーやっぱり本物かー。保管しといて正解だったぜ」
「コー…オーディンさんを殺しちゃうの?」
――それまでにやついていたコハクはすっと表情を消すとラスを見下ろし、赤い瞳を細めた。
「俺とチビを引き離した。理由はそれだけで十分だ。チビ、邪魔すんなよ」
説得してもラスは悲しそうな顔をして腰のあたりのシャツをきゅっと掴み、デスはコハクに手を差し出し、小さく笑んだ。
「……早く」
ラスが唇を引き結んで俯いたのでそれが気にはなったが、コハクにとっては長年をかけてようやく出会えたラスと引き離され、ずっと求めていたものを知っていたのにそれを攫ったオーディンに対して慈悲の心は持ち合わせていない。
「…まあ待てって」
柄が長い鎌を目線まで持ち上げて離すとふわりと浮き、コハクはその鎌に例の土を振りかけた。
またオーディンが1歩後ずさり、そうしつつも嬉しそうに笑ったのをラスは見逃さなかった。
「私と死神を戦わせるつもりなんですね?ディスペルといい、死神の召喚といい…体力も気力ももう限界なのでは?」
「お前をぶっ殺してからたっぷり寝るさ。チビと一緒にー」
今度は右手に業火を生み出し、銀色だった鎌が土を受けて黒く鈍く光り、その炎を鎌に向かって投げると鎌は黒い炎に包まれ、邪悪なオーラを噴き出した。
…完成した。
ラスはコハクの腰に抱き着きながらその土に触れ、コハクを見上げた。
「土?これ…どうしたの?」
「俺さあ、長いこと生きてて結構いろんな研究してきたんだけど、これは誰だったかなー、人間じゃねえ奴から貰ったんだ。…“神殺しができる土だ”って言ってた。試してみようかなーと思ってさ」
「…土…まさか…あの場所の…!?」
オーディンがよろめいて顔面蒼白になったので、ひとりきょとん顔のラスは今度はデスを見上げ、ゆったりとしたローブの袖から見えている指先を見てあんぐりと口を開けた。
「…骨…」
手首から下だけが骨。
デスはその手を見られても相変わらず表情は動かなかったが、土から目を離さなかった。
「どこの土だか知ってるみたいだな。じゃーやっぱり本物かー。保管しといて正解だったぜ」
「コー…オーディンさんを殺しちゃうの?」
――それまでにやついていたコハクはすっと表情を消すとラスを見下ろし、赤い瞳を細めた。
「俺とチビを引き離した。理由はそれだけで十分だ。チビ、邪魔すんなよ」
説得してもラスは悲しそうな顔をして腰のあたりのシャツをきゅっと掴み、デスはコハクに手を差し出し、小さく笑んだ。
「……早く」
ラスが唇を引き結んで俯いたのでそれが気にはなったが、コハクにとっては長年をかけてようやく出会えたラスと引き離され、ずっと求めていたものを知っていたのにそれを攫ったオーディンに対して慈悲の心は持ち合わせていない。
「…まあ待てって」
柄が長い鎌を目線まで持ち上げて離すとふわりと浮き、コハクはその鎌に例の土を振りかけた。
またオーディンが1歩後ずさり、そうしつつも嬉しそうに笑ったのをラスは見逃さなかった。
「私と死神を戦わせるつもりなんですね?ディスペルといい、死神の召喚といい…体力も気力ももう限界なのでは?」
「お前をぶっ殺してからたっぷり寝るさ。チビと一緒にー」
今度は右手に業火を生み出し、銀色だった鎌が土を受けて黒く鈍く光り、その炎を鎌に向かって投げると鎌は黒い炎に包まれ、邪悪なオーラを噴き出した。
…完成した。