魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスはどす黒いオーラを噴きだす鎌から目が離せず、吐き気のようなものを感じた。
胃を押さえて少しだけ前かがみになると、オーディンを倒すことしか頭にないコハクはこの時ラスから目を離し、だがビーストはラスの微かな異変に気付いていた。
「あいつ…様子が…」
だが近づけない。
巨大で重たそうな鎌をいとも簡単に振り上げ、口角を上げながら足音もなくオーディンに忍び寄ったその死神…デスの姿と、デスを召喚した真っ黒な男…
しかも隻眼でいて優男のオーディンが杖で大地をこつんと叩くと、そこから内側に生えた2本の角を持ち、蝙蝠のような翼の生えた赤銅色の肌の魔物が数匹湧き出てくると、ラスが悲鳴を上げた。
「きゃ…っ」
「こ、こっちに来い」
ビーストもその異形の魔物に面喰いつつもラスに手招きしたが、ラスは脚ががくがく震えて歩くことができず、その魔物たちに向かってデスが鎌を一閃させると、魔物たちは一斉に骨だけになり、からからと音を立てて大地に散らばった。
「コハク様、私はあなたと戦いたいんです。さあ、あなたの愛刀で向かって来なさい」
「ちっ、お望みの通りにしてやるよ」
「コー…、コー…っ」
「チビ、待ってろよ。すぐ終わるからな」
そしてコハクが胸に手を突っ込み、そこから刀身も鞘も真っ黒な長剣を取り出すと、左手で業火の火球を生み出してオーディンに投げつけると、爆風で長い髪がなびき、片腕で顔を庇った。
魔法使いでありながら剣も振るう。
長い人生を生きてきたコハクは暇つぶしのために剣にも手を出し、オーディンに向かって走り込んでゆく。
「コーっ、私…私…なんか…変…」
「デスと俺の両方を1度に相手にするなんざふざけた奴だぜ。その鎌に少しでも触れるとお前は死ぬんだぞ。俺が引導を渡してやるよ!」
「コー………、私………」
ずるずるとラスが座り込み、意を決したビーストが駆け寄ってラスを抱き起すと、ラスは両手で口を覆い、顔面蒼白になっていた。
「チビ!?ど、どうしたんだ!?」
「気持ちわる……、吐きそ…っ」
コハクは剣を放り出し、ラスに駆け寄った。
胃を押さえて少しだけ前かがみになると、オーディンを倒すことしか頭にないコハクはこの時ラスから目を離し、だがビーストはラスの微かな異変に気付いていた。
「あいつ…様子が…」
だが近づけない。
巨大で重たそうな鎌をいとも簡単に振り上げ、口角を上げながら足音もなくオーディンに忍び寄ったその死神…デスの姿と、デスを召喚した真っ黒な男…
しかも隻眼でいて優男のオーディンが杖で大地をこつんと叩くと、そこから内側に生えた2本の角を持ち、蝙蝠のような翼の生えた赤銅色の肌の魔物が数匹湧き出てくると、ラスが悲鳴を上げた。
「きゃ…っ」
「こ、こっちに来い」
ビーストもその異形の魔物に面喰いつつもラスに手招きしたが、ラスは脚ががくがく震えて歩くことができず、その魔物たちに向かってデスが鎌を一閃させると、魔物たちは一斉に骨だけになり、からからと音を立てて大地に散らばった。
「コハク様、私はあなたと戦いたいんです。さあ、あなたの愛刀で向かって来なさい」
「ちっ、お望みの通りにしてやるよ」
「コー…、コー…っ」
「チビ、待ってろよ。すぐ終わるからな」
そしてコハクが胸に手を突っ込み、そこから刀身も鞘も真っ黒な長剣を取り出すと、左手で業火の火球を生み出してオーディンに投げつけると、爆風で長い髪がなびき、片腕で顔を庇った。
魔法使いでありながら剣も振るう。
長い人生を生きてきたコハクは暇つぶしのために剣にも手を出し、オーディンに向かって走り込んでゆく。
「コーっ、私…私…なんか…変…」
「デスと俺の両方を1度に相手にするなんざふざけた奴だぜ。その鎌に少しでも触れるとお前は死ぬんだぞ。俺が引導を渡してやるよ!」
「コー………、私………」
ずるずるとラスが座り込み、意を決したビーストが駆け寄ってラスを抱き起すと、ラスは両手で口を覆い、顔面蒼白になっていた。
「チビ!?ど、どうしたんだ!?」
「気持ちわる……、吐きそ…っ」
コハクは剣を放り出し、ラスに駆け寄った。