魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが半狂乱になり、血の海の中で座り込むとみるみる足元からどす黒い血に染まっていった。
「やだ、コー、やだ!死んじゃったの!?リロイが殺したの!?コーは死なないんだから!コーは強いんだから死なないもん!」
「ラス!魔王は死んだんだ!死体はどこに行ったか分からないけど…僕に“チビを頼む”って言って死んだんだ!」
「嘘!そんなひどい嘘つかないで!また私をからかってるだけなんだから!コー、早く出て来てよ!本気で怒るんだから!コー!」
「ラス!?」
――騒ぎを聞きつけたグラースとティアラが部屋に飛び込んできた。
血の海をばしゃばしゃと手で叩き、その血が跳ねてまるで血の涙を流しているようなラスを見て…絶句した。
「これは…一体…」
「リロイ…!あなた、まさか…魔王を!?」
「コー!早く!早く出てきて!コー!」
ラスは叫び続け、リロイは唇を噛み締めてそんなラスを瞬きひとつせずに凝視している。
瞬時にしてティアラとグラースは何が起こったのかを察知し、ベッドの傍で転げている魔法剣に目を遣った。
「また…あれに心を奪われたのか」
「…僕が…魔王を殺しました。目を離した隙に消えましたが…」
「ひどいよリロイ!コーが何をしたの!?私はコーの…コーのお嫁さんに………」
「ラス!?」
ぶつりとラスの意識が途絶え、魔法剣でコハクを刺した時のように、コハクの血の海に倒れ込んだ。
――その光景はまるでラスが血を流して死んでいるように見えた。
「リロイ!本当にあなたが魔王を殺したのですか!?」
「僕が…殺しました。僕が…魔王を…!」
…後悔しているのが目に見えるが、それでも2人が幸せ絶頂の時にコハクの命を奪ったこと――ラスの慟哭は計り知れない。
「…ゴールドストーン王国へ連れて帰ります。ラスの目が覚めてまた錯乱すると大変なので…ティアラ、魔法でラスを眠らせて下さい」
「…わかりました…」
ティアラの瞳から涙が溢れ出た。
ラスの瞳からは、血のような涙が。
グラースは、黙ったままだった。
「やだ、コー、やだ!死んじゃったの!?リロイが殺したの!?コーは死なないんだから!コーは強いんだから死なないもん!」
「ラス!魔王は死んだんだ!死体はどこに行ったか分からないけど…僕に“チビを頼む”って言って死んだんだ!」
「嘘!そんなひどい嘘つかないで!また私をからかってるだけなんだから!コー、早く出て来てよ!本気で怒るんだから!コー!」
「ラス!?」
――騒ぎを聞きつけたグラースとティアラが部屋に飛び込んできた。
血の海をばしゃばしゃと手で叩き、その血が跳ねてまるで血の涙を流しているようなラスを見て…絶句した。
「これは…一体…」
「リロイ…!あなた、まさか…魔王を!?」
「コー!早く!早く出てきて!コー!」
ラスは叫び続け、リロイは唇を噛み締めてそんなラスを瞬きひとつせずに凝視している。
瞬時にしてティアラとグラースは何が起こったのかを察知し、ベッドの傍で転げている魔法剣に目を遣った。
「また…あれに心を奪われたのか」
「…僕が…魔王を殺しました。目を離した隙に消えましたが…」
「ひどいよリロイ!コーが何をしたの!?私はコーの…コーのお嫁さんに………」
「ラス!?」
ぶつりとラスの意識が途絶え、魔法剣でコハクを刺した時のように、コハクの血の海に倒れ込んだ。
――その光景はまるでラスが血を流して死んでいるように見えた。
「リロイ!本当にあなたが魔王を殺したのですか!?」
「僕が…殺しました。僕が…魔王を…!」
…後悔しているのが目に見えるが、それでも2人が幸せ絶頂の時にコハクの命を奪ったこと――ラスの慟哭は計り知れない。
「…ゴールドストーン王国へ連れて帰ります。ラスの目が覚めてまた錯乱すると大変なので…ティアラ、魔法でラスを眠らせて下さい」
「…わかりました…」
ティアラの瞳から涙が溢れ出た。
ラスの瞳からは、血のような涙が。
グラースは、黙ったままだった。