魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
女の友情は意外な所で発揮される。


「ラス王女、これを持ってきたわ。バラの花びらつきのオイルよ」


「わあっ、ありがとう!すごくいい香り!」


王族専用の大きなバスタブにラス、ローズマリー、ティアラ、グラースが入ると、ローズマリーは成長したラスに瞳を細めた。


「綺麗になったし希望通り胸も大きくなったわね。ああコハクが興奮する姿が目に浮かぶわ」


一通り自分でなんでもできるようになったラスが自分で髪を洗い、身体を擦っている姿を眺めつつ、コハクが“俺が全部やるし!”と怒る姿も目に浮かび、ローズマリーはつい爆笑しそうになっていた。


「コー…誉めてくれるかなあ。髪も毛先そろえた方がいいのかな…」


急にそわそわし始めたラスが鏡を覗き込んでいると、全員ががボディソープを手ににじり寄った。


「私たちで綺麗にしてあげる。使者は数日中に来るって言ってたでしょ?コハクに綺麗だって言ってもらえるようにしてあげるから、さあ!」


「きゃーっ!くすぐったい!」


寄ってたかってラスを磨き上げて大満足した面々は久々の女子会ということもあってかテンションが最高潮に高まり、部屋に戻るとクローゼットを物色してラスを着せ替え人形にして楽しみまくった。


「綺麗だからなんでも似合うわね。ああでもこれがいいわ。真っ白なマーメイドドレス。これにしましょうよ」


「じゃあ私は朝露のミストで髪を梳かしてあげる」


「では私は化粧を」


ラスも皆のしたいがままにされつつ自身も楽しみ、全てが終わるとバルコニーに出て暮れ行く空を見上げた。



「神様…使者を遣わして下さるのなら早く…早く…。コーに会いたいんです。お願いします」



そう呟き、オーディンとリロイがディナーを誘いにラスの部屋を訪れた時――


空が一瞬光り、その光はどんどん近くなってきて、肉眼でもはっきりとその姿を捉えることができた。



「お、オーディンさん…使者って…」


「ええ、あれが使者です。…神の鳥ですよ」



大きな翼をばさりと広げ、バルコニーに止まったのは…


朱い鳥と、碧い鳥だった。

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