魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
大きな鳥だった。
クジャクほどの大きさで、驚いて言葉の出ないラスに対して2羽は首を傾げるような仕草をしながら1度畳んだ翼をまた大きく広げた。
「あ、あの…鳥さんが神様の使者なの?」
「そうだ。お前の願いが神に届き、俺たちはここへやって来た」
「しゃ、喋った…!すごい…すっごく綺麗…」
恐る恐る朱い鳥の方に手を伸ばし、やわらかくも艶やかな翼を撫でるとうっとりとした表情で朱い瞳を閉じた。
――彼らは“神の鳥”と呼ばれる神の代行者。
時に世界のあちこちで確認され、神にまで届く悲痛な叫びと願いを叶えるために現れる。
かつてオーディンも世界中の全ての知識を得るために左目を代償に神から願いを聞き入れてもらった。
その時にも、この2羽の鳥はやって来たことがる。
「コーの居る所を知ってるの…?お願い、教えて下さい」
「知っている。知っているが、この世界には居ない。コハクという男は全く違う世界でつい先日目覚めた」
「え…全く違う世界って…」
ラスが戸惑っていると、碧い鳥は手すりから飛び降りて翼を畳むとうずくまった。
そうしているうちに碧い鳥は白い光に包まれ、ラスたちが目を庇っていると、目の前には…見知らぬ男が立っていた。
「え…、え?碧い鳥さんはどこに…」
「俺がそうだ。ラス、と言ったな。違う世界へ行く覚悟はあるか?もうあちらに連絡はつけてある。後はお前が決めるんだ」
男は、見たこともないほどに美しい美貌の持ち主だった。
金の髪に碧い瞳…
背はコハクと同じ位高く、真っ白な肌をしていた。
やわらかく笑んだ男にぽうっとしてしまうと、朱い鳥が男を叩くようにして翼で背中を殴り、男が苦笑するとラスに手を差し伸べる。
「仲間は連れて行けない。お前ひとりの危険な旅になる。どうする?」
「…行きます。連れて行って下さい。コーの所に…。コーに会いたいの!」
「わかった。では仲間と別れを」
――ラスが室内を見渡した。
皆は揃って頷き、ラスに歩み寄った。
健闘を称えるために。
クジャクほどの大きさで、驚いて言葉の出ないラスに対して2羽は首を傾げるような仕草をしながら1度畳んだ翼をまた大きく広げた。
「あ、あの…鳥さんが神様の使者なの?」
「そうだ。お前の願いが神に届き、俺たちはここへやって来た」
「しゃ、喋った…!すごい…すっごく綺麗…」
恐る恐る朱い鳥の方に手を伸ばし、やわらかくも艶やかな翼を撫でるとうっとりとした表情で朱い瞳を閉じた。
――彼らは“神の鳥”と呼ばれる神の代行者。
時に世界のあちこちで確認され、神にまで届く悲痛な叫びと願いを叶えるために現れる。
かつてオーディンも世界中の全ての知識を得るために左目を代償に神から願いを聞き入れてもらった。
その時にも、この2羽の鳥はやって来たことがる。
「コーの居る所を知ってるの…?お願い、教えて下さい」
「知っている。知っているが、この世界には居ない。コハクという男は全く違う世界でつい先日目覚めた」
「え…全く違う世界って…」
ラスが戸惑っていると、碧い鳥は手すりから飛び降りて翼を畳むとうずくまった。
そうしているうちに碧い鳥は白い光に包まれ、ラスたちが目を庇っていると、目の前には…見知らぬ男が立っていた。
「え…、え?碧い鳥さんはどこに…」
「俺がそうだ。ラス、と言ったな。違う世界へ行く覚悟はあるか?もうあちらに連絡はつけてある。後はお前が決めるんだ」
男は、見たこともないほどに美しい美貌の持ち主だった。
金の髪に碧い瞳…
背はコハクと同じ位高く、真っ白な肌をしていた。
やわらかく笑んだ男にぽうっとしてしまうと、朱い鳥が男を叩くようにして翼で背中を殴り、男が苦笑するとラスに手を差し伸べる。
「仲間は連れて行けない。お前ひとりの危険な旅になる。どうする?」
「…行きます。連れて行って下さい。コーの所に…。コーに会いたいの!」
「わかった。では仲間と別れを」
――ラスが室内を見渡した。
皆は揃って頷き、ラスに歩み寄った。
健闘を称えるために。