魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ローズマリーがラスの前に立つと、バッグから1枚の純白のローブを手渡した。
「お師匠さん…これ…」
「私が魔法を使えていた時代に織ったローブよ。絶対に汚れないし、雨風や寒さ、暑さも防いでくれるわ。きっとあなたの旅に役立つから着て行って」
「ありがとう!」
「ラス、私からはこれを」
「これ…ナイフ?」
グラースが手渡したのはブルーストーンの小さな欠片が柄に埋まった短剣で、専用のベルトをラスのドレスを捲り上げると太股に巻いて装着した。
「そのゴールドストーン入りのネックレスと合わせればさらに魔物を遠ざけてくれる。持って行け」
「うん…うん…」
「ラス、これを持って行って」
次いでティアラが手渡したのは、沢山の小さくて白い石が入った袋で一体何に使うのかと首を傾げていると、ティアラはラスの頬を撫でて微笑んだ。
「癒しの力をその石に封じ込めてあるわ。怪我をしたらその部分に石をあてれば癒してくれるでしょう。私の代わりに連れて行って」
「わあ、ほんとに?ティアラ、ありがとう!」
「では私はこれを」
「オーディンさん…オーディンさんからは色々沢山貰ったから貰えないよ」
「いいんですよ、あなたのためにと作って来たのですから持って行って下さい」
そう言って差し出したのは白くて小さなポットで、キャップを開けて中を覗き込むと金色の液体が入っていた。
「それはどんなに飲んでも無くなりません。そして何も食べなくてもそれがあれば常に満腹感を得られます。肌身離さず持ち歩いて下さい」
「オーディンさん…色々ありがとう。絶対にコーを連れて帰って来るからね」
その間碧い鳥と朱い鳥は彼らを見守り、ずっと微笑んでいた。
神様が味方をしてくれている――
ラスはそう強く感じ、ずっと黙っているままのリロイに歩み寄ると笑顔で見上げた。
「ラス…僕には何もあげられるものがないんだ」
「ううん、リロイと仲直りできただけで十分だよ。リロイ…またコーと喧嘩してる姿を見せてね。そして私が止めに入るの」
「ふふ、うん…」
「さあ」
声がかかる。
旅が始まる。
「お師匠さん…これ…」
「私が魔法を使えていた時代に織ったローブよ。絶対に汚れないし、雨風や寒さ、暑さも防いでくれるわ。きっとあなたの旅に役立つから着て行って」
「ありがとう!」
「ラス、私からはこれを」
「これ…ナイフ?」
グラースが手渡したのはブルーストーンの小さな欠片が柄に埋まった短剣で、専用のベルトをラスのドレスを捲り上げると太股に巻いて装着した。
「そのゴールドストーン入りのネックレスと合わせればさらに魔物を遠ざけてくれる。持って行け」
「うん…うん…」
「ラス、これを持って行って」
次いでティアラが手渡したのは、沢山の小さくて白い石が入った袋で一体何に使うのかと首を傾げていると、ティアラはラスの頬を撫でて微笑んだ。
「癒しの力をその石に封じ込めてあるわ。怪我をしたらその部分に石をあてれば癒してくれるでしょう。私の代わりに連れて行って」
「わあ、ほんとに?ティアラ、ありがとう!」
「では私はこれを」
「オーディンさん…オーディンさんからは色々沢山貰ったから貰えないよ」
「いいんですよ、あなたのためにと作って来たのですから持って行って下さい」
そう言って差し出したのは白くて小さなポットで、キャップを開けて中を覗き込むと金色の液体が入っていた。
「それはどんなに飲んでも無くなりません。そして何も食べなくてもそれがあれば常に満腹感を得られます。肌身離さず持ち歩いて下さい」
「オーディンさん…色々ありがとう。絶対にコーを連れて帰って来るからね」
その間碧い鳥と朱い鳥は彼らを見守り、ずっと微笑んでいた。
神様が味方をしてくれている――
ラスはそう強く感じ、ずっと黙っているままのリロイに歩み寄ると笑顔で見上げた。
「ラス…僕には何もあげられるものがないんだ」
「ううん、リロイと仲直りできただけで十分だよ。リロイ…またコーと喧嘩してる姿を見せてね。そして私が止めに入るの」
「ふふ、うん…」
「さあ」
声がかかる。
旅が始まる。