魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
予期せぬ来訪者は、しばらく姿を消していたベルルだった。
ラスが窓を開けると小さな姿のベルルが肩に留まり、きつい顔立ちの黒妖精は胸を張ってふんぞり返った。
「ベルルどこに行ってたの?捜してたんだよ?」
「妖精の城に帰ってたの。あんたに見せたいものがあって、みんなに協力して作ってもらったんだから」
「え?何を?」
そしてラスがソファに座ろうと方向転換した時、ベルルの目に移ったのは…以前からコハクが親しくしていた死神の姿だった。
「死神…!なんでここに死神が!?」
「私に会いに来てくれたんだよ。あのね、仲良くなったの。コーのお友達なんだけど、私のお友達にもなったんだよ。ねっ」
「………友達…?」
「違うの?ご飯も一緒に食べたしお話も沢山したし…もうお友達でしょ?」
「………うん。友達」
ふんわり微笑んだデスを見たことがなかったベルルは薄目でデスを睨みつけたが、本題に入るためにラスをソファに座らせると自らは大きな姿になり、コハクに頭を下げた。
「お暇を頂いたおかげで完成しました。見たいですか?見たいでしょ?」
「なんだよもったいぶんなよな。何かあるんなら早く見せろ」
「ふふー。仕方ないから死神にも見せてあげる」
「………」
もったいぶりながら、真っ黒なミニのワンピースの胸元からするりと出したものは…一見虹色のスカーフのように見えた。
それが一体何だかわからずにラスがきょとんとしていると、ベルルはラスの手を引っ張って立たせ、そのスカーフのようなものをラスの腹に巻きつけた。
「これは腹帯なの。使い方はちょっと違うけど、白妖精たちに頼み込んで彼女たちの金や銀や白の髪を編み込んで作った特製のお守りよ。これをお腹に巻いてると赤ちゃんは絶対流れないから、これを絶対いつも巻いてて。これはあたしからのプレゼントよ」
「ベルル…!嬉しい!ありがとう!すっごく嬉しい!」
がばっと抱き着いてきたラスの背中をぽんぽんと叩いていると、ソファに座っていたコハクがうっとりする笑顔でベルルに笑いかけた。
「サンキュ。嬉しいサプライズだったぜ」
「でしょ?あたしも赤ちゃん絶対見たいんですからラスをしっかり見張ってて下さいよ」
――デスは胸にあたたかいものを感じていた。
“思いやり”というものを知った瞬間だった。
ラスが窓を開けると小さな姿のベルルが肩に留まり、きつい顔立ちの黒妖精は胸を張ってふんぞり返った。
「ベルルどこに行ってたの?捜してたんだよ?」
「妖精の城に帰ってたの。あんたに見せたいものがあって、みんなに協力して作ってもらったんだから」
「え?何を?」
そしてラスがソファに座ろうと方向転換した時、ベルルの目に移ったのは…以前からコハクが親しくしていた死神の姿だった。
「死神…!なんでここに死神が!?」
「私に会いに来てくれたんだよ。あのね、仲良くなったの。コーのお友達なんだけど、私のお友達にもなったんだよ。ねっ」
「………友達…?」
「違うの?ご飯も一緒に食べたしお話も沢山したし…もうお友達でしょ?」
「………うん。友達」
ふんわり微笑んだデスを見たことがなかったベルルは薄目でデスを睨みつけたが、本題に入るためにラスをソファに座らせると自らは大きな姿になり、コハクに頭を下げた。
「お暇を頂いたおかげで完成しました。見たいですか?見たいでしょ?」
「なんだよもったいぶんなよな。何かあるんなら早く見せろ」
「ふふー。仕方ないから死神にも見せてあげる」
「………」
もったいぶりながら、真っ黒なミニのワンピースの胸元からするりと出したものは…一見虹色のスカーフのように見えた。
それが一体何だかわからずにラスがきょとんとしていると、ベルルはラスの手を引っ張って立たせ、そのスカーフのようなものをラスの腹に巻きつけた。
「これは腹帯なの。使い方はちょっと違うけど、白妖精たちに頼み込んで彼女たちの金や銀や白の髪を編み込んで作った特製のお守りよ。これをお腹に巻いてると赤ちゃんは絶対流れないから、これを絶対いつも巻いてて。これはあたしからのプレゼントよ」
「ベルル…!嬉しい!ありがとう!すっごく嬉しい!」
がばっと抱き着いてきたラスの背中をぽんぽんと叩いていると、ソファに座っていたコハクがうっとりする笑顔でベルルに笑いかけた。
「サンキュ。嬉しいサプライズだったぜ」
「でしょ?あたしも赤ちゃん絶対見たいんですからラスをしっかり見張ってて下さいよ」
――デスは胸にあたたかいものを感じていた。
“思いやり”というものを知った瞬間だった。