魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスがせっせと作ってくれたランチボックスを大切そうに脇に抱えたコハクは、日傘をしきりにくるくる回しているデスの袖を引っ張り、建てかけの家の前へと着いた。
「コー、デス、また後でね。怪我しないでね」
「ああ。チビこそ知らねえ男に話しかけられてもついて行くんじゃねえぞ。飴もらっても駄目だかんな!」
コハクに注意されたラスは、グラースとティアラと手を握るとぶんぶん振りながらその場を後にし、見送っていたコハクがデスから目を離した隙にデスは勝手に梯子を上ろうとしていて慌てて止めるとコハクを冷や冷やさせた。
「おい、無茶すんなよ?」
「………平気。…これ運べばいい?」
デスが指したのは目算で100キロ近くはある木材の束で、コハクが返事をする前にそれをひょいと持ち上げると心許なく足幅の狭い板だけの足場を上がり始めた。
「あいつ意外と力あるな…。さて、チビの弁当を美味しく頂くために俺も頑張るかー」
魔法でやれば一瞬で済むのにそうしないのは、自分とラスのためにこの国を再建しているということを肌で実感したいから。
だからどうしても力を借りなければならないこと以外は基本的に自分の身体を使う。
魔法に頼ってばかりではいられないのだ。
もしかしたら…いつか魔法が使えなくなる日が来るのかもしれないのだから。
「お前ら賃金弾むから気張って働けよー!」
いきなり現れた真っ黒な男2人組に動揺を隠せない男たちが顔を見合わせた。
彼らの大半は流民で、労働力を募って声をかけてきたリロイに力を貸していたので、てっきりこの国の主はリロイだと思っていたのだが…
「その男があなたたちの雇い主です。よく働けば賃金を弾んでもらえるので頑張って下さい」
「はいっ」
「…なんで俺ん時は返事しねえで小僧の時はするんだよ。ちっ、早く俺の代わりにチビを守りに行けよな!」
リロイに八つ当たりして舌打ちすると、リロイは肩を竦めながらクリスタルパレスの入り口の方へと歩き出し、あっという間に設計図を手に意見を求める男たちに囲まれた。
「……………」
「うるせえな!わかってるっつーの!」
「………なんにも言ってない……」
コハクは入口の方に向けて投げキッスを送ると、腕まくりをして力持ち大会に参加した。
「コー、デス、また後でね。怪我しないでね」
「ああ。チビこそ知らねえ男に話しかけられてもついて行くんじゃねえぞ。飴もらっても駄目だかんな!」
コハクに注意されたラスは、グラースとティアラと手を握るとぶんぶん振りながらその場を後にし、見送っていたコハクがデスから目を離した隙にデスは勝手に梯子を上ろうとしていて慌てて止めるとコハクを冷や冷やさせた。
「おい、無茶すんなよ?」
「………平気。…これ運べばいい?」
デスが指したのは目算で100キロ近くはある木材の束で、コハクが返事をする前にそれをひょいと持ち上げると心許なく足幅の狭い板だけの足場を上がり始めた。
「あいつ意外と力あるな…。さて、チビの弁当を美味しく頂くために俺も頑張るかー」
魔法でやれば一瞬で済むのにそうしないのは、自分とラスのためにこの国を再建しているということを肌で実感したいから。
だからどうしても力を借りなければならないこと以外は基本的に自分の身体を使う。
魔法に頼ってばかりではいられないのだ。
もしかしたら…いつか魔法が使えなくなる日が来るのかもしれないのだから。
「お前ら賃金弾むから気張って働けよー!」
いきなり現れた真っ黒な男2人組に動揺を隠せない男たちが顔を見合わせた。
彼らの大半は流民で、労働力を募って声をかけてきたリロイに力を貸していたので、てっきりこの国の主はリロイだと思っていたのだが…
「その男があなたたちの雇い主です。よく働けば賃金を弾んでもらえるので頑張って下さい」
「はいっ」
「…なんで俺ん時は返事しねえで小僧の時はするんだよ。ちっ、早く俺の代わりにチビを守りに行けよな!」
リロイに八つ当たりして舌打ちすると、リロイは肩を竦めながらクリスタルパレスの入り口の方へと歩き出し、あっという間に設計図を手に意見を求める男たちに囲まれた。
「……………」
「うるせえな!わかってるっつーの!」
「………なんにも言ってない……」
コハクは入口の方に向けて投げキッスを送ると、腕まくりをして力持ち大会に参加した。