魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その頃ラスは、デスに見張られていた。
部屋に着くと速攻ベッドに寝かされて、椅子を引き寄せると膝を抱えて座り、その後ずっとガン見。
あまりのガン見に寝づらかったのだが、元々ベッドに入るとすぐ眠たくなってしまうラスは、うとうとしつつ掛け布団から手を出してデスに差し伸べた。
「お腹触ってほしいな」
「………うん」
脚を下ろすと座ったまま椅子を引きずりながらベッドに近づき、ドレスの上からラスの腹を撫でると…腹がぴくりと動き、顔を見合わせて笑った。
少しずつ笑顔を見せるようになったが、フードを目深に被ったままなのは相変わらず。
骨だけの手を人に見せるのもいやなのか、指先まですっぽり隠れるローブを脱ごうとしない。
最初はコハクがマントにこだわっていつも着用していたように、デスもそうだと思ったのだが…ほぼ1日を共に過ごして、そうではないのだと気付いた。
「手…人に見られるがいやなの?」
「………うん」
「どうして手だけ骨なの?あ、いやなら答えなくてもいいよ、ごめんね」
先に謝っておくと、デスは少しだけ躊躇して、フードを頭からすっぽり脱いだ。
…コハクもかなり細い身体をしているが…デスはもっと細い。
病的なほどに細く、肌の色も雪のように白く、虚弱に見えた。
「………俺…死神だから」
「死神なのはデスだけなの?」
「………知らない。……見たことない」
指を握りこんでグーを作ってなるべく手が見えないようにしているデスのコンプレックスを払ってやりたくなったラスは、デスの腕を引っ張ってベッドの中に引きずり込んだ。
「デスにしかできないことを神様に定められたんだよ。だからその手は自慢していいの。気味悪がられるのが嫌?人がどう思ってるのか気になるの?」
「…………ううん。俺が…嫌なだけ…」
「コーもね、“真っ赤な瞳が嫌だ”って言うの。でも私はすっごく綺麗だと思うし、デスの手だってお肉がついてたらすっごく指も長くって、すっごく細くてかっこいいはずだよ。ね、デスはデスを好きになってあげなくちゃ駄目だよ。私は私のこと大好き。でももうちょっと背も高くなりたかったけどいいの。重たかったらコーが私のこと抱っこできなくなるでしょ」
「……俺が…俺を…好きに?」
“そんなこと、考えたことなかった”
小さな呟きが聴こえた。
部屋に着くと速攻ベッドに寝かされて、椅子を引き寄せると膝を抱えて座り、その後ずっとガン見。
あまりのガン見に寝づらかったのだが、元々ベッドに入るとすぐ眠たくなってしまうラスは、うとうとしつつ掛け布団から手を出してデスに差し伸べた。
「お腹触ってほしいな」
「………うん」
脚を下ろすと座ったまま椅子を引きずりながらベッドに近づき、ドレスの上からラスの腹を撫でると…腹がぴくりと動き、顔を見合わせて笑った。
少しずつ笑顔を見せるようになったが、フードを目深に被ったままなのは相変わらず。
骨だけの手を人に見せるのもいやなのか、指先まですっぽり隠れるローブを脱ごうとしない。
最初はコハクがマントにこだわっていつも着用していたように、デスもそうだと思ったのだが…ほぼ1日を共に過ごして、そうではないのだと気付いた。
「手…人に見られるがいやなの?」
「………うん」
「どうして手だけ骨なの?あ、いやなら答えなくてもいいよ、ごめんね」
先に謝っておくと、デスは少しだけ躊躇して、フードを頭からすっぽり脱いだ。
…コハクもかなり細い身体をしているが…デスはもっと細い。
病的なほどに細く、肌の色も雪のように白く、虚弱に見えた。
「………俺…死神だから」
「死神なのはデスだけなの?」
「………知らない。……見たことない」
指を握りこんでグーを作ってなるべく手が見えないようにしているデスのコンプレックスを払ってやりたくなったラスは、デスの腕を引っ張ってベッドの中に引きずり込んだ。
「デスにしかできないことを神様に定められたんだよ。だからその手は自慢していいの。気味悪がられるのが嫌?人がどう思ってるのか気になるの?」
「…………ううん。俺が…嫌なだけ…」
「コーもね、“真っ赤な瞳が嫌だ”って言うの。でも私はすっごく綺麗だと思うし、デスの手だってお肉がついてたらすっごく指も長くって、すっごく細くてかっこいいはずだよ。ね、デスはデスを好きになってあげなくちゃ駄目だよ。私は私のこと大好き。でももうちょっと背も高くなりたかったけどいいの。重たかったらコーが私のこと抱っこできなくなるでしょ」
「……俺が…俺を…好きに?」
“そんなこと、考えたことなかった”
小さな呟きが聴こえた。