魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
数時間後、“ラス欠乏症”に陥ったコハクはラスの近くで勉強してラスに誉められるのを想像して、本や紙をまとめて持つとにやつきながら自室に戻り…破顔した。


…ラスとデスがベッドで一緒に眠っていたからだ。


もちろん服も着ているし何ひとつ疑う要素はなかったのだが…


デスに優しくしてラスに誉められるか、デスにきつくあたってラスに怒られるか…

すやすや眠っている2人の前で腕組みをして考えた結果前者を取ろうと思い立って、デスをベッドから蹴落とすのはやめておこうと決めた優しい自分に満足していると…


「………………ん…」


「!!な…っ」


――デスが無意識のままラスに抱き着いて、あのふかふかでふわふわな胸に顔を埋めてしまい、魔王、超激怒。


「このチェリー野郎が!チビもチビの胸も俺のもんなの!」


「…………??……痛い…」


ベッドから蹴落とされたデスが四つん這いになりながら打ち付けたお尻を撫でていると、ラスが目を擦りながらデスの首根っこを掴もうとしていたコハクを見上げた。


「コー…?もう終わったの?」


「まだ全然!チビの顔見ながらやった方がはかどるかなって思って戻って来たら…なんだこれ。なんでデスと一緒に寝てんだよ」


「なんとなく。コーとしてるようなことは全然してないから安心して」


「へっ?してたら全力でこいつを殺してるっつーの!」


「…………何もしてない…」


「嘘つけ!今チビの…チビの胸に顔挟んでたじゃねえか!」


激怒まっしぐらのコハクを諌めるのはなかなか難しく、いじけて膝を抱えてまん丸になってしまったデスを睨みつけながらベッドに座ったコハクの背中に圧し掛かった。

背中に感じるふかふかな感触と、肩越しに振り返れば待ち構えていたラスから唇にちゅっとキスをされて、あっという間にラスに夢中になったコハクはデスが膝を抱えて見ている中、ラスを膝に乗せて音を立てて舌を絡めた。


「…………」


「コー…っ、ん…」


「チュー好きだろ?デス追い出してもっとすごいことするか?おいお前ちょっと部屋から出てろ。聞き耳立てんなよ」


「…………わかった」


ローブを拾い上げて大人しく部屋から退出したデスは、ドアを閉めて傾けられるだけ首を傾けた。


「………チェリーって…どういう意味…」
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