魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハク亡き日々
「神様…神様……神様…」
――満月の優しい光が降り注ぐ中、美しいグリーンの瞳を潤ませた女…
ラスが、部屋の窓から大きな満月を見上げていた。
髪は腰の辺りまで長くなり、手足はさらにすらりと長くなり…
あれから2年もの歳月が経っていた。
「コー…私ね、今日18歳になったの。もう立派な大人でしょ?でもね、コー…」
ゆっくりと椅子から立ち上がり、全身が映る鏡の前に立つと、純白のネグリジェを脱いで鏡の中の自分と対峙した。
「赤ちゃん…できなかったね。赤ちゃんって1年で生まれてくるんだって。もう…2年経っちゃった。コーの赤ちゃん…欲しかったな…」
コハクが居なくなったあの日…
何度も何度も愛し合って、今までコハクがため込んでいたものをすべて受け入れた。
女としての最大の喜びを感じて、このままコハクと一緒にグリーンリバーに移り住んで…幸せに暮らすものとばかり思っていたのに――
ここは、ゴールドストーン王国の自分の部屋だ。
ここを出た時はここへ帰ってくるものとばかり思っていたが…
コハクに愛の告白をされて、
そして自分もコハクへの愛に芽生えて、ここへ帰ってくる時はコハクと一緒に父に結婚の許しを請う時と思っていたのに。
「全部違った…。全部、全部…」
呟いた時、何者かが部屋のドアをノックした。
ラスは出ない。
ここ2年間…ほとんどこの部屋から出ることはなかった。
「ラス、入るぞ」
「…グラース」
入ってきたのは、コハクからラスのことを頼まれたグラース。
元ブルーストーン王国の王女は裸で鏡の前に立っているラスを見て、足元に落ちていたネグリジェを拾うと胸に押し付けた。
「風邪を引く」
「…うん。グラース、もう夜中だよ。どうしたの?」
グラースの部屋は隣にある。
何者とも会うことを拒絶した自分を守るために常に傍に居てくれた。
「今日は誕生日だろう?酒をくすねてきた」
「ありがとう。じゃあ一緒に飲も」
赤ワインを手に、また満月を見上げた。
――満月の優しい光が降り注ぐ中、美しいグリーンの瞳を潤ませた女…
ラスが、部屋の窓から大きな満月を見上げていた。
髪は腰の辺りまで長くなり、手足はさらにすらりと長くなり…
あれから2年もの歳月が経っていた。
「コー…私ね、今日18歳になったの。もう立派な大人でしょ?でもね、コー…」
ゆっくりと椅子から立ち上がり、全身が映る鏡の前に立つと、純白のネグリジェを脱いで鏡の中の自分と対峙した。
「赤ちゃん…できなかったね。赤ちゃんって1年で生まれてくるんだって。もう…2年経っちゃった。コーの赤ちゃん…欲しかったな…」
コハクが居なくなったあの日…
何度も何度も愛し合って、今までコハクがため込んでいたものをすべて受け入れた。
女としての最大の喜びを感じて、このままコハクと一緒にグリーンリバーに移り住んで…幸せに暮らすものとばかり思っていたのに――
ここは、ゴールドストーン王国の自分の部屋だ。
ここを出た時はここへ帰ってくるものとばかり思っていたが…
コハクに愛の告白をされて、
そして自分もコハクへの愛に芽生えて、ここへ帰ってくる時はコハクと一緒に父に結婚の許しを請う時と思っていたのに。
「全部違った…。全部、全部…」
呟いた時、何者かが部屋のドアをノックした。
ラスは出ない。
ここ2年間…ほとんどこの部屋から出ることはなかった。
「ラス、入るぞ」
「…グラース」
入ってきたのは、コハクからラスのことを頼まれたグラース。
元ブルーストーン王国の王女は裸で鏡の前に立っているラスを見て、足元に落ちていたネグリジェを拾うと胸に押し付けた。
「風邪を引く」
「…うん。グラース、もう夜中だよ。どうしたの?」
グラースの部屋は隣にある。
何者とも会うことを拒絶した自分を守るために常に傍に居てくれた。
「今日は誕生日だろう?酒をくすねてきた」
「ありがとう。じゃあ一緒に飲も」
赤ワインを手に、また満月を見上げた。