魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが案内されたのは自国に負けない位に大きな城だった。
淡いピンク色を基調にした壁と煙突型の塔が沢山立ち並び、キャリィは従者に傅かれながらラスを城内へと案内した。
「私…早くコーと会いたいからあんまり長くここには居られないんだけど…」
「あなたの恋人はコーと言う名前なの?少しだけ。少しだけだから」
ふわふわの巻き毛を揺らしながら歩くキャリィの足取りは自分と会えて嬉しいのか少し浮かれている様子で、ラスもまたせっかちでもないので案内されるがままに庭にある小さな泉が見える部屋へと通された。
「こ…恋人なのかな…。あんまり実感はないんだけど、でもすっごく大切な人なの。大好きなの」
「ふうん?すごくかっこいいの?」
「うん、すごくかっこいいの」
即答するとラスは庭へ通じる側の開け放たれた扉を通ってやわらかい草を踏むと、改めて精霊界へ来たことに感激してコハクを想う。
「私も早く素敵な人と巡り合いたいわ」
「キャリィ姫ならすぐ巡り合えるよ。ちなみに私の場合はすっごくすっごく近くに居すぎてなかなか気付けなかったの」
「のろけ?ご馳走様!ねえ人間界はどうなってるの?教えて教えて」
――ラスとキャリィ姫がきゃっきゃと声を上げながら話をしている様子を城の塔の上から見つめている者が居た。
「あの娘…キャリィ姫より綺麗だケロ…」
見つめている者は、背中に沢山イボのついた醜いヒキガエル。
このヒキガエルはキャリィ姫を訪ねて来たのだが、まっすぐでさらさらな金の髪にキャリィ姫よりも若く瞳をきらきらさせているラスに…一目惚れをした。
「キャリィ姫をお嫁さんにしようと思っていたけど…あの娘の方がいいケロ。よし、攫うのはあの娘にするケロ!」
塔からぴょんと飛び降りて、2人の視界に入らないように大きく迂回しながら背中側に回り込んだ。
…その間じっくりラスを見ていたヒキガエルは高慢ちきなキャリィよりも大人しそうで従順そうなラスをますます気に入り、瞳を細めた。
「俺が住んでる沼で一緒に暮らすケロ。よし…行くケロ!」
そして、背後から飛びかかった。
淡いピンク色を基調にした壁と煙突型の塔が沢山立ち並び、キャリィは従者に傅かれながらラスを城内へと案内した。
「私…早くコーと会いたいからあんまり長くここには居られないんだけど…」
「あなたの恋人はコーと言う名前なの?少しだけ。少しだけだから」
ふわふわの巻き毛を揺らしながら歩くキャリィの足取りは自分と会えて嬉しいのか少し浮かれている様子で、ラスもまたせっかちでもないので案内されるがままに庭にある小さな泉が見える部屋へと通された。
「こ…恋人なのかな…。あんまり実感はないんだけど、でもすっごく大切な人なの。大好きなの」
「ふうん?すごくかっこいいの?」
「うん、すごくかっこいいの」
即答するとラスは庭へ通じる側の開け放たれた扉を通ってやわらかい草を踏むと、改めて精霊界へ来たことに感激してコハクを想う。
「私も早く素敵な人と巡り合いたいわ」
「キャリィ姫ならすぐ巡り合えるよ。ちなみに私の場合はすっごくすっごく近くに居すぎてなかなか気付けなかったの」
「のろけ?ご馳走様!ねえ人間界はどうなってるの?教えて教えて」
――ラスとキャリィ姫がきゃっきゃと声を上げながら話をしている様子を城の塔の上から見つめている者が居た。
「あの娘…キャリィ姫より綺麗だケロ…」
見つめている者は、背中に沢山イボのついた醜いヒキガエル。
このヒキガエルはキャリィ姫を訪ねて来たのだが、まっすぐでさらさらな金の髪にキャリィ姫よりも若く瞳をきらきらさせているラスに…一目惚れをした。
「キャリィ姫をお嫁さんにしようと思っていたけど…あの娘の方がいいケロ。よし、攫うのはあの娘にするケロ!」
塔からぴょんと飛び降りて、2人の視界に入らないように大きく迂回しながら背中側に回り込んだ。
…その間じっくりラスを見ていたヒキガエルは高慢ちきなキャリィよりも大人しそうで従順そうなラスをますます気に入り、瞳を細めた。
「俺が住んでる沼で一緒に暮らすケロ。よし…行くケロ!」
そして、背後から飛びかかった。