魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その頃グラースは自室でひとり酒を飲んでいた。
…群れるのは本来得意な方ではなく、こうして静かな時を過ごすのが好きだ。
だがこの日は違った。
珍客が部屋を訪れたからだ。
「よう、いいか?」
「魔王…なんだ?夜這いなら遠慮する」
「まあお前の身体には興味あるけど、チビのが断然いいから安心しろよ」
軽口を叩いたコハクの手には…ぞっとするほど白い光を放った死神の鎌。
窓際に座っていたグラースが一瞬瞳を細めると、コハクは細長い柄で肩を叩きながら部屋に入り、しっかりとドアを閉めた。
「…忠告か、警告か。どちらにしろいい話ではないようだな」
「まあな。じゃあ単刀直入に。…デスのことどう思ってる?遊び半分ならやめてくれ。あいつは今自分探しをしてる最中だからよ」
…デス関連だとは思っていたので肩を竦めてみせると、コハクは鎌を壁に立てかけ、ソファに脚を放り出して座った。
思い返してみるとこうしてコハクと1対1で話すのも久しぶりのこと。
しかもデスの背中に足蹴りをしている姿をよく見かけるので、こうしてデスのことを気にかけているとは思っていなかったのだが…
目の前のコハクはいたく真面目な顔をしていた。
「遊び半分じゃなかったらどうするんだ?」
「遊び半分じゃなかったら、もうちっと時間をかけろ。1年?いやいやもっとかかるな。10年?いやいやいやいや、100年?」
「私がその頃生きていると思うか?」
「ま、つまりそうゆうこと」
「諦めろ、と?私が今酔っていたら殴っていたぞ」
金の髪にグリーンの瞳…
ラスと同じ特徴がありながら、中身は女にしては惜しいほど男前のグラース。
いかにも気性が激しそうな顔立ちをしているが、ラスには最初から優しく接してくれていたことを知っている。
「あいつは神だし、今あいつと男と女の関係になってもいずれ別れが来る。身体だけの関係を求めているんならよそをあたれよ。あ、俺は駄目だからな!いくら俺の身体が美味そうでも俺だけは…」
「誰もお前を食いたいとは言っていない。お前は私のタイプじゃないと何度言わせるんだ」
グラースは考えた。
デスのことが気にかかるのは確かだが…まだ恋愛感情ではない。
諦めるなら今のうちか?それとも?
――目の前でコハクが答えを待っていた。
…群れるのは本来得意な方ではなく、こうして静かな時を過ごすのが好きだ。
だがこの日は違った。
珍客が部屋を訪れたからだ。
「よう、いいか?」
「魔王…なんだ?夜這いなら遠慮する」
「まあお前の身体には興味あるけど、チビのが断然いいから安心しろよ」
軽口を叩いたコハクの手には…ぞっとするほど白い光を放った死神の鎌。
窓際に座っていたグラースが一瞬瞳を細めると、コハクは細長い柄で肩を叩きながら部屋に入り、しっかりとドアを閉めた。
「…忠告か、警告か。どちらにしろいい話ではないようだな」
「まあな。じゃあ単刀直入に。…デスのことどう思ってる?遊び半分ならやめてくれ。あいつは今自分探しをしてる最中だからよ」
…デス関連だとは思っていたので肩を竦めてみせると、コハクは鎌を壁に立てかけ、ソファに脚を放り出して座った。
思い返してみるとこうしてコハクと1対1で話すのも久しぶりのこと。
しかもデスの背中に足蹴りをしている姿をよく見かけるので、こうしてデスのことを気にかけているとは思っていなかったのだが…
目の前のコハクはいたく真面目な顔をしていた。
「遊び半分じゃなかったらどうするんだ?」
「遊び半分じゃなかったら、もうちっと時間をかけろ。1年?いやいやもっとかかるな。10年?いやいやいやいや、100年?」
「私がその頃生きていると思うか?」
「ま、つまりそうゆうこと」
「諦めろ、と?私が今酔っていたら殴っていたぞ」
金の髪にグリーンの瞳…
ラスと同じ特徴がありながら、中身は女にしては惜しいほど男前のグラース。
いかにも気性が激しそうな顔立ちをしているが、ラスには最初から優しく接してくれていたことを知っている。
「あいつは神だし、今あいつと男と女の関係になってもいずれ別れが来る。身体だけの関係を求めているんならよそをあたれよ。あ、俺は駄目だからな!いくら俺の身体が美味そうでも俺だけは…」
「誰もお前を食いたいとは言っていない。お前は私のタイプじゃないと何度言わせるんだ」
グラースは考えた。
デスのことが気にかかるのは確かだが…まだ恋愛感情ではない。
諦めるなら今のうちか?それとも?
――目の前でコハクが答えを待っていた。