魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「あれは…死神じゃないか!どうして魔王と一緒に行動してるんだ…!?」
普段は一切街に現れず、家に引きこもってばかりの死神が魔王と呼ばれる男と共に行動をしている事実はまたもや悪魔たちの間に戦慄を走らせた。
…いわば最強のタッグなのだ。
命をもぎ取ろうと思えば、この2人なら…いくらでももぎ取れる。
だが上級悪魔ではない位の悪魔たちはコハクたちを見ても逃げることはなかった。
魔王から狙われることがないことを知っているから。
「デス、そこの店に入る。お前は外に残ってろ」
「………俺も行く…」
コハクが指した店は夢魔のサキュバスが経営している酒屋で、地上の世界には置いていない様々な効果を発揮する酒が所狭しと並べてあった。
店に入ってきたコハクを見止めるなり、金色の髪に緑の瞳をしたスタイル抜群のサキュバスが一瞬びくりと身体を引きつらせて緊張したが、好色を極めた瞳でコハクを上から下まで舐めるように見つめると、足音もなく近寄ってきた。
「魔王様…お久しぶりですわ」
「ああ、元気そうだな。で、今日は欲しいものがあって寄ってみたんだけどさ」
「欲しいもの?私のことでしょう?」
人差し指で首をなぞってきたサキュバスの手を掴んで捻ると、低い声でこそりと耳元で囁いた。
「お前の髪と瞳の色は好きだけど、今俺が欲しいのは酒だ。一滴でも飲めばすぐ眠ってしまうほど強いやつを探してる」
「私で遊んで行って下さらないの?ずっとずっと待っていたのに」
耳元で囁かれただけで腰砕けになったサキュバスが瞳をとろんとさせていると、デスがその脇をすうっと通り過ぎた。
死神の手に鎌はなかったが、その風貌ですぐに悟られてサキュバスを後ずさりさせると、デスが数ある酒瓶の中から手に取ったのは、コハクが探しているように一瞬で眠気を催す真っ赤な色の酒だった。
「あったな、よし、それを貰う。代金は…今のでいいよな?」
「ええ…もういくらでも持って行って。魔王様…また来てくださいね、私…」
「急ぐからもう行く。じゃあな」
――コハクがサキュバスに見せたのは、普段サキュバスが人に見せているような好色な夢。
実際抱いてはいないのに声色ひとつだけで夢魔を虜にしたコハクの後をついて店を出たデスは、限りなく小さな声でぼそりと呟いた。
「…………エロ…」
普段は一切街に現れず、家に引きこもってばかりの死神が魔王と呼ばれる男と共に行動をしている事実はまたもや悪魔たちの間に戦慄を走らせた。
…いわば最強のタッグなのだ。
命をもぎ取ろうと思えば、この2人なら…いくらでももぎ取れる。
だが上級悪魔ではない位の悪魔たちはコハクたちを見ても逃げることはなかった。
魔王から狙われることがないことを知っているから。
「デス、そこの店に入る。お前は外に残ってろ」
「………俺も行く…」
コハクが指した店は夢魔のサキュバスが経営している酒屋で、地上の世界には置いていない様々な効果を発揮する酒が所狭しと並べてあった。
店に入ってきたコハクを見止めるなり、金色の髪に緑の瞳をしたスタイル抜群のサキュバスが一瞬びくりと身体を引きつらせて緊張したが、好色を極めた瞳でコハクを上から下まで舐めるように見つめると、足音もなく近寄ってきた。
「魔王様…お久しぶりですわ」
「ああ、元気そうだな。で、今日は欲しいものがあって寄ってみたんだけどさ」
「欲しいもの?私のことでしょう?」
人差し指で首をなぞってきたサキュバスの手を掴んで捻ると、低い声でこそりと耳元で囁いた。
「お前の髪と瞳の色は好きだけど、今俺が欲しいのは酒だ。一滴でも飲めばすぐ眠ってしまうほど強いやつを探してる」
「私で遊んで行って下さらないの?ずっとずっと待っていたのに」
耳元で囁かれただけで腰砕けになったサキュバスが瞳をとろんとさせていると、デスがその脇をすうっと通り過ぎた。
死神の手に鎌はなかったが、その風貌ですぐに悟られてサキュバスを後ずさりさせると、デスが数ある酒瓶の中から手に取ったのは、コハクが探しているように一瞬で眠気を催す真っ赤な色の酒だった。
「あったな、よし、それを貰う。代金は…今のでいいよな?」
「ええ…もういくらでも持って行って。魔王様…また来てくださいね、私…」
「急ぐからもう行く。じゃあな」
――コハクがサキュバスに見せたのは、普段サキュバスが人に見せているような好色な夢。
実際抱いてはいないのに声色ひとつだけで夢魔を虜にしたコハクの後をついて店を出たデスは、限りなく小さな声でぼそりと呟いた。
「…………エロ…」