魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「私料理下手だから美味しくないかもしれないけど…頑張ったんだけど不味かったら食べなくてもいいからね」
「美味そうだケロ!頂きますケロ!」
テーブルにつくとナイフとフォークを器用に握って大口を開けて食べ始めたヒキガエルに興味津々のラスは、ヒキガエルが食べ終わるまでじっと観察していた。
「美味しい?」
「美味いケロ!娘さんはいいお嫁さんになるケロ!」
「ほんとっ?わあ、嬉しい、ありがとう!ヒキガエルさん、私はラスって言うの。あなたのお名前は?」
尋ねた途端…それまで楽しそうにケロケロと鳴いていたヒキガエルが黙り込むと、ナイフとフォークをお皿の上に置いて俯いた。
「?ヒキガエルさん?」
「…俺にも名前があった…はずだケロ。でも今は思い出せなくて…だからもう考えるのはやめたケロ」
「そう…なの?ヒキガエルさんはそれでいいの?」
――ラスが心底心配そうにしてテーブルの上に乗せた大きな手に触れると、ヒキガエルの胸はみるみるあたたかくなって、ラスの手の上にもう片方の手を重ねた。
「いいんだケロ。ラスにも会えたし、ずっとここに居てほしいケロ」
「うん、コーが来るまでずっとここに居るよ」
「…」
“コー”という男が心底羨ましくなってしまい、ヒキガエルは椅子から降りるとのそのそと出口に向かい、ラスの声で立ち止まった。
「どこに行くの?ここはヒキガエルさんのお家でしょ?一緒に居ようよ」
「…無理だケロ。俺は外で寝るからラスはここで暮らすケロ」
「うん、でも寂しいから沢山会いに来てね?あと私もちょっとだけ外に出てもいい?」
歩み寄り、見上げて来るラスのグリーンの瞳は希望の光に満ち溢れ、なんとなく何かを思い出せそうな気がして頷いた。
「わかったケロ。でも外は本当に危ないから絶対ここに帰ってくるケロ」
「うん、わかった」
そして沼に向かって歩き出し、ちょっとだけ振り返るとラスはまだ笑顔で手を振っていた。
「…俺みたいなののお嫁さんにはさせられないケロ…」
みるみる後悔が押し寄せる。
みるみる――
「美味そうだケロ!頂きますケロ!」
テーブルにつくとナイフとフォークを器用に握って大口を開けて食べ始めたヒキガエルに興味津々のラスは、ヒキガエルが食べ終わるまでじっと観察していた。
「美味しい?」
「美味いケロ!娘さんはいいお嫁さんになるケロ!」
「ほんとっ?わあ、嬉しい、ありがとう!ヒキガエルさん、私はラスって言うの。あなたのお名前は?」
尋ねた途端…それまで楽しそうにケロケロと鳴いていたヒキガエルが黙り込むと、ナイフとフォークをお皿の上に置いて俯いた。
「?ヒキガエルさん?」
「…俺にも名前があった…はずだケロ。でも今は思い出せなくて…だからもう考えるのはやめたケロ」
「そう…なの?ヒキガエルさんはそれでいいの?」
――ラスが心底心配そうにしてテーブルの上に乗せた大きな手に触れると、ヒキガエルの胸はみるみるあたたかくなって、ラスの手の上にもう片方の手を重ねた。
「いいんだケロ。ラスにも会えたし、ずっとここに居てほしいケロ」
「うん、コーが来るまでずっとここに居るよ」
「…」
“コー”という男が心底羨ましくなってしまい、ヒキガエルは椅子から降りるとのそのそと出口に向かい、ラスの声で立ち止まった。
「どこに行くの?ここはヒキガエルさんのお家でしょ?一緒に居ようよ」
「…無理だケロ。俺は外で寝るからラスはここで暮らすケロ」
「うん、でも寂しいから沢山会いに来てね?あと私もちょっとだけ外に出てもいい?」
歩み寄り、見上げて来るラスのグリーンの瞳は希望の光に満ち溢れ、なんとなく何かを思い出せそうな気がして頷いた。
「わかったケロ。でも外は本当に危ないから絶対ここに帰ってくるケロ」
「うん、わかった」
そして沼に向かって歩き出し、ちょっとだけ振り返るとラスはまだ笑顔で手を振っていた。
「…俺みたいなののお嫁さんにはさせられないケロ…」
みるみる後悔が押し寄せる。
みるみる――