魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ヒキガエルが居なくなってしまってひとりになったラスは、花の香りがするベッドに座った。
「いい香り…。今頃コー焦ってるかな。怪我は治ったのかな。本当は私が会いに行きたいんだけど…」
ベッドに上がって窓から外を見ると、沼の反対側には大きな花畑があり、そこにウサギやリス、木には鳥が居て、ラスのテンションが一気にMAXになった。
「ちょっとだけ。ちょっとだけだから大丈夫だよね」
急いでベッドから降りるとウサギたちが驚かないように足音を忍ばせて近付き、声をかけた。
「そっちに行ってもいい?」
するとウサギの長い耳がぴょこんと動き、身構えながら振り返るとラスの満面の笑顔に出会い、リスや鮮やかな翡翠色のインコとひそひそと声を潜めた。
「さっきヒキガエルが連れ込んだ人間じゃないか」
「攫ってきたのか?それにしても怯えてないし肝が据わってる」
さらに膝をついてにじり寄って来るラスからは良い香りがして、ウサギは前脚だけで立ち上がると鼻を鳴らした。
「お前良い香りがする」
「え?あ、これのことかな。分けてあげるね」
“いつも肌身離さずに”と言われていたので、身体にかけていたショルダーバッグから蜂蜜の入った小瓶と飴の入った袋を取り出すと、ウサギたちが一斉ににじり寄った。
「うわあ、美味しそうだ!」
「飲み物もあるよ。どれがいい?」
――少しガリガリではあるが美味しそうな人間。
ただ…とても可愛いし、どうしてここへ来たのかも聞きたいし、あのヒキガエルとどんな関係なのかも聞きたかったのでウサギとリスはラスに手を差し出した。
「飴をおくれ」
「いいよ、はいどうぞ」
1個ずつ手渡すと、最初は恐る恐る舌で舐め、そしてすごい勢いで舐めはじめた。
「鳥さんにはこれをあげるね」
木に止まって見下ろしていた翡翠色の鳥を呼び寄せるとポットから飲み物を出し、掌に少しだけ出すと翡翠色の鳥が下りてきてぺろりと舐めるとこちらもまたすごい勢いで飲み干した。
「美味しい!」
「じゃあ触ってもいい?」
きらきらした瞳でお願いされ、ウサギはラスの膝の上に乗ると身体を丸めて瞳を閉じた。
「いい香り…。今頃コー焦ってるかな。怪我は治ったのかな。本当は私が会いに行きたいんだけど…」
ベッドに上がって窓から外を見ると、沼の反対側には大きな花畑があり、そこにウサギやリス、木には鳥が居て、ラスのテンションが一気にMAXになった。
「ちょっとだけ。ちょっとだけだから大丈夫だよね」
急いでベッドから降りるとウサギたちが驚かないように足音を忍ばせて近付き、声をかけた。
「そっちに行ってもいい?」
するとウサギの長い耳がぴょこんと動き、身構えながら振り返るとラスの満面の笑顔に出会い、リスや鮮やかな翡翠色のインコとひそひそと声を潜めた。
「さっきヒキガエルが連れ込んだ人間じゃないか」
「攫ってきたのか?それにしても怯えてないし肝が据わってる」
さらに膝をついてにじり寄って来るラスからは良い香りがして、ウサギは前脚だけで立ち上がると鼻を鳴らした。
「お前良い香りがする」
「え?あ、これのことかな。分けてあげるね」
“いつも肌身離さずに”と言われていたので、身体にかけていたショルダーバッグから蜂蜜の入った小瓶と飴の入った袋を取り出すと、ウサギたちが一斉ににじり寄った。
「うわあ、美味しそうだ!」
「飲み物もあるよ。どれがいい?」
――少しガリガリではあるが美味しそうな人間。
ただ…とても可愛いし、どうしてここへ来たのかも聞きたいし、あのヒキガエルとどんな関係なのかも聞きたかったのでウサギとリスはラスに手を差し出した。
「飴をおくれ」
「いいよ、はいどうぞ」
1個ずつ手渡すと、最初は恐る恐る舌で舐め、そしてすごい勢いで舐めはじめた。
「鳥さんにはこれをあげるね」
木に止まって見下ろしていた翡翠色の鳥を呼び寄せるとポットから飲み物を出し、掌に少しだけ出すと翡翠色の鳥が下りてきてぺろりと舐めるとこちらもまたすごい勢いで飲み干した。
「美味しい!」
「じゃあ触ってもいい?」
きらきらした瞳でお願いされ、ウサギはラスの膝の上に乗ると身体を丸めて瞳を閉じた。