魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「あの醜いヒキガエルに何か悪さをされているんだったら僕たちが助けてあげるよ」
ウサギにそんな提案をされたラスは思いきり首を傾けて、きょとん。
「え?ヒキガエルさんは全然悪くないよ?私とコーと会わせてくれるためにあの家に案内してくれたの」
「コーって誰?」
「私の大切な人なの。2年も会ってないんだけど…黒い髪でね、背が高くってね、赤い瞳がとっても綺麗な人だよ」
「私その人見たかも」
翡翠色のインコが羽の毛づくろいをしながら言った一言でラスの瞳が一気に潤み、ウサギたちを動揺させた。
「どうしたんだい!?」
「ううん…ねえ、元気だった?今どうしてるか知ってる?」
涙声のラスはいたいけで、ウサギたちは顔を見合わせると、ラスを笑わせるために躍起になって喋りはじめた。
「最初に見た時は血だらけだったけど、次に見た時は確かウンディーネ様たちの住むお城で眠っていたわ。あの人間がコーなの?」
「そうなの。“神の鳥”さんたちにここに居るって聞いて来たんだよ」
――“神の鳥”という言葉を口にした途端、かしましかったウサギたちがぴたりと話すのを止めたので、ラスはインコの嘴をくすぐってやりながら顔を近付けた。
「どうしたの?」
「君…それはとってもすごいことなんだよ。彼らは神様の僕なんだ。君は選ばれた人間なんだ…」
さっきまではラスを食べてしまおうかとも考えていた彼らはその考えを捨て、輪になってラスを取り囲んだ。
「あの家に居ちゃ駄目だ。何されるかわからないしヒキガエルは悪い奴なんだよ」
「そう、かな?私にはそう見えないけど…。でももうちょっとあそこに居てみるね、ウサギさんたちありがとう」
ラスが戻って行き、ウサギたちはラスを見送りながら声を潜めた。
「やっぱり攫われてきたに違いない。僕たちであの娘をあの家から連れ出してやろう。神様に選ばれた人間を助けなきゃ」
使命感に突き動かされたウサギたちは、手に手を取り合って力強く頷いた。
が。
肝心のラスはぽやんとしたまま家に戻り、ベッドに寝転がるとふんわりしていた。
「コー…早く会いたいな」
どこまでも、鈍感。
ウサギにそんな提案をされたラスは思いきり首を傾けて、きょとん。
「え?ヒキガエルさんは全然悪くないよ?私とコーと会わせてくれるためにあの家に案内してくれたの」
「コーって誰?」
「私の大切な人なの。2年も会ってないんだけど…黒い髪でね、背が高くってね、赤い瞳がとっても綺麗な人だよ」
「私その人見たかも」
翡翠色のインコが羽の毛づくろいをしながら言った一言でラスの瞳が一気に潤み、ウサギたちを動揺させた。
「どうしたんだい!?」
「ううん…ねえ、元気だった?今どうしてるか知ってる?」
涙声のラスはいたいけで、ウサギたちは顔を見合わせると、ラスを笑わせるために躍起になって喋りはじめた。
「最初に見た時は血だらけだったけど、次に見た時は確かウンディーネ様たちの住むお城で眠っていたわ。あの人間がコーなの?」
「そうなの。“神の鳥”さんたちにここに居るって聞いて来たんだよ」
――“神の鳥”という言葉を口にした途端、かしましかったウサギたちがぴたりと話すのを止めたので、ラスはインコの嘴をくすぐってやりながら顔を近付けた。
「どうしたの?」
「君…それはとってもすごいことなんだよ。彼らは神様の僕なんだ。君は選ばれた人間なんだ…」
さっきまではラスを食べてしまおうかとも考えていた彼らはその考えを捨て、輪になってラスを取り囲んだ。
「あの家に居ちゃ駄目だ。何されるかわからないしヒキガエルは悪い奴なんだよ」
「そう、かな?私にはそう見えないけど…。でももうちょっとあそこに居てみるね、ウサギさんたちありがとう」
ラスが戻って行き、ウサギたちはラスを見送りながら声を潜めた。
「やっぱり攫われてきたに違いない。僕たちであの娘をあの家から連れ出してやろう。神様に選ばれた人間を助けなきゃ」
使命感に突き動かされたウサギたちは、手に手を取り合って力強く頷いた。
が。
肝心のラスはぽやんとしたまま家に戻り、ベッドに寝転がるとふんわりしていた。
「コー…早く会いたいな」
どこまでも、鈍感。