魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスが一輪挿しの花瓶にピンクの花弁の花を飾って窓際に置いていた姿を沼から見ていたヒキガエルは頭を押さえて唸っていた。
「俺…どうしたんだケロ?今まで何も思い出せなかったのに何か思い出せそうだケロ…」
じっと見つめているとラスがそれに気付いたのか手を振ってくれたので、嬉しくなったヒキガエルは花畑に駆け込むと可愛らしい色の花を選んで摘み取ると窓の前に立って差し伸べた。
「これをくれるの?私に?わあ、ありがとう」
「い、いいんだケロ」
「ヒキガエルさん、中に入ってよ。お話しようよ」
「僕は…いいケロ。それよりラス…コーにとっても会いたいケロ?待っていられないケロ?」
――ここで待っていればコハクが来る、とヒキガエルから説明を受けていたので、何の疑いもなくヒキガエルを信用しているラスは首を振って窓から花束を受け取った。
「会いたいけど…もう2年も待ってるしちょっと会えなくったって大丈夫だよ。心配してくれてありがとうヒキガエルさん」
「…わかったケロ。夜は絶対外に出ちゃ駄目ケロ。ここはラスが思っているより危ない場所だケロ」
…やっぱりウサギたちが心配しているような悪いヒキガエルではない。
親切にしてくれるヒキガエルの鼻をくすぐって手を振り、別れるとお湯を沸かしてフレイバーティーを飲んでくつろいでいた。
だんだんと外が暗くなり、気が付けば灯りのついている場所は家の中だけで、しかも遠くに見えるのは…
「か、雷だ…」
急速な速さで点滅する光が近付いてきたので、掛け布団を頭から被って恐怖に耐えた。
いつもなら、こういう夜はコハクが抱きしめてくれたから怖くなかった。
コハクが居なくなってからはグラースが代わりに一緒のベッドに入って眠ってくれていたのに…今は独りだ。
「コー…怖いよ…コー…!」
耳を塞ぎ、瞳を強く閉じても強烈な恐怖が襲ってくる。
コハクが刺され、息絶えるという見たこともない想像に侵されそうになり、泣き出しそうになった時――
『チビ』
ふわりと抱きしめられた気がした。
「コー…?」
耳元で聴こえた声は――
「俺…どうしたんだケロ?今まで何も思い出せなかったのに何か思い出せそうだケロ…」
じっと見つめているとラスがそれに気付いたのか手を振ってくれたので、嬉しくなったヒキガエルは花畑に駆け込むと可愛らしい色の花を選んで摘み取ると窓の前に立って差し伸べた。
「これをくれるの?私に?わあ、ありがとう」
「い、いいんだケロ」
「ヒキガエルさん、中に入ってよ。お話しようよ」
「僕は…いいケロ。それよりラス…コーにとっても会いたいケロ?待っていられないケロ?」
――ここで待っていればコハクが来る、とヒキガエルから説明を受けていたので、何の疑いもなくヒキガエルを信用しているラスは首を振って窓から花束を受け取った。
「会いたいけど…もう2年も待ってるしちょっと会えなくったって大丈夫だよ。心配してくれてありがとうヒキガエルさん」
「…わかったケロ。夜は絶対外に出ちゃ駄目ケロ。ここはラスが思っているより危ない場所だケロ」
…やっぱりウサギたちが心配しているような悪いヒキガエルではない。
親切にしてくれるヒキガエルの鼻をくすぐって手を振り、別れるとお湯を沸かしてフレイバーティーを飲んでくつろいでいた。
だんだんと外が暗くなり、気が付けば灯りのついている場所は家の中だけで、しかも遠くに見えるのは…
「か、雷だ…」
急速な速さで点滅する光が近付いてきたので、掛け布団を頭から被って恐怖に耐えた。
いつもなら、こういう夜はコハクが抱きしめてくれたから怖くなかった。
コハクが居なくなってからはグラースが代わりに一緒のベッドに入って眠ってくれていたのに…今は独りだ。
「コー…怖いよ…コー…!」
耳を塞ぎ、瞳を強く閉じても強烈な恐怖が襲ってくる。
コハクが刺され、息絶えるという見たこともない想像に侵されそうになり、泣き出しそうになった時――
『チビ』
ふわりと抱きしめられた気がした。
「コー…?」
耳元で聴こえた声は――