魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
両手でグラスを持って美味しそうにごくごく飲んでいるラスを見ているだけで幸せなコハクは、隣のデスがすでに飲み終えているのを見て瞳を丸くした。


「お前…もう飲んだのか?食うのも飲むのもはええな、消化に悪いからゆっくり飲めよ」


「………美味しかった」


「じゃあ俺のもやるよ」


デスはコハクが手渡そうとしたグラスをじっと見ていたラスに気付き、1度受け取るとそれをラスに渡した。


「………あげる」


「わ、いいの?ありがとうデスっ」


「あれあれあれ?おやおや?なんかおかしくねえか?それ元々俺の…」


「知ってるよ。コーありがと。コーはいいの?一口飲ませてあげるね」


ごくごくと口に含んだ後、コハクに顔を寄せて今度はラスから口移しで飲ませてもらった魔王、爆発寸前。


「美味しい?」


「美味い!ジュースも美味いけどチビのが美味い」


コーフンしてしまった魔王はそのままラスと舌を絡めて熱烈なキスに突入したのだが…


水を差したのは…デスのガン見だった。

それも超至近距離から。


「ちっ、お前ちょっと離れろよ。なんだよこの距離は」


「………それ…何してるの…?舌…」


「気持ちいーこと。しっかしやりづれえな、まいっか。後学のために見とけよ」


コハクがまたキスを再開するとラスの瞳がとろんとして、唇と唇の間から時折見える舌がなんだか生き物みたいで食い入るように見ていると、さすがにラスが恥ずかしがって顔を離すとコハクに抱き着いて顔を胸に押し付けた。


「続きは?俺めっちゃコーフンしてきたんだけど」


「やっ、デスが見てるもんっ」


「いいじゃん別に。デスだって興味津々なお年頃なんだし?な?だから続き!」


「やんっ!」


「なにそれ!やべえ!ちょー可愛いんだけど!」


「……続き…」


デスからも催促されてしまってますます恥ずかしくなると、膝から降りて川沿いを早足で歩きだしたので、魔王、大慌て。


「あーっ!走るなって!転んだら大変だろ、俺が抱っこすっから!てか抱っこさして下さい!」


結局コハクに追いつかれて抱っこされてしまうと、顎を押して顔を遠ざけさせて、コハクの首が変な音を立てた。


「いででっ、チビ、押し過ぎ!」


「次はお洋服屋さんね」


そして“アレ”も。
< 476 / 728 >

この作品をシェア

pagetop