魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスに隠し事をされていることはかなり不満だったがどうやら後ろめたい隠し事ではないらしく、次にラスが指した店はラスが好きそうなふわふわのフリルが沢山ついたいかにも女の子らしい服が売られている店だった。


「い、いらっしゃいませ」


超絶に美形揃いの客の来店によって店内のスタッフも客もぼうっとしてしまっていたが、コハクは全く気にせずラスを降ろして肩を抱いた。


「俺はこれとか好きだなー」


「これ?じゃあ着てみよっかな」


「お客様、ちなみにサイズは…」


鮮やかなオレンジ色のサマーワンピースを手にしていたラスはかなり細身で、手にしているワンピースは少しラスには大きい。

サイズを問われて首を傾げたラスは、コハクを見上げてきょとんとしていた。


「サイズ?私の身体の?知らない」


「俺が知ってるし。ちなみに上から85のF、54、82!これはウエストがぼがぼだし胸がつまるだろうし却下だな!チビは既製服着たことねえしサイズもねえし、服は難しいなあ」


「でも…着たいもん。駄目?」


可愛らしく小首を傾げられてしまったら我が儘を叶えてやらずにはいられない魔王は、ラスの耳元でこそっと囁いた。


「じゃあ魔法でサイズ変えてやるよ。だから好きなのあったら遠慮なく選んでいいからな」


「うんっ、わかった!コーありがと」


――そしてラスの目標のものは…隣接する店にあった。

その店は今居る店と同じ経営者らしく、中からも出入りできるように通路が設けられていて、コハクたちに気付かれないように中を覗き込んだラスは、瞳を輝かせた。


「あった…!」


「ん?何がだよ隣ばっか見て……って…下着…!?」


隠し事が苦手なラスは結局コハクにばれてしまって仕方なくシャツの袖を引っ張ると、コーフン気味のコハクの耳元で囁いた。


「下着が欲しかったの。可愛いの沢山あるみたいだし、行ってきてもいい?」


「お、お、俺も行きたい!」


「駄目。私が自分で選んだ下着…見たいでしょ?」


小悪魔風味で笑ったラスをその場で押し倒したい衝動にかられながらも、魔王は呪文を唱えながら自身に言い聞かせた。


「駄目だ俺…頑張れ俺…もうちょっとの我慢…我慢我慢我慢!我慢した後は爆発!」


ぶつぶつ独り言を言っているコハクはヘンタイ極まりなかった。
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