魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ブラにはワンポイントで白いハートマークがプリントされていて、それを気に入ってしまったラスはティアラとお揃いにすることに決めて、Fカップのコーナーで同じものを見つけると、服の上から胸にあてがってみた。


「どお?」


「…!…!!イイ!俺鼻血出そ…」


「鼻血出したら可愛いハートマークが消えちゃう。コーあっち行っててっ」


「いやだ!ボインの買い物はもう終わったんだろ?じゃあ次はチビな!せ、僭越ながら俺が!俺が選ばして頂きます!」


…外見はうっとりするほどかっこいいのに中身が非常に残念な魔王は、周囲の女性客の落胆のため息も耳に入らず品定めをはじめて、何の躊躇もなくブラやショーツを手に取ってじっくり観察。

あまりにもギャップが激しいために、さすがのラスもくすくす笑うとデスの手を引っ張って店内に設けてある椅子に座ってそんなコハクを観察した。


「コーが集中モードに入っちゃった」


「………あれ……買うの…?」


「え?デスが選んでくれたやつ?うん買うよ、ティアラとお揃いにするの。ねえ、今日はコーは夜お師匠さんとお話するって言ってたから傍に居てくれる?」


「……うん」


ローブを脱いだデスは本当に優しくて綺麗な顔をしていて、少しだけ口角を上げて微笑のような笑みを浮かべたデスの腕にぎゅっと抱き着いたラスは、あまりにも真剣な顔で下着を選んでいるコハクが面白くて声をかけた。


「コー、まだ?そんなに沢山買うの?」


「だってチビに似合いそうなの沢山あるし!めんどくせえな、全部買うか」


思い切った大人買いをしたコハクは驚く店員に支払いを済ませると、ぱちんと指を鳴らして一瞬にして買った下着たちを消してみせた。


「ふふふふ…今日はあれをつけてもらって、明日はあれで…ふふふふふふ」


「コーが壊れちゃった。デス、危ないからあの人には近付いちゃ駄目だよ」


ラスにひどいことを言われて逆にぞくっときたヘンタイ色ぼけ魔王は、仲良く繋いでいた手を引き剥がすとラスを抱っこして悠々と店を出た。


「これ、喜んでくれるかな」


「喜ぶだろ。ボインが喜ぶっつーか小僧が喜ぶんじゃね?あいつ意外とむっつりだからな」


ティアラのために買った下着が入った袋を胸に抱きしめたラスは、リロイが慌てる姿を想像して笑い声を上げた。
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