魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイは1日中人々の相談役として引っ張りだこになる。
そんな折に唯一休憩できるのは食事の時だけで、コロニーの人々が厚意で設置してくれた厚い布で作られたテントに入ると、リロイがようやくひとつ大きな息を吐いた。
「ふう」
「お疲れ様でした。私…朝キッチンでサンドウィッチを作って来たんです。ハムサンドと卵とローストビーフのと…」
「ああ、ずっと持っていたバッグにはこれが入ってたんですね。ありがとうございます、頂きます」
白騎士の証である鎧を脱いで身軽になったリロイは肩や首を鳴らしながらティアラの隣に腰を下ろし、そんな小さなことにも喜びを覚えたティアラはポットから蜂蜜入りの紅茶をカップに入れて手渡してリロイの服についた埃を払ってやった。
「あなたはいつも慌ただしくしているからラスもきっと寂しいと思うわ。私はいつもクリスタルパレスに居るので寂しくはないけれど…」
「ラスはお腹に赤ちゃんがいるから本当はここには来ない方がいいんです。ラスに何かあったら…なんでもありません」
じっと見ているとリロイが瞳を逸らしたので、したくない会話だと察したティアラはすぐに食べ終わってしまったリロイの疲れを少しでも癒すために、自身の膝をぽんぽんと叩いた。
「ティアラ?」
「膝枕をしてあげます。横になると少しは疲れが……、ど、どうして顔が赤いんですか!?やめて下さい私にも移っちゃう!」
「あ、す、すみません。膝枕なんかされたことないので…。じゃあ…お言葉に甘えて失礼します」
――冗談半分期待半分で言った一言はリロイを動かして、がちがちに緊張したティアラの膝に頭を預けてきたので、リロイがくすっと笑った。
「緊張してますか?それこそ僕にも緊張が移るからリラックスして下さい。ああ…気持ちいい」
「そ、そうですか?私柔肌だから…」
「知ってます。あなたの腕を少し強く掴むだけで赤くなるのも知ってます。こんなことしたらあなたの膝に青痣ができるんじゃ…」
「大丈夫です魔法で治しますから」
冗談を返して笑い合い、リロイのやわらかい金の髪を撫でているうちにリロイがうとうとしだした。
限りなく優しい気持ちになってそのまま撫でていると、寝息が聴こえてさらに愛しさが増した。
…平常心でいられるだろうか?
ずっと一緒なのに――
そんな折に唯一休憩できるのは食事の時だけで、コロニーの人々が厚意で設置してくれた厚い布で作られたテントに入ると、リロイがようやくひとつ大きな息を吐いた。
「ふう」
「お疲れ様でした。私…朝キッチンでサンドウィッチを作って来たんです。ハムサンドと卵とローストビーフのと…」
「ああ、ずっと持っていたバッグにはこれが入ってたんですね。ありがとうございます、頂きます」
白騎士の証である鎧を脱いで身軽になったリロイは肩や首を鳴らしながらティアラの隣に腰を下ろし、そんな小さなことにも喜びを覚えたティアラはポットから蜂蜜入りの紅茶をカップに入れて手渡してリロイの服についた埃を払ってやった。
「あなたはいつも慌ただしくしているからラスもきっと寂しいと思うわ。私はいつもクリスタルパレスに居るので寂しくはないけれど…」
「ラスはお腹に赤ちゃんがいるから本当はここには来ない方がいいんです。ラスに何かあったら…なんでもありません」
じっと見ているとリロイが瞳を逸らしたので、したくない会話だと察したティアラはすぐに食べ終わってしまったリロイの疲れを少しでも癒すために、自身の膝をぽんぽんと叩いた。
「ティアラ?」
「膝枕をしてあげます。横になると少しは疲れが……、ど、どうして顔が赤いんですか!?やめて下さい私にも移っちゃう!」
「あ、す、すみません。膝枕なんかされたことないので…。じゃあ…お言葉に甘えて失礼します」
――冗談半分期待半分で言った一言はリロイを動かして、がちがちに緊張したティアラの膝に頭を預けてきたので、リロイがくすっと笑った。
「緊張してますか?それこそ僕にも緊張が移るからリラックスして下さい。ああ…気持ちいい」
「そ、そうですか?私柔肌だから…」
「知ってます。あなたの腕を少し強く掴むだけで赤くなるのも知ってます。こんなことしたらあなたの膝に青痣ができるんじゃ…」
「大丈夫です魔法で治しますから」
冗談を返して笑い合い、リロイのやわらかい金の髪を撫でているうちにリロイがうとうとしだした。
限りなく優しい気持ちになってそのまま撫でていると、寝息が聴こえてさらに愛しさが増した。
…平常心でいられるだろうか?
ずっと一緒なのに――