魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「あのチビハゲ王子…なんか悪さしてんだろうなあ」
“悪さ”にかけては右に出る者は居ない魔王が呟くと、抱っこしていたラスがもじもじと身体を動かしたので顔を覗き込んだ。
「どした?」
「コー…おし…」
「あーっ、わかったからそれ以上言うなって!そこに全個室のトイレがあっから行って来い。デス、チビを頼んだぞ」
「………魔王は?」
「俺はちょっとあっちに用事ー。すぐ戻ってくっから」
「早く早くっ、漏れちゃうっ」
コハクが指したのは繁華街で、デスは言われるがままにラスを受け取って抱っこすると、広い公園に設置されているまるでホテルのようなトイレにラスを連れて行った。
「チビは相変わらずだなあ。ま、そこがいいんだけどさ」
まだ陽が高いうちから繁華街を歩く者はほとんど居なかったが、コハクの脚は目的の店に向かって突き進み、グリーンリバーで1番大きくて流行っている店のドアを慣れた手つきで押して中へ入った。
「よう、マスター居るか?」
「おお、コハク様!復活されたと聴いていたので、いつここへ来るかとお待ちしておりましたよ」
カウンターの奥から出て来たのは羊のような丸くねじれた角のある真っ赤な肌をした大型の上級悪魔で、だがしっかりグリーンリバーの改造済みの魔物たちと同じエプロンをつけていた。
「頼みがあって来たんだけどさー。女たちはまだ来てねえんだろ?」
「おや?ご結婚されるとお聴きしていましたが?」
「や、俺じゃなくってさー。ちょっとイタズラしてやろうかと思ってんだ」
このパブのオーナーである上級悪魔もかつては城でばりばり働いていた働き者だった。
だが人々に慕われて城から離れて人々と共に街に住み、コハクがこのパブを用意してオーナーに据えたのだ。
…ただ単に好き勝手に酒が飲める場所が欲しかっただけなのだが、間近で上級悪魔を見れるとあってパブは観光客にも大人気で、まさに棚から牡丹餅。
「ふふふふ、相変わらずですね魔王様。女の子たちは2階に居ますからしばしお待ちを」
「おう」
――コハクもまたリロイとティアラが共にあるべきだと思っている。
そしてクリスタルパレスを任せたいとも思っている。
「だから手を貸してやるよ」
独りごちて、勝手に棚から酒を取り出して飲み始めた。
“悪さ”にかけては右に出る者は居ない魔王が呟くと、抱っこしていたラスがもじもじと身体を動かしたので顔を覗き込んだ。
「どした?」
「コー…おし…」
「あーっ、わかったからそれ以上言うなって!そこに全個室のトイレがあっから行って来い。デス、チビを頼んだぞ」
「………魔王は?」
「俺はちょっとあっちに用事ー。すぐ戻ってくっから」
「早く早くっ、漏れちゃうっ」
コハクが指したのは繁華街で、デスは言われるがままにラスを受け取って抱っこすると、広い公園に設置されているまるでホテルのようなトイレにラスを連れて行った。
「チビは相変わらずだなあ。ま、そこがいいんだけどさ」
まだ陽が高いうちから繁華街を歩く者はほとんど居なかったが、コハクの脚は目的の店に向かって突き進み、グリーンリバーで1番大きくて流行っている店のドアを慣れた手つきで押して中へ入った。
「よう、マスター居るか?」
「おお、コハク様!復活されたと聴いていたので、いつここへ来るかとお待ちしておりましたよ」
カウンターの奥から出て来たのは羊のような丸くねじれた角のある真っ赤な肌をした大型の上級悪魔で、だがしっかりグリーンリバーの改造済みの魔物たちと同じエプロンをつけていた。
「頼みがあって来たんだけどさー。女たちはまだ来てねえんだろ?」
「おや?ご結婚されるとお聴きしていましたが?」
「や、俺じゃなくってさー。ちょっとイタズラしてやろうかと思ってんだ」
このパブのオーナーである上級悪魔もかつては城でばりばり働いていた働き者だった。
だが人々に慕われて城から離れて人々と共に街に住み、コハクがこのパブを用意してオーナーに据えたのだ。
…ただ単に好き勝手に酒が飲める場所が欲しかっただけなのだが、間近で上級悪魔を見れるとあってパブは観光客にも大人気で、まさに棚から牡丹餅。
「ふふふふ、相変わらずですね魔王様。女の子たちは2階に居ますからしばしお待ちを」
「おう」
――コハクもまたリロイとティアラが共にあるべきだと思っている。
そしてクリスタルパレスを任せたいとも思っている。
「だから手を貸してやるよ」
独りごちて、勝手に棚から酒を取り出して飲み始めた。