魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
2階からどたどたと音を立てて現れたのは美女の集団で、このグリーンリバーの中でも秀でた美しい女たちだ。
「私たちに用って聴いて降りてきたら……まあ、なんてかっこいいお方…!」
「よう、ちょっとお前たちに頼みがあって来たんだ。ギャラははずむぜ」
ラスと想いを遂げていなければ今頃乱痴気騒ぎになっていたのは間違いないが、コハクは一瞬女たちにちらりと視線を走らせただけでまた強い酒を豪快に呷った。
女たちはコハクの息をするのも忘れてしまうほどの美貌と、絶対に性格の悪そうな底意地の悪い笑みを見てきゅんとなりながらコハクを取り囲んだ。
「頼みって…なんですか?」
「今夜、あの城の3階の西の端の部屋にいる奴を接待してもらいたい。強い酒飲ませて床に転がしておいてくれるだけでいいんだけど、嘘の既成事実を作りたいんだ。ま、簡単に言うと罠に嵌めたい男が居るってことなんだけどな」
「罠?面白そう!」
きゃっきゃと騒ぐ女たちをうっとりさせる笑み…もとい作り笑顔を浮かべたコハクは、唇に人差し指をあてて“しぃー”と言うと、女たちをさらに近づけさせて声を潜めて作戦を教えた。
「というわけで、協力してもらえると助かるんだけど」
「なんて悪いお方…!マスターの知り合いっていうのもあるけど、面白そうだし協力させて下さい!」
――コハクは女たちが舐めるような目つきで自分を見ていることに気付いていた。
そう…女なら誰しもがこうなる。
例外なのは、ラスだけ。
「なんだ?ギャラじゃなくて違う方がいいのか?」
「“違う方”っていうのは…?」
期待に瞳を輝かせる女たちとひとりひとり見つめ合ったコハクがぱちんを指を鳴らすと、女たちの瞳が焦点を失って突然全員その場に崩れ落ちた。
「魔王様…女の子たちにイタズラは困りますよ」
「いや、今頭の中で思い描いていることをちょっとリアルにさせただけだし。実際俺がこいつらを抱いたりしたわけじゃねえし」
コハクに“抱かれたい”と思っていて、それを頭の中で想像していた女たちは、まるでそれを実体験したかのようにリアルな夢を見せられていた。
全員がうっとりして腰砕けになっている中、悠々とひとり腰を上げたコハクは手を振ってドアに手をかけた。
「じゃあ頼んだぞ。待っててね俺の可愛い天使ちゃん!」
急ぎ足。
「私たちに用って聴いて降りてきたら……まあ、なんてかっこいいお方…!」
「よう、ちょっとお前たちに頼みがあって来たんだ。ギャラははずむぜ」
ラスと想いを遂げていなければ今頃乱痴気騒ぎになっていたのは間違いないが、コハクは一瞬女たちにちらりと視線を走らせただけでまた強い酒を豪快に呷った。
女たちはコハクの息をするのも忘れてしまうほどの美貌と、絶対に性格の悪そうな底意地の悪い笑みを見てきゅんとなりながらコハクを取り囲んだ。
「頼みって…なんですか?」
「今夜、あの城の3階の西の端の部屋にいる奴を接待してもらいたい。強い酒飲ませて床に転がしておいてくれるだけでいいんだけど、嘘の既成事実を作りたいんだ。ま、簡単に言うと罠に嵌めたい男が居るってことなんだけどな」
「罠?面白そう!」
きゃっきゃと騒ぐ女たちをうっとりさせる笑み…もとい作り笑顔を浮かべたコハクは、唇に人差し指をあてて“しぃー”と言うと、女たちをさらに近づけさせて声を潜めて作戦を教えた。
「というわけで、協力してもらえると助かるんだけど」
「なんて悪いお方…!マスターの知り合いっていうのもあるけど、面白そうだし協力させて下さい!」
――コハクは女たちが舐めるような目つきで自分を見ていることに気付いていた。
そう…女なら誰しもがこうなる。
例外なのは、ラスだけ。
「なんだ?ギャラじゃなくて違う方がいいのか?」
「“違う方”っていうのは…?」
期待に瞳を輝かせる女たちとひとりひとり見つめ合ったコハクがぱちんを指を鳴らすと、女たちの瞳が焦点を失って突然全員その場に崩れ落ちた。
「魔王様…女の子たちにイタズラは困りますよ」
「いや、今頭の中で思い描いていることをちょっとリアルにさせただけだし。実際俺がこいつらを抱いたりしたわけじゃねえし」
コハクに“抱かれたい”と思っていて、それを頭の中で想像していた女たちは、まるでそれを実体験したかのようにリアルな夢を見せられていた。
全員がうっとりして腰砕けになっている中、悠々とひとり腰を上げたコハクは手を振ってドアに手をかけた。
「じゃあ頼んだぞ。待っててね俺の可愛い天使ちゃん!」
急ぎ足。