魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ティアラが落ち着くまでかなりの時間がかかった。
リロイは当初の予定を切り上げてグリーンリバーに戻ることを決めて、両手で顔を覆って俯いているティアラの肩にそっと手を乗せた。
「ティアラ…戻りましょう。今日はもう…」
「…迷惑をかけて…ごめんなさい…」
「いえ、あなたは何も悪くない。悪いのは…フォーンです。できればあなたとの会話も避けてあげたい。…本当に結婚するんですか?」
「…はい」
消え入るような声で返事をしたティアラがなんとか力を振り絞って立ち上がると、先程のフォーンの登場のショックをまだ身体が覚えているのか脚が萎えて立ち上がれずにまた力なくうなだれた。
そのショックには計り知れないものがある。
また肩を震わせて嗚咽を堪えるティアラを抱き上げたリロイは、驚いて瞳を見開くティアラの頭にフードを被せて泣き顔が見えないようにすると、テントを出て待機しているドラちゃんの居る広場へと向かった。
「そのまま俯いていて下さい。今日はもうグリーンリバーに戻ってゆっくりしましょう。…とはいっても僕と同じ部屋ですけど、いいですか?」
「!…はい…」
「僕は口下手だから面白い話もできないですけど、あなたの傍に居てやれることくらいはできます。あなたと疎遠だった2年間、僕が何をしていたか…よければ聴いて下さい」
「はい…喜んで…」
ようやく少し笑顔が戻ったティアラに笑いかけたリロイは、ワニのように口を開けて日向ぼっこをしているドラちゃんの前に立って肩を竦めた。
「乗せてもらってもいいかな」
『…礼にベイビィちゃんに俺を触ってくれるように言ってくれ』
「わかった。ラスには僕から言っておくよ」
口を閉めたドラちゃんの背に乗って後ろからティアラが落ちないように腰を抱いたリロイは、皆が手を振ってきたので笑顔で手を振り返しながらティアラの耳元でこそりと囁いた。
「今日は添い寝してあげましょうか?」
「…!い、いえ、結構です!」
「ふふ、じゃあいつでも言って下さい。いつでも大歓迎です」
――気分が一気に明るくなった。
この人は、私を守ってくれる。
最後の時が来るまで、ずっとずっと。
だから…頑張れる。
リロイは当初の予定を切り上げてグリーンリバーに戻ることを決めて、両手で顔を覆って俯いているティアラの肩にそっと手を乗せた。
「ティアラ…戻りましょう。今日はもう…」
「…迷惑をかけて…ごめんなさい…」
「いえ、あなたは何も悪くない。悪いのは…フォーンです。できればあなたとの会話も避けてあげたい。…本当に結婚するんですか?」
「…はい」
消え入るような声で返事をしたティアラがなんとか力を振り絞って立ち上がると、先程のフォーンの登場のショックをまだ身体が覚えているのか脚が萎えて立ち上がれずにまた力なくうなだれた。
そのショックには計り知れないものがある。
また肩を震わせて嗚咽を堪えるティアラを抱き上げたリロイは、驚いて瞳を見開くティアラの頭にフードを被せて泣き顔が見えないようにすると、テントを出て待機しているドラちゃんの居る広場へと向かった。
「そのまま俯いていて下さい。今日はもうグリーンリバーに戻ってゆっくりしましょう。…とはいっても僕と同じ部屋ですけど、いいですか?」
「!…はい…」
「僕は口下手だから面白い話もできないですけど、あなたの傍に居てやれることくらいはできます。あなたと疎遠だった2年間、僕が何をしていたか…よければ聴いて下さい」
「はい…喜んで…」
ようやく少し笑顔が戻ったティアラに笑いかけたリロイは、ワニのように口を開けて日向ぼっこをしているドラちゃんの前に立って肩を竦めた。
「乗せてもらってもいいかな」
『…礼にベイビィちゃんに俺を触ってくれるように言ってくれ』
「わかった。ラスには僕から言っておくよ」
口を閉めたドラちゃんの背に乗って後ろからティアラが落ちないように腰を抱いたリロイは、皆が手を振ってきたので笑顔で手を振り返しながらティアラの耳元でこそりと囁いた。
「今日は添い寝してあげましょうか?」
「…!い、いえ、結構です!」
「ふふ、じゃあいつでも言って下さい。いつでも大歓迎です」
――気分が一気に明るくなった。
この人は、私を守ってくれる。
最後の時が来るまで、ずっとずっと。
だから…頑張れる。