魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ドラちゃんに乗ってグリーンリバーに戻ったリロイとティアラは、中庭に降りて城へ入ろうとした時、フォーンを置き去りにしてきたことに気付いて両手で口を覆った。
「フォーン王子のこと、忘れてました…」
「別にいいんじゃないですか、勝手に来たんだから勝手に戻って来ますよ」
リロイが素っ気なく言って小さな息をつくと、またもやティアラはそこで化粧が完全に落ちていることに気付いてフードを思いきり目深に被った。
「ティアラ?」
「み、見ないで下さい!私今お化粧が…」
「あなたの素顔は何度か見たことありますよ。僕は化粧をしてない方が好きですけど」
「え?」
真顔で聞き返すとリロイの頬が少し赤くなったのでまたもやきょとんとしていると、頭上から可愛らしい高い声が降ってきた。
「ティアラー!」
「あ、ラス…」
「アレ買って来たから部屋に来てねー!」
「?アレって…なんですか?」
「!なんでもありません!じゃあ私、ラスの所に…」
「僕も行きます。僕はあなたの杖だから」
ラスは超笑顔で手を振っているし、魔王は横でラスに構えってもらえずにふてくされているし…恐らくあの死神も傍に居るだろう。
楽しい仲間と出会えて恵まれて…こうして皆で集まって騒ぐ時間も残り僅かだ。
だから、少しは我が儘になってみようと決めていた。
「ティアラ?」
「なんだか脚が痛くて歩けません。その…ラスみたいに…」
「ああ、なんだそんなことですか。いいですよ」
リロイがティアラの足元で片膝を突き、リロイの肩で重心を支えている間に白いブーツを脱がせてくれた。
「ラスも細いけど、あなたももう少し太った方がいいですよ。まるで羽を抱っこしてるみたいだ」
「太らないように気を付けてるんです。太ってて見栄えの悪い女王なんて国民は嫌でしょうから」
「…チビでハゲな王子よりは全然マシですよ。女王や国王は見栄えが良い方がいいでしょうが、あなたは美しくて綺麗だけど、フォーン王子は駄目だ。あなたには釣り合わない」
――いつになく毒舌なリロイの腕に抱かれて階段を上がっている間、ティアラはずっとリロイの唇を見ていた。
…何度か重なったことのある唇は薄くて綺麗で、このまま立場を忘れてキスしたくなるのを堪えて、俯いた。
「フォーン王子のこと、忘れてました…」
「別にいいんじゃないですか、勝手に来たんだから勝手に戻って来ますよ」
リロイが素っ気なく言って小さな息をつくと、またもやティアラはそこで化粧が完全に落ちていることに気付いてフードを思いきり目深に被った。
「ティアラ?」
「み、見ないで下さい!私今お化粧が…」
「あなたの素顔は何度か見たことありますよ。僕は化粧をしてない方が好きですけど」
「え?」
真顔で聞き返すとリロイの頬が少し赤くなったのでまたもやきょとんとしていると、頭上から可愛らしい高い声が降ってきた。
「ティアラー!」
「あ、ラス…」
「アレ買って来たから部屋に来てねー!」
「?アレって…なんですか?」
「!なんでもありません!じゃあ私、ラスの所に…」
「僕も行きます。僕はあなたの杖だから」
ラスは超笑顔で手を振っているし、魔王は横でラスに構えってもらえずにふてくされているし…恐らくあの死神も傍に居るだろう。
楽しい仲間と出会えて恵まれて…こうして皆で集まって騒ぐ時間も残り僅かだ。
だから、少しは我が儘になってみようと決めていた。
「ティアラ?」
「なんだか脚が痛くて歩けません。その…ラスみたいに…」
「ああ、なんだそんなことですか。いいですよ」
リロイがティアラの足元で片膝を突き、リロイの肩で重心を支えている間に白いブーツを脱がせてくれた。
「ラスも細いけど、あなたももう少し太った方がいいですよ。まるで羽を抱っこしてるみたいだ」
「太らないように気を付けてるんです。太ってて見栄えの悪い女王なんて国民は嫌でしょうから」
「…チビでハゲな王子よりは全然マシですよ。女王や国王は見栄えが良い方がいいでしょうが、あなたは美しくて綺麗だけど、フォーン王子は駄目だ。あなたには釣り合わない」
――いつになく毒舌なリロイの腕に抱かれて階段を上がっている間、ティアラはずっとリロイの唇を見ていた。
…何度か重なったことのある唇は薄くて綺麗で、このまま立場を忘れてキスしたくなるのを堪えて、俯いた。