魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その後ぐっすりと眠り、ひとりで起きれるようになったラスは顔を洗って外へ出るとウサギたちの居た花畑へ行った。
その間ヒキガエルの姿を捜したのだが見かけることができなかったので、昨晩素敵な幻を見せてくれた夢幻花を探すと摘み取らずに顔を寄せて話しかけた。
「昨日はありがとう。花を散らせちゃってごめんね」
「お嬢さん、美味しい木の実はいかがですか?」
「あ、ウサギさんたち!」
駆け寄ってきたのは昨日飴を分けてあげたウサギとリスとインコで、ブルーベリーの木の実やイチゴをラスに差し出した。
「ありがとう、お礼に飴を…」
「いや、要らないよ。要らないけどお嬢さんにお願いがあるんだ」
耳をぴょこぴょこ動かして上目遣いで見つめてくるウサギが森の奥深くに向かってラスを誘うように走り出した。
「でも…あんまりここから離れちゃいけないって言われてるし…」
「お願いだよ、僕たちにはどうすることもできないんだ。ちょっとだけだから」
一斉にリスやインコたちも走り去ってしまい、好奇心旺盛なラスは誘惑に負けて誘われるがままに森へ入り、あちこちで見かける妖精の姿に感激していた。
「あ…、大きい…!」
――開けた場所に出たと思ったら、そこには大きな燕が力なく横たわっていた。
大きいと言っても、ラスが人間のサイズに戻れば両の掌に乗るほどのサイズの燕だ。
弱っているのか近付いても目を開けず、右の翼には血が滲み、怪我を負っていた。
「助けてあげたいんだけど僕たちその方法が分からなくて…」
「うん、きっと大丈夫。治るかどうかわかんないけどやってみるね」
燕の嘴付近で座るとバッグの中からティアラからもらった癒しの石と、オーディンからもらった蜂蜜を取り出し、まずは傷のある翼にそっと石を押し当てた。
すると出血がだんだん止まってきて、燕の目がゆっくりと開く。
「気が付いた?これを食べて、きっと元気になるから」
蜂蜜を手に掬い取り、小さく口を開いた燕の舌に乗せてやるとゆっくりと飲み込み、ようやく燕が喋った。
「ありがとう…」
「毎日看病に来るから元気になってね」
燕が頷いた。
その間ヒキガエルの姿を捜したのだが見かけることができなかったので、昨晩素敵な幻を見せてくれた夢幻花を探すと摘み取らずに顔を寄せて話しかけた。
「昨日はありがとう。花を散らせちゃってごめんね」
「お嬢さん、美味しい木の実はいかがですか?」
「あ、ウサギさんたち!」
駆け寄ってきたのは昨日飴を分けてあげたウサギとリスとインコで、ブルーベリーの木の実やイチゴをラスに差し出した。
「ありがとう、お礼に飴を…」
「いや、要らないよ。要らないけどお嬢さんにお願いがあるんだ」
耳をぴょこぴょこ動かして上目遣いで見つめてくるウサギが森の奥深くに向かってラスを誘うように走り出した。
「でも…あんまりここから離れちゃいけないって言われてるし…」
「お願いだよ、僕たちにはどうすることもできないんだ。ちょっとだけだから」
一斉にリスやインコたちも走り去ってしまい、好奇心旺盛なラスは誘惑に負けて誘われるがままに森へ入り、あちこちで見かける妖精の姿に感激していた。
「あ…、大きい…!」
――開けた場所に出たと思ったら、そこには大きな燕が力なく横たわっていた。
大きいと言っても、ラスが人間のサイズに戻れば両の掌に乗るほどのサイズの燕だ。
弱っているのか近付いても目を開けず、右の翼には血が滲み、怪我を負っていた。
「助けてあげたいんだけど僕たちその方法が分からなくて…」
「うん、きっと大丈夫。治るかどうかわかんないけどやってみるね」
燕の嘴付近で座るとバッグの中からティアラからもらった癒しの石と、オーディンからもらった蜂蜜を取り出し、まずは傷のある翼にそっと石を押し当てた。
すると出血がだんだん止まってきて、燕の目がゆっくりと開く。
「気が付いた?これを食べて、きっと元気になるから」
蜂蜜を手に掬い取り、小さく口を開いた燕の舌に乗せてやるとゆっくりと飲み込み、ようやく燕が喋った。
「ありがとう…」
「毎日看病に来るから元気になってね」
燕が頷いた。