魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
今まで無駄に生きてきた数百年の間に、“禁書”と呼ばれる本を多数コレクションしてきた。
文字列を追うだけで呪いにかかるものや、声に出して読んではならないもの――
スリルを求める性格だったために、禁書の持ち主が恐れて人の目に触れない場所に保管されていたものを見つけ出して禁書を集めるのが趣味だった時期がある。
グリーンリバーの地下室の扉は魔法で封をしてあるために侵入は不可能だったが、それでも用心してさらに禁書のひとつひとつに封印を施していたコハクの足元には、無数の禁書が無造作に散らばっていた。
「無い…無い…無い…。やっぱり…無いのか」
髪をひとつに括って眼鏡をかけたコハクは机に脚を投げ出して天井を仰ぐと、ひとつ大きなため息をついた。
――今探しているものは、こんなに長く生きていても見つけることができないでいた。
結構真剣に探しているのに、その手がかりの片鱗すら手にしていない。
禁書と呼ばれるものはこんなに沢山あるのに、書かれてあることは大抵“不老不死について”。
…そんなものはすでに手に入れているので、不老不死の記述がある章はすっ飛ばして求めている項目をあれからずっと探していた。
「あー、くそっ。早くチビと一緒に寝てえのに…」
ラスの腹が最近少し膨らんできた気がする。
食欲も前よりはあるみたいで沢山食べるようになり、あまり好きじゃなかった人参も食べるようになった。
それに…デスは語りたがらないが…
デスがラスと子供の命を救わなければ、恐らくこの世界は自分が完膚なきまでに…壊していただろう。
その自信はある。
ラスが死んでしまったら生きている意味などないし、ラスの命をもぎ取った神を呪い、衝動のままに全てを壊し続けたはずだ。
「だから絶対探さなきゃなんねえんだ」
なんでも知っているローズマリーやオーディンがその方法を知らないことも知っている。
だから自分のこの手で探して、突き止めなければ。
――少し休憩を取っている時に、2年前にラスが作ってくれたへたくそな花冠を胸から取り出したコハクは、それを被って幼かった頃からのラスの成長を追った。
可愛くなるとは思っていたが、愛しくなるとは思っていなかった。
だから絶対…失敗してはいけない。
文字列を追うだけで呪いにかかるものや、声に出して読んではならないもの――
スリルを求める性格だったために、禁書の持ち主が恐れて人の目に触れない場所に保管されていたものを見つけ出して禁書を集めるのが趣味だった時期がある。
グリーンリバーの地下室の扉は魔法で封をしてあるために侵入は不可能だったが、それでも用心してさらに禁書のひとつひとつに封印を施していたコハクの足元には、無数の禁書が無造作に散らばっていた。
「無い…無い…無い…。やっぱり…無いのか」
髪をひとつに括って眼鏡をかけたコハクは机に脚を投げ出して天井を仰ぐと、ひとつ大きなため息をついた。
――今探しているものは、こんなに長く生きていても見つけることができないでいた。
結構真剣に探しているのに、その手がかりの片鱗すら手にしていない。
禁書と呼ばれるものはこんなに沢山あるのに、書かれてあることは大抵“不老不死について”。
…そんなものはすでに手に入れているので、不老不死の記述がある章はすっ飛ばして求めている項目をあれからずっと探していた。
「あー、くそっ。早くチビと一緒に寝てえのに…」
ラスの腹が最近少し膨らんできた気がする。
食欲も前よりはあるみたいで沢山食べるようになり、あまり好きじゃなかった人参も食べるようになった。
それに…デスは語りたがらないが…
デスがラスと子供の命を救わなければ、恐らくこの世界は自分が完膚なきまでに…壊していただろう。
その自信はある。
ラスが死んでしまったら生きている意味などないし、ラスの命をもぎ取った神を呪い、衝動のままに全てを壊し続けたはずだ。
「だから絶対探さなきゃなんねえんだ」
なんでも知っているローズマリーやオーディンがその方法を知らないことも知っている。
だから自分のこの手で探して、突き止めなければ。
――少し休憩を取っている時に、2年前にラスが作ってくれたへたくそな花冠を胸から取り出したコハクは、それを被って幼かった頃からのラスの成長を追った。
可愛くなるとは思っていたが、愛しくなるとは思っていなかった。
だから絶対…失敗してはいけない。