魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「あれ?」
夜になると約束通りローズマリーの部屋を訪れたのだがノックしても返事はなく、勝手に中に入ったコハクは部屋の主が不在であることに首を傾げた。
「お師匠は約束破ったりしねえんだけどなあ…」
あちこち部屋を見て回ったが結局ローズマリーの姿はなく、仕方なくその辺で掃除をしていた改造済みの魔物を掴まえて尋ねた。
「お師匠知らねえか?ピンク色の髪の美人」
「ああ、そういえばどこかへ出かける風で、繁華街の方に歩いて行きましたよ」
「へえ?わかった」
…妙だ。
酒を飲んでいる姿はほとんど見たことがなかったし、持病のある身体に酒はむしろ毒。
自然と早足になったコハクは城を出ると一旦ラスとデスが居る最上階を見上げて投げキッスを送った後、繁華街に脚を向けた。
観光客が多く訪れる街なので飲み屋の数も多いが、コハクの脚は淀みなくあの魔物に任せているパブの前で止まり、外から窓を覗き込むと1人で酒を飲んでいるローズマリーを見つけて中へと入った。
「こーらお師匠、なにやってんだよ」
「あら、もう見つけたの?早いわね」
「ここが1番明るくって入りやすいもんな。それ何杯目だよ」
カウンター席に居たローズマリーの前には空になったグラスが4つあり、少し瞳も虚ろになっていて明らかに酔っぱらっている感じだったので、心配そうに見つめていたマスターに水を頼むと隣に腰かけた。
「酔っぱらってんな?」
「酔ってなんかないわ。…なんなの?1人で飲みたいんだからラス王女の所に戻ったら?」
「今夜は話があるって言ったろ?ったく…薬はどうした?ちょっとじっとしてろよ」
右に左に揺れるローズマリーの身体に極力触れないようにしてローブやローブの中の服のポケットなどを探っている間、急にローズマリーが笑い出した。
「ふふふふふ」
「…なんだよ」
「気を遣ってるの?昔は毎晩私を抱いていた男が?」
「…過去の話だろ。あったあった、これ飲めよ。ほら」
「口移しでなら飲んであげてもいいわよ」
「マジか…どんだけ酔っぱらってんだよ」
だが毎日この薬を飲んでいないとローズマリーがとても苦しむことは知っているので、仕方なく粉薬を口に含んだ。
ローズマリーは…瞳を潤ませてコハクを見つめていた。
夜になると約束通りローズマリーの部屋を訪れたのだがノックしても返事はなく、勝手に中に入ったコハクは部屋の主が不在であることに首を傾げた。
「お師匠は約束破ったりしねえんだけどなあ…」
あちこち部屋を見て回ったが結局ローズマリーの姿はなく、仕方なくその辺で掃除をしていた改造済みの魔物を掴まえて尋ねた。
「お師匠知らねえか?ピンク色の髪の美人」
「ああ、そういえばどこかへ出かける風で、繁華街の方に歩いて行きましたよ」
「へえ?わかった」
…妙だ。
酒を飲んでいる姿はほとんど見たことがなかったし、持病のある身体に酒はむしろ毒。
自然と早足になったコハクは城を出ると一旦ラスとデスが居る最上階を見上げて投げキッスを送った後、繁華街に脚を向けた。
観光客が多く訪れる街なので飲み屋の数も多いが、コハクの脚は淀みなくあの魔物に任せているパブの前で止まり、外から窓を覗き込むと1人で酒を飲んでいるローズマリーを見つけて中へと入った。
「こーらお師匠、なにやってんだよ」
「あら、もう見つけたの?早いわね」
「ここが1番明るくって入りやすいもんな。それ何杯目だよ」
カウンター席に居たローズマリーの前には空になったグラスが4つあり、少し瞳も虚ろになっていて明らかに酔っぱらっている感じだったので、心配そうに見つめていたマスターに水を頼むと隣に腰かけた。
「酔っぱらってんな?」
「酔ってなんかないわ。…なんなの?1人で飲みたいんだからラス王女の所に戻ったら?」
「今夜は話があるって言ったろ?ったく…薬はどうした?ちょっとじっとしてろよ」
右に左に揺れるローズマリーの身体に極力触れないようにしてローブやローブの中の服のポケットなどを探っている間、急にローズマリーが笑い出した。
「ふふふふふ」
「…なんだよ」
「気を遣ってるの?昔は毎晩私を抱いていた男が?」
「…過去の話だろ。あったあった、これ飲めよ。ほら」
「口移しでなら飲んであげてもいいわよ」
「マジか…どんだけ酔っぱらってんだよ」
だが毎日この薬を飲んでいないとローズマリーがとても苦しむことは知っているので、仕方なく粉薬を口に含んだ。
ローズマリーは…瞳を潤ませてコハクを見つめていた。