魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ヒキガエルが家を訪れるとラスはバケツを持って花畑の横を流れている綺麗な小川と森の奥を行ったり来たりしていた。
「何してるケロ…?」
気付かれないようにそっと後をついて行くと、そこには自分も乗れそうな位に大きな燕がうずくまっていて、周りにはいつもセットで一緒に居るウサギとリスとインコが居た。
「今は何も食べれないだろうけどこれを飲むとお腹がいっぱいになるから飲んでみて」
「お嬢さん…こんなに良くしてくれてありがとう。良くなったらきっとお嬢さんの助けになるからね」
「ううん、いいの。私はここから離れられないし、それに何かしてた方が気が紛れるから」
にこーっと笑うラスの回りで気を引こうと躍起になっているウサギたちには腹が立ったが、“ここから離れられない”という言葉に胸が痛んだ。
「…やっぱり本当のことを言った方がいいケロ。でももう少し…もう少し一緒に居たいケロ」
ウサギたちに嫌われていることはわかっていたので、ラスが喜ぶようにと花畑に戻り、花束を作ると部屋のあちこちに飾り、ラスを待った。
――そんなラスは燕が眠ってしまったので1度花畑に座って休憩し、ウサギたちとじゃれていた。
「ラスに話して良かった!手当てをしてくれてありがとう」
「早く元気になるといいね。みんなで毎日看病しに行こうね」
「うん!」
インコがラスの肩に乗り、リスとウサギが我先にとラスの膝に乗ろうと小競り合いをしている様子をじっと見つめている者が在った。
土の中からひょっこりと顔を出したモグラだ。
「可愛い娘が居る…。あの娘っ子を僕の嫁さんしたい!それにヒキガエルにはもったいない!隙をついてあの金の髪の娘を土の中へ連れ込もう」
危機が近付いていることもつゆ知らず、ラスはウサギたちと別れると家に戻り、室内のあちこちに飾られている色とりどりの花を見て感激するとちらちらと視線を投げて来るヒキガエルの手を握った。
「私のために?ありがとう、素敵!」
「えへへ…ケロケロケロケロ!」
嬉しそうに鳴くヒキガエルとお茶を飲み、その日は夕方まで何も起こらなかった。
夕方までは――
「何してるケロ…?」
気付かれないようにそっと後をついて行くと、そこには自分も乗れそうな位に大きな燕がうずくまっていて、周りにはいつもセットで一緒に居るウサギとリスとインコが居た。
「今は何も食べれないだろうけどこれを飲むとお腹がいっぱいになるから飲んでみて」
「お嬢さん…こんなに良くしてくれてありがとう。良くなったらきっとお嬢さんの助けになるからね」
「ううん、いいの。私はここから離れられないし、それに何かしてた方が気が紛れるから」
にこーっと笑うラスの回りで気を引こうと躍起になっているウサギたちには腹が立ったが、“ここから離れられない”という言葉に胸が痛んだ。
「…やっぱり本当のことを言った方がいいケロ。でももう少し…もう少し一緒に居たいケロ」
ウサギたちに嫌われていることはわかっていたので、ラスが喜ぶようにと花畑に戻り、花束を作ると部屋のあちこちに飾り、ラスを待った。
――そんなラスは燕が眠ってしまったので1度花畑に座って休憩し、ウサギたちとじゃれていた。
「ラスに話して良かった!手当てをしてくれてありがとう」
「早く元気になるといいね。みんなで毎日看病しに行こうね」
「うん!」
インコがラスの肩に乗り、リスとウサギが我先にとラスの膝に乗ろうと小競り合いをしている様子をじっと見つめている者が在った。
土の中からひょっこりと顔を出したモグラだ。
「可愛い娘が居る…。あの娘っ子を僕の嫁さんしたい!それにヒキガエルにはもったいない!隙をついてあの金の髪の娘を土の中へ連れ込もう」
危機が近付いていることもつゆ知らず、ラスはウサギたちと別れると家に戻り、室内のあちこちに飾られている色とりどりの花を見て感激するとちらちらと視線を投げて来るヒキガエルの手を握った。
「私のために?ありがとう、素敵!」
「えへへ…ケロケロケロケロ!」
嬉しそうに鳴くヒキガエルとお茶を飲み、その日は夕方まで何も起こらなかった。
夕方までは――