魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
プロの女との経験ならあるフォーンは翌朝…吐き気とものすごい頭痛に襲われていた。


「うぅ…頭が痛い…」


…昨日の記憶があまりない。

リロイとティアラをどう懲らしめてやろうかをずっと考えていた気もするし、楽しく酒を飲んで美女たちに囲まれて腹踊りをしたり歌を唄ったり、そして…プロの女からのサービスも受けたような気がするような、しないような。


「一体何が…」


「う…っ、ひっく…ひどい…」


「ん?」


しくしくと泣く声で身体を起こしたフォーンは、そこがベッドではなく床であることと、そして美女たちが全員ほぼ全裸状態で服で身体を隠しながらこちらを睨みつけていたので、我が目を疑ってぱちくりと瞬きをした。


「な、なんだ!?」


「ひどいわ…。私たち、こういうサービスはしてないのに…。無理矢理私たちを抱いた挙句まだ新米のこの子に手を挙げるなんて!」


「!?わ、私は何もしてないぞ!?」


ひとりだけ純情そうで可愛らしい金髪の子の肩を抱いたリーダーらしき黒髪の気が強そうな顔をした美女は、その子の頬が赤く腫れているのをフォーンに見せつけた。


「訴えてやる!」


「ちょ、ちょっと待て!私は昨晩お前たちと酒を飲んで…それだけだ!サービスは受けた記憶はない!」


「受けた記憶はなくても私たちは無理矢理あんたに抱かれたんだから!マスターに言い付けてやる!マスターは魔物なんだからね!あんたなんか食われてしまうよ」


唖然としているうちに金髪の美女…というか美少女は火がついたように大声で泣き出して、焦って立ち上がったフォーンは自身も全裸であることに彼女たちの悲鳴で気が付いた。



「きゃーーー!みっともないもの見せないでよ!」


「わ、わ、私は…っ」


「おいおい、なんの騒ぎ…………、へえぇえー、婚約者のいるチビハゲ王子ってば何してたのかなー。しかも!複数で!羨ましいなー」


「!!」



ノックもなくドアが開いたと思ったらタイミングよく現れたのは止めどなくにやつきながらドアにもたれ掛っているコハクで、しかも…隣にはリロイとティアラとラスが居た。


「わあ!コー、みんな裸だよ」


「…最低…」


ティアラの嫌悪にまみれた低い声が耳朶を打ち、フォーンは焦って服を着ながら言い訳を考えた。
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