魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
コハクがラスに甘えている頃、リロイは早足で街中を歩いていた。
見学会はすでに有志の協力で行われており、自分の役目はもう無いに等しい。
だが皆はリロイの姿を見止めるなり駆け寄って来て、次々と相談や意見などを求めてきてくれて、フォーン王子とティアラのこと以外を考えたかったリロイは脚を止めて彼らの相談事に乗っていた。
「リロイ」
ようやく追い着いたティアラが息を切らしてマントの袖を握ると、彼らは察したように顔を見合わせてリロイに頭を下げてその場から居なくなった。
改めて冷静になって考えてみると…フォーンを追って危害を加える可能性もあったかもしれない。
そうなるとまだ白騎士の立場で居るからには…ラスやゴールドストーン王国にも迷惑がかかる。
リロイはティアラの足元で片膝を折ると、真っ白でやわらかい手の甲にキスをして頭を下げた。
「…先程は申し訳ありませんでした」
「いいえ…。あなたが助けてくれたから私は無事でした。まさか剣を向ける程度量が狭い男なんて…ますます先が思いやられます」
「…ティアラ…やっぱりあの王子とは結婚はやめた方がいい。あなたにもっと相応しい男がきっと現れます。僕がその日まであなたを守るから、フォーン王子とは結婚はやめて下さい」
真摯な金色の瞳で見上げて来るリロイに見惚れてしまったティアラは、リロイと同じように膝を折って大きくて男らしい右手を両手で包み込んだ。
「ありがとう…。でもお母様たちが決めたことです。私は従うしかないの。王女として…それが私の運命なんです。でも」
一旦言葉を切ったティアラはリロイの手を引き寄せて頬にあてて、そのあたたかさを身体に伝えて、瞳を閉じた。
「フォーン王子に指1本でも触れられたら…私は死にます。あなたを想って、あなたを愛する気持ちを持ったまま。生涯、あなただけしか愛さない。そう決めたから」
「…ティアラ…僕はあなたにそこまで愛される価値も資格もありません。僕は魔法剣に魂をいっときでも奪われた男。…弱い男なんです」
「そんなことないわ。あなたはあの時純粋にラスを愛してた。もし私が同じ立場なら、もっと早く魔法剣に操られていたはず。自分を責めないで」
…ティアラを全力で抱きしめたくなった。
愛は日増しに大きくなる。
見学会はすでに有志の協力で行われており、自分の役目はもう無いに等しい。
だが皆はリロイの姿を見止めるなり駆け寄って来て、次々と相談や意見などを求めてきてくれて、フォーン王子とティアラのこと以外を考えたかったリロイは脚を止めて彼らの相談事に乗っていた。
「リロイ」
ようやく追い着いたティアラが息を切らしてマントの袖を握ると、彼らは察したように顔を見合わせてリロイに頭を下げてその場から居なくなった。
改めて冷静になって考えてみると…フォーンを追って危害を加える可能性もあったかもしれない。
そうなるとまだ白騎士の立場で居るからには…ラスやゴールドストーン王国にも迷惑がかかる。
リロイはティアラの足元で片膝を折ると、真っ白でやわらかい手の甲にキスをして頭を下げた。
「…先程は申し訳ありませんでした」
「いいえ…。あなたが助けてくれたから私は無事でした。まさか剣を向ける程度量が狭い男なんて…ますます先が思いやられます」
「…ティアラ…やっぱりあの王子とは結婚はやめた方がいい。あなたにもっと相応しい男がきっと現れます。僕がその日まであなたを守るから、フォーン王子とは結婚はやめて下さい」
真摯な金色の瞳で見上げて来るリロイに見惚れてしまったティアラは、リロイと同じように膝を折って大きくて男らしい右手を両手で包み込んだ。
「ありがとう…。でもお母様たちが決めたことです。私は従うしかないの。王女として…それが私の運命なんです。でも」
一旦言葉を切ったティアラはリロイの手を引き寄せて頬にあてて、そのあたたかさを身体に伝えて、瞳を閉じた。
「フォーン王子に指1本でも触れられたら…私は死にます。あなたを想って、あなたを愛する気持ちを持ったまま。生涯、あなただけしか愛さない。そう決めたから」
「…ティアラ…僕はあなたにそこまで愛される価値も資格もありません。僕は魔法剣に魂をいっときでも奪われた男。…弱い男なんです」
「そんなことないわ。あなたはあの時純粋にラスを愛してた。もし私が同じ立場なら、もっと早く魔法剣に操られていたはず。自分を責めないで」
…ティアラを全力で抱きしめたくなった。
愛は日増しに大きくなる。