魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
みんなが親切にしてくれる――
今まではただその波に乗っかって生きているだけだった。
だが、コハクと離れてからそんなままでは自分は駄目だと思い、料理だって剣の稽古だってしてきたはずだ。
このモグラは明らかに悪いモグラ。
対してヒキガエルはコハクに会わせてくれるために親切にしてくれたし、花も沢山贈ってくれる。
今自分がヒキガエルを助けなければ。
このままでは、駄目だ。
「…離しなさい」
「え?」
ヒキガエルの血に濡れた爪を舐めていたモグラが小さなラスを見下ろすと…ラスは毅然とした表情でモグラを見上げ、睨みつけていた。
その姿を見たモグラはこの小さな人間の女の子にぞっとしてしまい、自分の意志とは裏腹に一歩後ずさりをしてしまう。
「ヒキガエルさんには手を出さないで。早く土の中に帰ってもうここには来ないで。でないと…」
ローブの胸元の紐を外し、純白のサマードレス姿になると、自らの太股に手を這わせてサマードレスを捲り上げた。
モグラが目を離せずにごくりと喉を鳴らすと、右の太股に装着していた聖石入りの短剣を手にし、水平に構えるとモグラがまた後ずさりをした。
その短剣の柄に埋まっている退魔のブルーストーンに恐れをなしたのだ。
「そ、それは…」
「剣を握れないと思ったの?前の私はそうだったよ。でもね、ひとりで色々できなきゃって思ったの。私だって学んだんだから」
――あの剣に傷つけられれば致命傷にはならずとも長い間苦しむ。
こんな人間の娘一人のためにそんな大けがも負いたくないし、倒れているヒキガエルを見てせいせいしたモグラは降参するように手を挙げるとウサギたちを睨みつけた。
「早く出て行けエロモグラ!」
「くそっ」
ものすごい速さで土を掘ると脱兎の如く居なくなってしまい、ラスはまたヒキガエルの傍らに座るとヒキガエルの傷口にまた石をあてた。
「助けに来てくれてありがとうヒキガエルさん。ウサギさんたちも」
「怪我は…ないケロ?」
「うん、ないよ。本当にありがとう」
ヒキガエルの胸があたたかさで満たされてゆく。
今まではただその波に乗っかって生きているだけだった。
だが、コハクと離れてからそんなままでは自分は駄目だと思い、料理だって剣の稽古だってしてきたはずだ。
このモグラは明らかに悪いモグラ。
対してヒキガエルはコハクに会わせてくれるために親切にしてくれたし、花も沢山贈ってくれる。
今自分がヒキガエルを助けなければ。
このままでは、駄目だ。
「…離しなさい」
「え?」
ヒキガエルの血に濡れた爪を舐めていたモグラが小さなラスを見下ろすと…ラスは毅然とした表情でモグラを見上げ、睨みつけていた。
その姿を見たモグラはこの小さな人間の女の子にぞっとしてしまい、自分の意志とは裏腹に一歩後ずさりをしてしまう。
「ヒキガエルさんには手を出さないで。早く土の中に帰ってもうここには来ないで。でないと…」
ローブの胸元の紐を外し、純白のサマードレス姿になると、自らの太股に手を這わせてサマードレスを捲り上げた。
モグラが目を離せずにごくりと喉を鳴らすと、右の太股に装着していた聖石入りの短剣を手にし、水平に構えるとモグラがまた後ずさりをした。
その短剣の柄に埋まっている退魔のブルーストーンに恐れをなしたのだ。
「そ、それは…」
「剣を握れないと思ったの?前の私はそうだったよ。でもね、ひとりで色々できなきゃって思ったの。私だって学んだんだから」
――あの剣に傷つけられれば致命傷にはならずとも長い間苦しむ。
こんな人間の娘一人のためにそんな大けがも負いたくないし、倒れているヒキガエルを見てせいせいしたモグラは降参するように手を挙げるとウサギたちを睨みつけた。
「早く出て行けエロモグラ!」
「くそっ」
ものすごい速さで土を掘ると脱兎の如く居なくなってしまい、ラスはまたヒキガエルの傍らに座るとヒキガエルの傷口にまた石をあてた。
「助けに来てくれてありがとうヒキガエルさん。ウサギさんたちも」
「怪我は…ないケロ?」
「うん、ないよ。本当にありがとう」
ヒキガエルの胸があたたかさで満たされてゆく。