魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ウサギたちと力を合わせて倒れた戸棚を元に戻し、床に散らばった食器を直している姿をヒキガエルはベッドに横たわって見ていた。
「俺のために…申し訳ないケロ」
「なに言ってるの?ヒキガエルさんは私を助けてくれたんだよ?本当にありがとう」
にこーっと笑ったラスに意を決したヒキガエルはむくりと起き上がるとラスを見据えた。
「ラス…話があるケロ」
「うん、どうしたの?」
「…ここにコーは来ないケロ」
「え?」
――てっきりここに居ればコハクが会いに来てくれると思っていたラスはお皿を戸棚に居れようとした姿勢のまま立ち止まり、足元に居たウサギがラスを見上げて声を潜めた。
「だから言っただろ?ラスは騙されてたんだよ。こいつも悪い奴なんだ」
「でも…守ってくれたよ?でも…嘘をついたってこと?」
「…そうだケロ。本当はキャリィを攫うつもりだったケロ。でも…ラスの方が可愛かったし…俺…ごめんケロ!本当にごめんケロ!」
床の上で土下座をするヒキガエルに驚きを隠せないラスは同じようにしてヒキガエルの前で正座すると、イボイボの背中を撫でた。
「そうだったんだね。じゃあ私はここから出て行かなきゃ。でもヒキガエルさんを怒ったりしないよ。ウサギさんたちとも会えたし、それにやっぱりヒキガエルさんは悪いカエルさんじゃないと思うから」
「ラス…」
「でも出て行くのは明日だから今日はここに居てもいい?あ、そうだ!ウサギさんたちにもご飯作ってあげる!下手だけど…」
「食べる!食べるよ!」
喜ぶウサギとリスとインコがテーブルにつき、ヒキガエルはラスから手を引かれて立ち上がると涙が滲む目を擦った。
「て、手伝うケロ!」
「うん、ありがとう」
ラスと一緒にキッチンに立ち、ラスがゴールドストーン王国の国歌を口ずさむ。
透き通った高く細い声に面々はうっとりとして、この異世界へやってきた小さなお姫様を歓迎して一斉に合唱が始まった。
「コーにも早く食べてもらいたいな」
ラスがそう呟くと、ウサギたちは顔を見合わせてまた強く頷き合った。
その意味をラスはまだ知らない。
「俺のために…申し訳ないケロ」
「なに言ってるの?ヒキガエルさんは私を助けてくれたんだよ?本当にありがとう」
にこーっと笑ったラスに意を決したヒキガエルはむくりと起き上がるとラスを見据えた。
「ラス…話があるケロ」
「うん、どうしたの?」
「…ここにコーは来ないケロ」
「え?」
――てっきりここに居ればコハクが会いに来てくれると思っていたラスはお皿を戸棚に居れようとした姿勢のまま立ち止まり、足元に居たウサギがラスを見上げて声を潜めた。
「だから言っただろ?ラスは騙されてたんだよ。こいつも悪い奴なんだ」
「でも…守ってくれたよ?でも…嘘をついたってこと?」
「…そうだケロ。本当はキャリィを攫うつもりだったケロ。でも…ラスの方が可愛かったし…俺…ごめんケロ!本当にごめんケロ!」
床の上で土下座をするヒキガエルに驚きを隠せないラスは同じようにしてヒキガエルの前で正座すると、イボイボの背中を撫でた。
「そうだったんだね。じゃあ私はここから出て行かなきゃ。でもヒキガエルさんを怒ったりしないよ。ウサギさんたちとも会えたし、それにやっぱりヒキガエルさんは悪いカエルさんじゃないと思うから」
「ラス…」
「でも出て行くのは明日だから今日はここに居てもいい?あ、そうだ!ウサギさんたちにもご飯作ってあげる!下手だけど…」
「食べる!食べるよ!」
喜ぶウサギとリスとインコがテーブルにつき、ヒキガエルはラスから手を引かれて立ち上がると涙が滲む目を擦った。
「て、手伝うケロ!」
「うん、ありがとう」
ラスと一緒にキッチンに立ち、ラスがゴールドストーン王国の国歌を口ずさむ。
透き通った高く細い声に面々はうっとりとして、この異世界へやってきた小さなお姫様を歓迎して一斉に合唱が始まった。
「コーにも早く食べてもらいたいな」
ラスがそう呟くと、ウサギたちは顔を見合わせてまた強く頷き合った。
その意味をラスはまだ知らない。