魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ラスがすやすや眠っている間、膝を抱えて椅子に座っていたデスはコハクが戻って来るまでずっとラスの寝顔をぼんやり見つめていた。
…コハクが探し求めているものの正体を知っている。
だがコハクよりもずっとずっと前から生きているデスにとっても、そんな方法は聴いたことがないし、第一人間が不死の魔法を編み出したこと自体奇跡とも言える。
不死の身体を元の状態に戻す魔法…強力な解呪魔法もあるが、恐らく不死の魔法をも帳消しにするほどの効力は持っていない。
一緒に探してやりたいが…
不死の魔法が失敗して、ラスの笑顔があと数十年で見れなくなるのは…きっと、つらい。
「お、寝てる寝てる。…なんだまたお前チビの寝顔ばっか見てたのか?むらむらしたんじゃねえだろな、おい」
「……むらむら…?」
「してねえんならいい。俺の天使ちゃーん、ベビー、パパが帰って来ましたよー」
精神的に疲れたコハクは身体を引きずるようにしてラスの傍らで膝を折って頬を撫でようとして、ラスの隣で本物の赤ちゃんのように寝かされていた人形を見つけて微笑んだ。
「………おむつの替え方……上手になった…」
「マジでか。ちょっと前なら出来ねえことはすっぱり諦めてたけど…頑張ったんだな。…あー可愛い!チビみたいな女の子が生まれたらどうしよう!俺絶対引きこもりになる!」
「…う、ん…、あ、コー…お帰りなさい。一緒寝よ…」
「あー、起こして悪い。じゃあ失礼しまーす。…おい、なんでお前もベッドに入ろうとしてんだよ」
「………俺も…寝る…」
「うん、いいよ。2人ともお腹踏んづけないでね」
瞳をとろんとさせたまま寝ぼけ声でそう注意した後またすぐに眠りに落ちてしまったラスの唇にちゅっとキスをしたコハクは、赤い瞳を和らげて腕枕をしてやりながらラスの腹を撫でた。
「…死神の書にチビの名前はないんだよな?」
「………うん」
「じゃあ不死の魔法が失敗したとしても、すぐ死にはしねえってことか。…死ぬって難しいんだな。俺は俺が死ぬ方法が見つからねえ」
「……魔王…完璧。……だから…失敗…しない…」
「あ、やっぱそう思う!?さっすが俺のマブダチ、わかってるねえ」
――ラスはそんな2人の会話を夢現にも聴いていた。
コハクが探しているものの正体を知り、コハクに愛されていることをまた強く実感して、寝ぼけているふりをしてコハクの身体に強く抱き着いた。
…コハクが探し求めているものの正体を知っている。
だがコハクよりもずっとずっと前から生きているデスにとっても、そんな方法は聴いたことがないし、第一人間が不死の魔法を編み出したこと自体奇跡とも言える。
不死の身体を元の状態に戻す魔法…強力な解呪魔法もあるが、恐らく不死の魔法をも帳消しにするほどの効力は持っていない。
一緒に探してやりたいが…
不死の魔法が失敗して、ラスの笑顔があと数十年で見れなくなるのは…きっと、つらい。
「お、寝てる寝てる。…なんだまたお前チビの寝顔ばっか見てたのか?むらむらしたんじゃねえだろな、おい」
「……むらむら…?」
「してねえんならいい。俺の天使ちゃーん、ベビー、パパが帰って来ましたよー」
精神的に疲れたコハクは身体を引きずるようにしてラスの傍らで膝を折って頬を撫でようとして、ラスの隣で本物の赤ちゃんのように寝かされていた人形を見つけて微笑んだ。
「………おむつの替え方……上手になった…」
「マジでか。ちょっと前なら出来ねえことはすっぱり諦めてたけど…頑張ったんだな。…あー可愛い!チビみたいな女の子が生まれたらどうしよう!俺絶対引きこもりになる!」
「…う、ん…、あ、コー…お帰りなさい。一緒寝よ…」
「あー、起こして悪い。じゃあ失礼しまーす。…おい、なんでお前もベッドに入ろうとしてんだよ」
「………俺も…寝る…」
「うん、いいよ。2人ともお腹踏んづけないでね」
瞳をとろんとさせたまま寝ぼけ声でそう注意した後またすぐに眠りに落ちてしまったラスの唇にちゅっとキスをしたコハクは、赤い瞳を和らげて腕枕をしてやりながらラスの腹を撫でた。
「…死神の書にチビの名前はないんだよな?」
「………うん」
「じゃあ不死の魔法が失敗したとしても、すぐ死にはしねえってことか。…死ぬって難しいんだな。俺は俺が死ぬ方法が見つからねえ」
「……魔王…完璧。……だから…失敗…しない…」
「あ、やっぱそう思う!?さっすが俺のマブダチ、わかってるねえ」
――ラスはそんな2人の会話を夢現にも聴いていた。
コハクが探しているものの正体を知り、コハクに愛されていることをまた強く実感して、寝ぼけているふりをしてコハクの身体に強く抱き着いた。