魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
有言実行と言わんばかりに書類整理をしているコハクを見守りつつ、ソファに寝そべって子守唄を歌っていたラスがうとうとし始めた。
「グリーンリバーに残ってれば良かったのに。ほらチビ、タオルケットかけてやるから寝とけよ」
「う、ん…。コー…おやすみなさい…」
妊娠してからいっそう眠る頻度の多くなったラスの身体にタオルケットをかけてやったコハクはまたデスクに戻ると、長い脚をデスクの上に放り出して速読を再開した。
そうしているうちに、最近ずっとラスの胸の谷間に挟まっているベルルがコハクの肩にちょこんと乗りながら、吊り上った瞳を和らげてコハクの探し物に言及した。
「コハク様…ラスに打ち明けないんですか?」
「は?打ち明けてどうするんだよ。チビが心配するだけだし、そんな不安抱えるのは俺1人でいい。…おいデス、お前も他言は無用だからな」
「……俺…話す友達…居ない…」
床に直接座ってソファに背中を預けて膝を抱えていたデスは、ラスが残したパンをこれまた綺麗に平らげて口元を手の甲で拭うと、無表情のコハクに笑いかけてコハクの手を止めさせた。
「なんだよ、どした?」
「……俺の友達…魔王だけ…」
「ああ、そだな、でも小僧やボインももう友達だと思うけどな。さっきグラースとちょっと話してたろ?」
「……あの人…怖い…」
「女豹みたいな目ぇしてたもんなー。あー襲われたい!いや違う!チビに襲われたい!」
相変わらず妄想だけでコーフンできる魔王がにやにやし始めたのをデスとベルルが顔を見合わせて呆れ返り、窓の方へ飛んで行ったベルルはにぎやかになったクリスタルパレスを面白そうに見下ろした。
「コハク様が作った街はこれで2つ目ですね。ここにも魔物を住ませるんですか?」
「や、人だけで生活させる。ここの蒸留酒はマジで美味かったし、製造法が書かれてある本も見つけた。またすぐに前みたく栄えるようになる」
コハクがただ暴れ回っていただけではないことをベルルはもちろん知っていたので、羽をはためかせながらまたコハクの肩に戻ったベルルは、かつてとても愛していたコハクの頬にキスをした。
「おい、やめろって。チビに怒られるだろ!」
「えへへー、これ位なら許してくれますよ。あ、死神にもしてあげよっか?」
「……いやだ」
ぷいっと顔を逸らしたデスはラスの寝顔に見入り、小さくてたおやかな白い手をきゅっと握った。
「グリーンリバーに残ってれば良かったのに。ほらチビ、タオルケットかけてやるから寝とけよ」
「う、ん…。コー…おやすみなさい…」
妊娠してからいっそう眠る頻度の多くなったラスの身体にタオルケットをかけてやったコハクはまたデスクに戻ると、長い脚をデスクの上に放り出して速読を再開した。
そうしているうちに、最近ずっとラスの胸の谷間に挟まっているベルルがコハクの肩にちょこんと乗りながら、吊り上った瞳を和らげてコハクの探し物に言及した。
「コハク様…ラスに打ち明けないんですか?」
「は?打ち明けてどうするんだよ。チビが心配するだけだし、そんな不安抱えるのは俺1人でいい。…おいデス、お前も他言は無用だからな」
「……俺…話す友達…居ない…」
床に直接座ってソファに背中を預けて膝を抱えていたデスは、ラスが残したパンをこれまた綺麗に平らげて口元を手の甲で拭うと、無表情のコハクに笑いかけてコハクの手を止めさせた。
「なんだよ、どした?」
「……俺の友達…魔王だけ…」
「ああ、そだな、でも小僧やボインももう友達だと思うけどな。さっきグラースとちょっと話してたろ?」
「……あの人…怖い…」
「女豹みたいな目ぇしてたもんなー。あー襲われたい!いや違う!チビに襲われたい!」
相変わらず妄想だけでコーフンできる魔王がにやにやし始めたのをデスとベルルが顔を見合わせて呆れ返り、窓の方へ飛んで行ったベルルはにぎやかになったクリスタルパレスを面白そうに見下ろした。
「コハク様が作った街はこれで2つ目ですね。ここにも魔物を住ませるんですか?」
「や、人だけで生活させる。ここの蒸留酒はマジで美味かったし、製造法が書かれてある本も見つけた。またすぐに前みたく栄えるようになる」
コハクがただ暴れ回っていただけではないことをベルルはもちろん知っていたので、羽をはためかせながらまたコハクの肩に戻ったベルルは、かつてとても愛していたコハクの頬にキスをした。
「おい、やめろって。チビに怒られるだろ!」
「えへへー、これ位なら許してくれますよ。あ、死神にもしてあげよっか?」
「……いやだ」
ぷいっと顔を逸らしたデスはラスの寝顔に見入り、小さくてたおやかな白い手をきゅっと握った。