魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
ティアラにはっきりと愛の告白をされたリロイは、恥じ入る想いで俯いた。
…女性からこんなことを言わせてしまった自分の優柔不断さが許せなくて、“立場が違うから”と言い訳をしてティアラとの仲の前進を拒んだこと――今となっては全て自分のせいだ。
だがティアラはまっすぐにフィリアを見つめている。
何の迷いもなく、何の躊躇もなく、死をも選ぶと宣言をして血を吐くような告白をしたのだ。
「…そう、わかりました。あなたはフォーン王子と結婚する意志がないのね?」
「…ありません。でもフォーン王子とお会いするまでは、国や国民のために結婚しなければと思っていました。でもお母様…!フォーン王子は…っ」
「ええ…わかっていますよ。ティアラ…私とオーフェンがフォーン王子を選んだのは、紙の上でのことでした。小国であれど最も血統が良かったの。…ただそれだけで、私とオーフェンは…」
フィリアが嗚咽を漏らし、黒ダイヤのような瞳からぽとりと涙を零した。
良かれと思って選んだ相手だったが、実際先ほどはじめて会ったオーフェンの第一印象は、“卑小な男”だったのだ。
背も瞳も小さく、数年後は禿頭になるであろう髪の少ない頭――
その点、リロイは血統はどうであれ、勇者にとっての資質をすべて兼ね備え、ティアラと共に旅をして心を繋いできた男――申し分ない。
「白騎士リロイ…あなたはティアラのことをどう思っているの?前置きはいいからはっきり言ってちょうだい」
ティアラは不安に揺れる瞳でリロイをじっと見つめた。
少しでも好意を寄せてくれていることはわかっていたが、今まで絶対に“期待をしてはいけない”と思いながら過ごしてきたのだ。
彼は今も白騎士で、今もきっとラスを第1に考えているはず。
――だがリロイは1度深い深呼吸をして顔を上げた時、とても落ち着いた表情をしていながらも、ティアラと同じように決意に溢れたまっすぐな瞳をしていた。
「…フィリア女王陛下…僕は…僕もティアラを愛しています。ティアラに不幸になってほしくない。旅の間、僕をずっと励ましてくれた大切な人です。だから…」
「あなたにティアラを嫁がせてもいいわ」
フィリアの口から飛び出た言葉は、成り行きを隅の方でじっと見つめていたコハクとラスをも驚かせた。
そしてリロイとティアラが顔を見合わせ、フィリアがほほ笑む。
「あなたの覚悟を見せて」
…女性からこんなことを言わせてしまった自分の優柔不断さが許せなくて、“立場が違うから”と言い訳をしてティアラとの仲の前進を拒んだこと――今となっては全て自分のせいだ。
だがティアラはまっすぐにフィリアを見つめている。
何の迷いもなく、何の躊躇もなく、死をも選ぶと宣言をして血を吐くような告白をしたのだ。
「…そう、わかりました。あなたはフォーン王子と結婚する意志がないのね?」
「…ありません。でもフォーン王子とお会いするまでは、国や国民のために結婚しなければと思っていました。でもお母様…!フォーン王子は…っ」
「ええ…わかっていますよ。ティアラ…私とオーフェンがフォーン王子を選んだのは、紙の上でのことでした。小国であれど最も血統が良かったの。…ただそれだけで、私とオーフェンは…」
フィリアが嗚咽を漏らし、黒ダイヤのような瞳からぽとりと涙を零した。
良かれと思って選んだ相手だったが、実際先ほどはじめて会ったオーフェンの第一印象は、“卑小な男”だったのだ。
背も瞳も小さく、数年後は禿頭になるであろう髪の少ない頭――
その点、リロイは血統はどうであれ、勇者にとっての資質をすべて兼ね備え、ティアラと共に旅をして心を繋いできた男――申し分ない。
「白騎士リロイ…あなたはティアラのことをどう思っているの?前置きはいいからはっきり言ってちょうだい」
ティアラは不安に揺れる瞳でリロイをじっと見つめた。
少しでも好意を寄せてくれていることはわかっていたが、今まで絶対に“期待をしてはいけない”と思いながら過ごしてきたのだ。
彼は今も白騎士で、今もきっとラスを第1に考えているはず。
――だがリロイは1度深い深呼吸をして顔を上げた時、とても落ち着いた表情をしていながらも、ティアラと同じように決意に溢れたまっすぐな瞳をしていた。
「…フィリア女王陛下…僕は…僕もティアラを愛しています。ティアラに不幸になってほしくない。旅の間、僕をずっと励ましてくれた大切な人です。だから…」
「あなたにティアラを嫁がせてもいいわ」
フィリアの口から飛び出た言葉は、成り行きを隅の方でじっと見つめていたコハクとラスをも驚かせた。
そしてリロイとティアラが顔を見合わせ、フィリアがほほ笑む。
「あなたの覚悟を見せて」