魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
部屋に戻ったラスの瞳が極上のエメラルドのように輝く。
自分ばかり幸せになって…と少しだけ後ろめたい気分になっていたラスの心情を見抜いていたコハクは、相変わらずのラス史上主義だった。
「ボインたちが幸せになったら、チビももーっと幸せになるもんな」
「うん、そうだよ!だってね、リロイとティアラが結婚したらね、赤ちゃんができるでしょ?コーと私のベビーとお友達になるかもしれないでしょっ?すっごく素敵!コーもそう思わないっ?」
「思う思う。でも同性じゃないと不可!もし異性でさあ、くっつきでもしたら…俺のベビーが!俺のかわい子ちゃんが!」
「コー…ベビーはまだ女の子って決まったわけじゃないでしょ?」
コハクとラスは、ともすれば存在を忘れてしまうほどに存在感の薄いデスを見つめた。
実はデスもフィリアたちの話を一緒に聴いていたのだが、フィリアは一切デスの存在に触れなかったので、もしかしたら…存在を忘れていたかもしれない。
「な、なあデス…ベビーは…その…」
「………教えない…」
「ちょびーっとだけ!ちょびっとだけ教えろって。な?」
膝を抱えてソファに座っていたデスをヘッドロックしながらコハクが問い詰めたが、デスの口は貝のように固く、未来を語ろうとしない。
知りたがるコハクに対して、ラスといえば、ベビーが男の子でも女の子でも構わないので、コハクとデスの間にお尻をぐいぐい入れ込んで真ん中に収まると、にっこり笑った。
「絶対可愛いに決まってるんだから、知らなくてもいいでしょ?それよりリロイとティアラのことだよ!ねえコー、フィリア様が言ってた“覚悟”って何なのかなあ?」
「んー、ただじゃティアラはやらねえ、ってことだろ?小僧だって手ぶらでボインを手に入れられるとは思ってねえだろ。フィリアはきっとそれを言いに来たんだぜ」
「そっか…。コーと私みたいに、好きって気持ちだけじゃ駄目なのかな…」
きゅんとしたコハクがラスを撫で回し、デスがそれを真似してラスを撫で回す。
髪がくしゃくしゃになってしまったラスがぷうっと頬を膨らませると、誰かがドアをノックした。
「はーい、だあれ?」
「ラス、私よ」
ラスが勇んでドアを開けてティアラを招き入れ、すぐ傍にリロイが居るのを見たラスは、満面の笑みでティアラの手を引っ張って部屋の中へ引きずり込んだ。
「ティアラ、よかったねっ。リロイと両想いになったんだよ!あとは…あのちっさな王子様をどうにかすればいいだけでしょ?」
ティアラが曖昧に頷いた。
ティアラはもう答えを出し、後はリロイがどう出るかを待つだけだからだ。
ラスがリロイを見つめると、リロイの金色の瞳は…まっすぐな瞳をしていた。
自分ばかり幸せになって…と少しだけ後ろめたい気分になっていたラスの心情を見抜いていたコハクは、相変わらずのラス史上主義だった。
「ボインたちが幸せになったら、チビももーっと幸せになるもんな」
「うん、そうだよ!だってね、リロイとティアラが結婚したらね、赤ちゃんができるでしょ?コーと私のベビーとお友達になるかもしれないでしょっ?すっごく素敵!コーもそう思わないっ?」
「思う思う。でも同性じゃないと不可!もし異性でさあ、くっつきでもしたら…俺のベビーが!俺のかわい子ちゃんが!」
「コー…ベビーはまだ女の子って決まったわけじゃないでしょ?」
コハクとラスは、ともすれば存在を忘れてしまうほどに存在感の薄いデスを見つめた。
実はデスもフィリアたちの話を一緒に聴いていたのだが、フィリアは一切デスの存在に触れなかったので、もしかしたら…存在を忘れていたかもしれない。
「な、なあデス…ベビーは…その…」
「………教えない…」
「ちょびーっとだけ!ちょびっとだけ教えろって。な?」
膝を抱えてソファに座っていたデスをヘッドロックしながらコハクが問い詰めたが、デスの口は貝のように固く、未来を語ろうとしない。
知りたがるコハクに対して、ラスといえば、ベビーが男の子でも女の子でも構わないので、コハクとデスの間にお尻をぐいぐい入れ込んで真ん中に収まると、にっこり笑った。
「絶対可愛いに決まってるんだから、知らなくてもいいでしょ?それよりリロイとティアラのことだよ!ねえコー、フィリア様が言ってた“覚悟”って何なのかなあ?」
「んー、ただじゃティアラはやらねえ、ってことだろ?小僧だって手ぶらでボインを手に入れられるとは思ってねえだろ。フィリアはきっとそれを言いに来たんだぜ」
「そっか…。コーと私みたいに、好きって気持ちだけじゃ駄目なのかな…」
きゅんとしたコハクがラスを撫で回し、デスがそれを真似してラスを撫で回す。
髪がくしゃくしゃになってしまったラスがぷうっと頬を膨らませると、誰かがドアをノックした。
「はーい、だあれ?」
「ラス、私よ」
ラスが勇んでドアを開けてティアラを招き入れ、すぐ傍にリロイが居るのを見たラスは、満面の笑みでティアラの手を引っ張って部屋の中へ引きずり込んだ。
「ティアラ、よかったねっ。リロイと両想いになったんだよ!あとは…あのちっさな王子様をどうにかすればいいだけでしょ?」
ティアラが曖昧に頷いた。
ティアラはもう答えを出し、後はリロイがどう出るかを待つだけだからだ。
ラスがリロイを見つめると、リロイの金色の瞳は…まっすぐな瞳をしていた。