魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
影ではなく本体に戻ってからほんの一瞬――
ほんの一瞬しか完全体のコハクを見ることができなかったラスは、コハクの少し長い黒髪と真っ赤な瞳を見て一気に涙が零れてウサギたちを心配させた。
「やっぱり前に見た男ケロ…。あの男がコーケロ?」
「うん…うん…あの人がコーなの。どうしよう、こんな小さい姿だったら私のことがわからないかも」
その時瞳を細めてこちらを見上げていたコハクの隣に知らない男女が立った。
緑の髪の女…
青の髪の女…
つるつる頭の老人…
赤の髪の男…
そう、彼女たちが、四精霊。
小さな姿ではなく人のサイズで、コハクと同じようにこちらを見上げ、青の髪の女…ウンディーネがひゅっと指を振ると…
「きゃあっ!」
「!チビ!」
急に元のサイズに戻ってしまい、空から落下して大地に叩き付けられるかと思った時――腕に抱き止められた。
「…コー…」
「……」
コハクがまじまじと見下ろしてくる。
2年ぶりに見たコハクの赤い瞳、綺麗な顔、綺麗な唇…あの時のままだ。
あの金色の花畑で愛し合った時と、同じコハクだ。
「コー…なにか話して…?コー、私だよ、ラスだよ」
「お、お前…本当にチビなのか?や、でもそんな…」
「大きくなったわね、おチビさん」
あまりにもガン見してくるコハクの視線に耐えられなくなったラスが両手で顔を隠していると、そう声をかけてきたのはウンディーネで、まだ信じられないといった顔をしているコハクを見て大笑いした。
「きゃははは、まだ面喰ってるし!そうねえ、大人っぽくなったし胸も大きくなったわね!あと…」
「その辺にしてやらんかい。儂ら絶対邪魔だろうて。そっとしておいてやろうぞ」
のほほんと間延びした声で言ったのは頭が長く、つるつるな老人のノーム。
くすくす笑うシルフィードと、腕を組みつつずっと黙っている赤銅色の肌に真っ赤な瞳と髪をしているサラマンダーの背中を押すとその場を離れた。
――コハクとラスが見つめ合う。
そして、また強く抱き合った。
ほんの一瞬しか完全体のコハクを見ることができなかったラスは、コハクの少し長い黒髪と真っ赤な瞳を見て一気に涙が零れてウサギたちを心配させた。
「やっぱり前に見た男ケロ…。あの男がコーケロ?」
「うん…うん…あの人がコーなの。どうしよう、こんな小さい姿だったら私のことがわからないかも」
その時瞳を細めてこちらを見上げていたコハクの隣に知らない男女が立った。
緑の髪の女…
青の髪の女…
つるつる頭の老人…
赤の髪の男…
そう、彼女たちが、四精霊。
小さな姿ではなく人のサイズで、コハクと同じようにこちらを見上げ、青の髪の女…ウンディーネがひゅっと指を振ると…
「きゃあっ!」
「!チビ!」
急に元のサイズに戻ってしまい、空から落下して大地に叩き付けられるかと思った時――腕に抱き止められた。
「…コー…」
「……」
コハクがまじまじと見下ろしてくる。
2年ぶりに見たコハクの赤い瞳、綺麗な顔、綺麗な唇…あの時のままだ。
あの金色の花畑で愛し合った時と、同じコハクだ。
「コー…なにか話して…?コー、私だよ、ラスだよ」
「お、お前…本当にチビなのか?や、でもそんな…」
「大きくなったわね、おチビさん」
あまりにもガン見してくるコハクの視線に耐えられなくなったラスが両手で顔を隠していると、そう声をかけてきたのはウンディーネで、まだ信じられないといった顔をしているコハクを見て大笑いした。
「きゃははは、まだ面喰ってるし!そうねえ、大人っぽくなったし胸も大きくなったわね!あと…」
「その辺にしてやらんかい。儂ら絶対邪魔だろうて。そっとしておいてやろうぞ」
のほほんと間延びした声で言ったのは頭が長く、つるつるな老人のノーム。
くすくす笑うシルフィードと、腕を組みつつずっと黙っている赤銅色の肌に真っ赤な瞳と髪をしているサラマンダーの背中を押すとその場を離れた。
――コハクとラスが見つめ合う。
そして、また強く抱き合った。