魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
その後ディナーの時間までティアラとフィリアは親子の時間を楽しんだらしく、食卓の間に揃って現れた時は、満面の笑みだった。
そして1番最後にやって来たのは、冴えない表情をしたフォーンだ。
それにリロイとティアラの仲がより親密になった様子は誰の目から見ても確かだったし、もちろんグラースも感づいていた。
「ラス、リロイとティアラはどうした?いつもより仲が良いみたいに見える」
「うんっ、あのね、両想いになったの。後でゆっくり教えてあげるねっ」
テーブルに身を乗り出して真向かいに座っていたグラースにラスがそう言い、にこにこと微笑む。
隣に座っていたコハクはラスの腹を撫でてみたり手を繋いでみたり忙しくしていたのだが、フォーンが現れると、椅子にふんぞり返った。
「久々に全員揃ったな。んー?チビハゲエロ王子の顔色が悪いように見えるんだけどなー、どうしたのかなー」
「そ、その呼び方はやめて頂きたい。それに失礼と思わないか?私はいずれティアラ王女と…」
フォーンが何を言おうとしているのかと悟ったティアラの表情が曇ると、リロイが突然立ち上がり、皆の注目を浴びた。
「…皆さんにお話があります」
とても静かだったが、とても決意にみなぎった声――
ティアラがぽうっとなって見上げていると、リロイはそんなティアラの肩にそっと手を置き、口を開いた。
「明日、クリスタルパレスで住民の方々に召集をかけて広場に集まってもらいます。…僕から発表したいことがあるんです」
「へえ、何を言うつもりだよ。つまんねえこと言いやがったらぶっ飛ばすぞ」
「僕なりに決めたことを言う。今の僕が唯一できることだ。フォーン王子、あなたにも来てもらいます。必ず」
「な、私に命令するつもりか?」
「フォーン王子、そこまでに。白騎士リロイ…私も参加していいんでしょうか?」
フィリアが静謐のような眼差しでリロイを見つめると、リロイは力強く頷いた。
「もちろんフィリア女王陛下もいらして下さい。ラス、君もね。身重なのに僕の勝手な我儘でごめん」
「ううん、そんなことないよ。何を話すのか全然わかんないけど、私はリロイの味方だからね」
――ラスの笑顔は、いつだってリロイを癒す魔法の笑顔だ。
椅子に座ったリロイはラスの笑顔に勇気づけられ、テーブルの下でティアラの手をきゅっと握った。
そして1番最後にやって来たのは、冴えない表情をしたフォーンだ。
それにリロイとティアラの仲がより親密になった様子は誰の目から見ても確かだったし、もちろんグラースも感づいていた。
「ラス、リロイとティアラはどうした?いつもより仲が良いみたいに見える」
「うんっ、あのね、両想いになったの。後でゆっくり教えてあげるねっ」
テーブルに身を乗り出して真向かいに座っていたグラースにラスがそう言い、にこにこと微笑む。
隣に座っていたコハクはラスの腹を撫でてみたり手を繋いでみたり忙しくしていたのだが、フォーンが現れると、椅子にふんぞり返った。
「久々に全員揃ったな。んー?チビハゲエロ王子の顔色が悪いように見えるんだけどなー、どうしたのかなー」
「そ、その呼び方はやめて頂きたい。それに失礼と思わないか?私はいずれティアラ王女と…」
フォーンが何を言おうとしているのかと悟ったティアラの表情が曇ると、リロイが突然立ち上がり、皆の注目を浴びた。
「…皆さんにお話があります」
とても静かだったが、とても決意にみなぎった声――
ティアラがぽうっとなって見上げていると、リロイはそんなティアラの肩にそっと手を置き、口を開いた。
「明日、クリスタルパレスで住民の方々に召集をかけて広場に集まってもらいます。…僕から発表したいことがあるんです」
「へえ、何を言うつもりだよ。つまんねえこと言いやがったらぶっ飛ばすぞ」
「僕なりに決めたことを言う。今の僕が唯一できることだ。フォーン王子、あなたにも来てもらいます。必ず」
「な、私に命令するつもりか?」
「フォーン王子、そこまでに。白騎士リロイ…私も参加していいんでしょうか?」
フィリアが静謐のような眼差しでリロイを見つめると、リロイは力強く頷いた。
「もちろんフィリア女王陛下もいらして下さい。ラス、君もね。身重なのに僕の勝手な我儘でごめん」
「ううん、そんなことないよ。何を話すのか全然わかんないけど、私はリロイの味方だからね」
――ラスの笑顔は、いつだってリロイを癒す魔法の笑顔だ。
椅子に座ったリロイはラスの笑顔に勇気づけられ、テーブルの下でティアラの手をきゅっと握った。