魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイとティアラの仲が進んだことを話したくて仕方のないラスがグラースの手を引っ張り回し、フィリアたちに手を振った。
「じゃあ明日合流してみんなで行こうね。フィリア様、おやすみなさい」
「ええ、おやすみなさい。ラス王女、ちょっとこちらへいらっしゃい」
手招きをされたラスが言われるがままにフィリアの前に立つと、少し膨らんだラスの腹に掌をあてた。
「わ、あったかい…」
「健やかなる赤ん坊が生まれますように」
「んなことしなくたってチビみたいに元気いっぱいに生まれてくるっつーの。おい、早く手を離せよ」
コハクにラスを強奪されると、フィリアは笑いを噛み殺しながらラスに手を振り、部屋を出て行った。
残されたフィリアとリロイとティアラは顔を見合わせて笑みを浮かべ、ワイングラスで乾杯をした。
「で、あなたは明日何をするつもり?」
「まだ秘密です。フィリア女王陛下…あなたがここへ来てくれたから、やっと決心がつきました。僕はずっと悩んでいて…ティアラを苦しませました。でも、それも今日までです。ティアラ、変わった僕を見ていて。明日…僕は生まれ変わります」
「リロイ…。はい、明日が楽しみです…」
「じゃあ僕は席を外します。今夜は親子団らんでお過ごしになって下さい」
片膝をついたリロイがフィリアとティアラの手の甲にキスをすると、2人は同じように顔を赤くして、また顔を見合わせた。
「お、お母様、顔が赤いわ。お父様に言いつけてもいいの?」
「駄目よ。でも…素敵な人ね。カイは傭兵だったけれど、洗練されていたわ。カイと白騎士リロイはよく似ているけれど、彼の方が素敵ね」
「ふふふ、私とお母様は男性の趣味がよく似ているのね」
「…あなたとはこうしてゆっくり話す時間を持ってあげられなくて、ごめんなさい。オーフェンと私で勝手に婚約者を決めてしまって…私たちの方が、あなたを苦しめたわ」
つらそうに眉根を絞ったフィリアの手を握ったティアラは、身を乗り出してふんわりと抱きしめた。
「私こそ…お母様たちが2年前に私を旅に出してくれなかったら、リロイたちとは出会えませんでした。ねえお母様…私ね、友達ができたのよ。ラスやグラースや…毎日とても楽しいの。だからお母様、泣かないで」
フィリアは震える手でティアラを抱きしめた。
その夜は一緒に風呂に入り、夜明け前まで眠らずにベッドの中で話をして過ごした。
「じゃあ明日合流してみんなで行こうね。フィリア様、おやすみなさい」
「ええ、おやすみなさい。ラス王女、ちょっとこちらへいらっしゃい」
手招きをされたラスが言われるがままにフィリアの前に立つと、少し膨らんだラスの腹に掌をあてた。
「わ、あったかい…」
「健やかなる赤ん坊が生まれますように」
「んなことしなくたってチビみたいに元気いっぱいに生まれてくるっつーの。おい、早く手を離せよ」
コハクにラスを強奪されると、フィリアは笑いを噛み殺しながらラスに手を振り、部屋を出て行った。
残されたフィリアとリロイとティアラは顔を見合わせて笑みを浮かべ、ワイングラスで乾杯をした。
「で、あなたは明日何をするつもり?」
「まだ秘密です。フィリア女王陛下…あなたがここへ来てくれたから、やっと決心がつきました。僕はずっと悩んでいて…ティアラを苦しませました。でも、それも今日までです。ティアラ、変わった僕を見ていて。明日…僕は生まれ変わります」
「リロイ…。はい、明日が楽しみです…」
「じゃあ僕は席を外します。今夜は親子団らんでお過ごしになって下さい」
片膝をついたリロイがフィリアとティアラの手の甲にキスをすると、2人は同じように顔を赤くして、また顔を見合わせた。
「お、お母様、顔が赤いわ。お父様に言いつけてもいいの?」
「駄目よ。でも…素敵な人ね。カイは傭兵だったけれど、洗練されていたわ。カイと白騎士リロイはよく似ているけれど、彼の方が素敵ね」
「ふふふ、私とお母様は男性の趣味がよく似ているのね」
「…あなたとはこうしてゆっくり話す時間を持ってあげられなくて、ごめんなさい。オーフェンと私で勝手に婚約者を決めてしまって…私たちの方が、あなたを苦しめたわ」
つらそうに眉根を絞ったフィリアの手を握ったティアラは、身を乗り出してふんわりと抱きしめた。
「私こそ…お母様たちが2年前に私を旅に出してくれなかったら、リロイたちとは出会えませんでした。ねえお母様…私ね、友達ができたのよ。ラスやグラースや…毎日とても楽しいの。だからお母様、泣かないで」
フィリアは震える手でティアラを抱きしめた。
その夜は一緒に風呂に入り、夜明け前まで眠らずにベッドの中で話をして過ごした。