魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
それぞれがドラちゃんとケルベロスに分乗してグリーンリバーへ行き、リロイは着いた途端、街の中心を担う人物たちに声をかけた。
「チビ、小僧のあの姿…目に焼き付けとけよ」
「え、どうして?ねえコー、どうして?」
コハクに抱っこされたラスが肩を揺さぶると、やわらかく笑ったコハクは、次々集まってくる人々に声をかけているリロイを指した。
「きっとあの姿を見るのは今日が最後だからな」
「え…どういう意味…?コー、降ろしてっ。リロイに聴いてくるっ」
「だーめー!もうすぐわかるって。だから見てやれ。きっと小僧もチビに見てもらいたいと思うし」
言われている意味がよくわからずに目を白黒させているラスとは対照的に、コハクは達観した瞳をしていた。
いつもちゃらんぽらんしているが、コハクの言うことはいつも間違いないので、ラスはリロイの後姿をじっと見つめた。
…ゴールドストーン王国の紋章が刻まれた真っ白なマントと鎧――リロイの誇りでもあり、つねに身に着けていた大切な正装。
それでもいつも物事を深く考えることのないラスは、考えても全然わからないので考えるのをやめてリロイを見つめ続けた結果、視線を感じたリロイが振り返り、頬を赤く染めた。
「ら、ラス?僕…どこかおかしいかな」
「ううん、かっこいいなって思ってたの」
「こらーっ、チビ!1番かっこいいのは俺!2番も3番も俺!!おいてめえ、チビに誉められたからって調子に乗んじゃねえぞ」
リロイににじり寄ろうとしたコハクの耳にティアラがくすくす笑う声が届いた。
むっつりしたままリロイの隣に立ったティアラを睨んだコハクは、またラスをさっと抱っこすると、頬ずりをしながら不平を垂れた。
「小僧と両想いになったからって余裕かましてんじゃねえぞ。今頃チビハゲエロ王子も馬でここに向かってるはずだぜ。さーて、あいつが大人しくしてるかなー」
「コー、変なこと言っちゃ駄目。リロイ、ティアラ、コーの言うことは気にしないでね」
ある意味ラスに構ってもらえて満足の魔王がラスを強奪して城の方へ消えて行き、引っ越しが終わって機能し始めた街の見学をはじめた。
「リロイさん、街のみんなを広場に集めればいいんですよね?すぐ召集をかけますから城で待っていて下さい」
「ありがとうございます。すごく私的なことなので皆さんに迷惑をかけて申し訳ないですが…」
「いえいえ、街作りに尽力して下さったリロイさんのためですから!」
場が整いだした。
リロイの決意はいっそう強固なものとなり、ティアラの肩を抱いて引き寄せた。
「チビ、小僧のあの姿…目に焼き付けとけよ」
「え、どうして?ねえコー、どうして?」
コハクに抱っこされたラスが肩を揺さぶると、やわらかく笑ったコハクは、次々集まってくる人々に声をかけているリロイを指した。
「きっとあの姿を見るのは今日が最後だからな」
「え…どういう意味…?コー、降ろしてっ。リロイに聴いてくるっ」
「だーめー!もうすぐわかるって。だから見てやれ。きっと小僧もチビに見てもらいたいと思うし」
言われている意味がよくわからずに目を白黒させているラスとは対照的に、コハクは達観した瞳をしていた。
いつもちゃらんぽらんしているが、コハクの言うことはいつも間違いないので、ラスはリロイの後姿をじっと見つめた。
…ゴールドストーン王国の紋章が刻まれた真っ白なマントと鎧――リロイの誇りでもあり、つねに身に着けていた大切な正装。
それでもいつも物事を深く考えることのないラスは、考えても全然わからないので考えるのをやめてリロイを見つめ続けた結果、視線を感じたリロイが振り返り、頬を赤く染めた。
「ら、ラス?僕…どこかおかしいかな」
「ううん、かっこいいなって思ってたの」
「こらーっ、チビ!1番かっこいいのは俺!2番も3番も俺!!おいてめえ、チビに誉められたからって調子に乗んじゃねえぞ」
リロイににじり寄ろうとしたコハクの耳にティアラがくすくす笑う声が届いた。
むっつりしたままリロイの隣に立ったティアラを睨んだコハクは、またラスをさっと抱っこすると、頬ずりをしながら不平を垂れた。
「小僧と両想いになったからって余裕かましてんじゃねえぞ。今頃チビハゲエロ王子も馬でここに向かってるはずだぜ。さーて、あいつが大人しくしてるかなー」
「コー、変なこと言っちゃ駄目。リロイ、ティアラ、コーの言うことは気にしないでね」
ある意味ラスに構ってもらえて満足の魔王がラスを強奪して城の方へ消えて行き、引っ越しが終わって機能し始めた街の見学をはじめた。
「リロイさん、街のみんなを広場に集めればいいんですよね?すぐ召集をかけますから城で待っていて下さい」
「ありがとうございます。すごく私的なことなので皆さんに迷惑をかけて申し訳ないですが…」
「いえいえ、街作りに尽力して下さったリロイさんのためですから!」
場が整いだした。
リロイの決意はいっそう強固なものとなり、ティアラの肩を抱いて引き寄せた。