魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイが噴水のある広場を指定したので、城に向かいつつもコハクは大きな噴水のある広場で立ち止まりつつラスを撫で回していた。


「ここかー。まあここなら人は沢山集まれるだろうけどさあ、いっちょ俺が場を整えてやろう」


「コー、何をするの?」


ラスの頬にちゅっとキスをした後、コハクがぱちんと指を鳴らすと――そこにはいきなり10段ほどの段差と共に真っ白な演台が現れ、スピーチをするにはうってつけの設備がいきなり現れた。

ただ広場に居たのはラスたちだけではなく街に住んでいる住民たちも居たので、いきなり現れた演台にあっという間に群がり、召集をかける前にすでに人だかりができてしまった。


「コー、すごいすごいっ。これならみんなにもリロイの顔が見れるねっ」


「そうだろ?いやー、俺って天才すぎる!あ、チビ疲れたろ?早く城に行こうな」


…コハクに常に抱っこされているため疲れるも何もなかったのだが、にこっと笑ったラスに俄然コーフン気味の魔王は、さっさとその場を離れる。

そしてスピーチの準備をするために広場に向かっていたリロイたちは、すでにそこに設備があることに唖然としつつ、それが誰の仕業であるかすぐにわかったので、肩を竦めて苦笑。


「また影にしてやられましたね」


「魔王は私たちをたきつけたりせっついたりして応援してくれていました。…魔王の愛情はとてもわかりにくいですよね。ラスは例外ですけど」


「2年前は本当に殺してやりたいと思っていましたが…僕は駄目だな、あの時は子供でした。でも今は違います。ティアラ…」


ティアラと共に城の門扉を潜って庭に着いた時、リロイが突然脚を止めてじっと見つめた。

正直言ってリロイが一体何をするか全く予想ができていないティアラは、不安になりつつもリロイを見つめると、リロイはティアラの両肩に手を置いて腰を折った。


「僕の心は今までずっと、ラスが1番でした。でも今は違います。僕の心を占めているのが誰なのか…あなたはもう知っているはずだ。誰だと思いますか?」


「そ、そんな…もし外れたら私が馬鹿みたいじゃないですか!言いません!絶対に言いません!」


「外れてはいないと思いますけど…じゃあ、後で僕から先に言いますね。その後…あなたの気持ちを聴かせて下さい」


やけにセクシーに見えるリロイに翻弄され、顔を真っ赤にしながらも、頷いた。

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