魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「皆さん、今日は忙しいの、に…あれ?」
予想以上に人が集まってしまったため、声を張り上げなくては声が届かないので、大きく息を吸い込んで話し始めたのだが…
リロイの声は何倍、何十倍にも大きくなり、すし詰め状態の人々全員が聴こえる程に増幅されていた。
それが誰の仕業かすぐにわかったリロイが振り返ると、さも“俺のおかげだ”と言わんばかりのコハクが親指を立てていて、また苦笑が沸く。
「えーと…皆さん、今日は忙しいのに集まってくれてありがとう。今日は僕から皆さんに話があります」
せめて最前列に並んでいる人たちの顔だけでも、と思ったリロイが皆を見渡していると――その中にフォーンの姿があり、凄まじい形相で睨みつけられたリロイは、微笑を引っ込めた。
しばらくの間人々のざわめきが止まらなかったので、敢えて静かになるのを待っていると、リロイの意図を読んだ人々が徐々に静かになってゆく。
リロイはそのタイミングを見計らって静かにまた話し始めた。
「僕には…愛している人が居ます」
「きゃっ!」
人々がどよめく前に声を上げたのはラスだった。
コハクに抱っこされて座りながらも、こんな大勢の人々の前で愛の告白をしたリロイが完全な勇者様に見えてしまったラスは、コハクの首にしがみつきながらぼそり。
「やっぱりリロイって勇者様だね、かっこいい」
「はあああ?俺が何度でも愛の告白してやるし!…決めた!後で俺も…なんでもねえし」
悪だくみをしている時のにたり笑いを浮かべたコハクの頬をラスが引っ張っていると、リロイがラスに小さく手を振り、どよめく人々に身体を向けて再開。
「ですが僕は…ゴールドストーン王国の白騎士です。とても彼女とは身分が釣り合いません。でも…彼女に手の届く場所に立ちたい。だから皆さん…僕は…クリスタルパレスのリーダーを決める選挙に立候補します」
…広場が爆発した。
歓声が沸き、誰かが楽器を持ち込んでいたのかラッパの音が吹き鳴らされ、皆が望んでいた展開になったことを喜ぶ。
ティアラが顔を真っ赤にし、ラスが脚をばたばたさせていると、リロイは最前列に居るフォーンに微笑みを浮かべながらマントを外し、今まで誇りでもあった白騎士の鎧の留め金を外した。
「ラス、僕は今日で白騎士をやめるよ」
「うん。リロイ…今までありがとう」
ラスが涙ぐみ、リロイがティアラに手を差し伸べる。
「ティアラ、こちらへ」
世紀の告白がはじまった。
予想以上に人が集まってしまったため、声を張り上げなくては声が届かないので、大きく息を吸い込んで話し始めたのだが…
リロイの声は何倍、何十倍にも大きくなり、すし詰め状態の人々全員が聴こえる程に増幅されていた。
それが誰の仕業かすぐにわかったリロイが振り返ると、さも“俺のおかげだ”と言わんばかりのコハクが親指を立てていて、また苦笑が沸く。
「えーと…皆さん、今日は忙しいのに集まってくれてありがとう。今日は僕から皆さんに話があります」
せめて最前列に並んでいる人たちの顔だけでも、と思ったリロイが皆を見渡していると――その中にフォーンの姿があり、凄まじい形相で睨みつけられたリロイは、微笑を引っ込めた。
しばらくの間人々のざわめきが止まらなかったので、敢えて静かになるのを待っていると、リロイの意図を読んだ人々が徐々に静かになってゆく。
リロイはそのタイミングを見計らって静かにまた話し始めた。
「僕には…愛している人が居ます」
「きゃっ!」
人々がどよめく前に声を上げたのはラスだった。
コハクに抱っこされて座りながらも、こんな大勢の人々の前で愛の告白をしたリロイが完全な勇者様に見えてしまったラスは、コハクの首にしがみつきながらぼそり。
「やっぱりリロイって勇者様だね、かっこいい」
「はあああ?俺が何度でも愛の告白してやるし!…決めた!後で俺も…なんでもねえし」
悪だくみをしている時のにたり笑いを浮かべたコハクの頬をラスが引っ張っていると、リロイがラスに小さく手を振り、どよめく人々に身体を向けて再開。
「ですが僕は…ゴールドストーン王国の白騎士です。とても彼女とは身分が釣り合いません。でも…彼女に手の届く場所に立ちたい。だから皆さん…僕は…クリスタルパレスのリーダーを決める選挙に立候補します」
…広場が爆発した。
歓声が沸き、誰かが楽器を持ち込んでいたのかラッパの音が吹き鳴らされ、皆が望んでいた展開になったことを喜ぶ。
ティアラが顔を真っ赤にし、ラスが脚をばたばたさせていると、リロイは最前列に居るフォーンに微笑みを浮かべながらマントを外し、今まで誇りでもあった白騎士の鎧の留め金を外した。
「ラス、僕は今日で白騎士をやめるよ」
「うん。リロイ…今までありがとう」
ラスが涙ぐみ、リロイがティアラに手を差し伸べる。
「ティアラ、こちらへ」
世紀の告白がはじまった。