魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイに名を呼ばれたティアラに人々の注目が集まり、元々人見知りの王女は緊張して脚が震えて椅子から立ち上がれずにいた。
「ティアラ、頑張ってっ」
「え、ええ…。リロイは一体何を…」
「ばーか、早く行けっつーの」
隣のコハクに背中をぐいぐい押されて立ち上がったティアラは、10歩程先の演台にたどり着くまでの時間を30分にも1時間にも感じながらも、ようやくリロイの隣に立った。
「り、リロイ?何を…するの…?」
「あなたはここに立っていて。それだけでいいですから」
安心させるように肩を抱いてきたリロイの表情は少し緊張しており、また民衆に視線を戻すと、ティアラを引き寄せた。
「彼女が僕の愛しい人です。ですが、ティアラは僕ではない男と結婚します。…僕はそれが許せない。だから…僕はここで、ティアラの婚約者に決闘を挑みます。そして勝利したら…ティアラ、僕の求愛を受け入れて下さい」
「!!り、リロイ…っ!」
ティアラの瞳には一気に涙が溜まり、再び広場からは歓声が爆発した。
マントも鎧も外したリロイは、ただのひとりの男。
それでもティアラにとっては、自分だけの勇者様。
「リロイ…必ず勝って下さい。私…ここで見ています。あなたの勝利を祈っています!」
「ありがとうございます。…フォーン王子、どうぞこちらへ。僕の挑戦状を受けてもらえますよね?」
リロイが最前列で顔を強張らせているフォーンに手を差し伸べると、周りの人々が次々にフォーンの身体を押して壇上へと続く階段の前まで連れ出した。
「そ、そんな…何故私がお前の挑戦状を受けねばならないんだ!?私は受けないぞ!お前と勝負する理由もない!」
「男だろうが!男と男の勝負をして来い!言っとくけど俺たちみんなリロイさんの味方だからな!」
「そうだそうだ!お前みたいなチビでハゲた男と可憐なティアラ王女を結婚させてなるものか!リロイさんは強いんだからな!コテンパンにされて来い!」
…誰ひとりとして味方についてもらえず、重たい身体を引きずるようにして階段を上がると、静かな瞳をしたフィリアがふわりと笑いかけてきた。
「あなたが白騎士リロイ…いえ、リロイに勝てたならば、私も快くあなたをレッドストーン王国の次期王として迎えましょう」
「そんな…フィリア女王陛下…」
コハクがどこからか二振りの剣を用意してリロイに投げた。
放物線を描いて飛んできた剣を見事にキャッチしたリロイは、フォーンに剣を差し出した。
「ティアラ、頑張ってっ」
「え、ええ…。リロイは一体何を…」
「ばーか、早く行けっつーの」
隣のコハクに背中をぐいぐい押されて立ち上がったティアラは、10歩程先の演台にたどり着くまでの時間を30分にも1時間にも感じながらも、ようやくリロイの隣に立った。
「り、リロイ?何を…するの…?」
「あなたはここに立っていて。それだけでいいですから」
安心させるように肩を抱いてきたリロイの表情は少し緊張しており、また民衆に視線を戻すと、ティアラを引き寄せた。
「彼女が僕の愛しい人です。ですが、ティアラは僕ではない男と結婚します。…僕はそれが許せない。だから…僕はここで、ティアラの婚約者に決闘を挑みます。そして勝利したら…ティアラ、僕の求愛を受け入れて下さい」
「!!り、リロイ…っ!」
ティアラの瞳には一気に涙が溜まり、再び広場からは歓声が爆発した。
マントも鎧も外したリロイは、ただのひとりの男。
それでもティアラにとっては、自分だけの勇者様。
「リロイ…必ず勝って下さい。私…ここで見ています。あなたの勝利を祈っています!」
「ありがとうございます。…フォーン王子、どうぞこちらへ。僕の挑戦状を受けてもらえますよね?」
リロイが最前列で顔を強張らせているフォーンに手を差し伸べると、周りの人々が次々にフォーンの身体を押して壇上へと続く階段の前まで連れ出した。
「そ、そんな…何故私がお前の挑戦状を受けねばならないんだ!?私は受けないぞ!お前と勝負する理由もない!」
「男だろうが!男と男の勝負をして来い!言っとくけど俺たちみんなリロイさんの味方だからな!」
「そうだそうだ!お前みたいなチビでハゲた男と可憐なティアラ王女を結婚させてなるものか!リロイさんは強いんだからな!コテンパンにされて来い!」
…誰ひとりとして味方についてもらえず、重たい身体を引きずるようにして階段を上がると、静かな瞳をしたフィリアがふわりと笑いかけてきた。
「あなたが白騎士リロイ…いえ、リロイに勝てたならば、私も快くあなたをレッドストーン王国の次期王として迎えましょう」
「そんな…フィリア女王陛下…」
コハクがどこからか二振りの剣を用意してリロイに投げた。
放物線を描いて飛んできた剣を見事にキャッチしたリロイは、フォーンに剣を差し出した。