魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
リロイはティアラの手の甲を取って見上げると、震える黒瞳で見下ろしてくるティアラをじっと見つめた。
「僕はあなたにあげられる指輪も用意していないし、身分もありません。ですが…あなたは迷い続ける僕をずっと励ましてくれて、ずっと待っていてくれました。あなたの言葉にどれだけ励まされたことか…日増しにあなたへの想いが募りました。ティアラ…あなたを幸せにしてやれるか僕にはわかりません。ですが、僕はあなたを愛している。ティアラ、僕の求愛を受け入れて下さい」
「はい!はい、リロイ!」
感激のあまり首に抱き着いてきたティアラを抱っこして持ち上げると、拍手と歓声が爆発した。
リロイは泣き止まないティアラの頬に何度もキスをして、何度も背中を擦った。
そうしているうちにラスを抱っこしたコハクと、フィリアとグラースが壇上に戻ってくると、まだ縮こまっているフォーンがガードマンたちの手によって壇上から引きずりおろされる。
「リロイ…あなたにティアラを嫁がせるわ。あなたがレッドストーン王国の王となるのよ」
「フィリア女王陛下…いえ、僕は王国を継ぐ器にありません。それに僕はこのクリスタルパレスのリーダー選に立候補しました。ここのリーダーに選ばれたら、僕はここでティアラと暮らしていきます。どうかお許し下さい」
「まあ…王にはなりたくないの?フォーン王子とは全く違うのね」
「ここに住んでいる皆さんが僕の背中を押してくれました。だから僕が当選したら、皆さんのために尽力を尽くして生きていきます。ティアラ…ついて来てくれますか?」
「もちろんです!お母様…ごめんなさい、私…」
片時も離さないといわんばかりに手を固く握り合っているリロイとティアラの姿に瞳を細めたフィリアは、ようようと首を振った。
「いいのよ。だけどもし当選しなかったら、あなたにはレッドストーン王国の王になってもらうわ。ふふ、なんだか優先順位がおかしいわね」
――ティアラは、コハクに抱っこされているラスに目を遣った。
駆け寄りたくても遠慮してそうしなかったのか――ラスと目が合うと、コハクの腕の中でもがいて降ろしてもらったと思ったら、いきなり飛びついてきて倒れそうになった。
「ラス…私…リロイのお嫁さんになれるの。すごいことよね…ラス…あなたがずっと応援してくれたおかげだわ」
「ううん、ティアラが諦めなかったからだよ!ティアラ、おめでとう!ほんとにおめでとう!」
ラスが泣きじゃくった。
ティアラもついつられて泣きじゃくり、広場に集まった人々からの歓声が止むことはなかった。
「僕はあなたにあげられる指輪も用意していないし、身分もありません。ですが…あなたは迷い続ける僕をずっと励ましてくれて、ずっと待っていてくれました。あなたの言葉にどれだけ励まされたことか…日増しにあなたへの想いが募りました。ティアラ…あなたを幸せにしてやれるか僕にはわかりません。ですが、僕はあなたを愛している。ティアラ、僕の求愛を受け入れて下さい」
「はい!はい、リロイ!」
感激のあまり首に抱き着いてきたティアラを抱っこして持ち上げると、拍手と歓声が爆発した。
リロイは泣き止まないティアラの頬に何度もキスをして、何度も背中を擦った。
そうしているうちにラスを抱っこしたコハクと、フィリアとグラースが壇上に戻ってくると、まだ縮こまっているフォーンがガードマンたちの手によって壇上から引きずりおろされる。
「リロイ…あなたにティアラを嫁がせるわ。あなたがレッドストーン王国の王となるのよ」
「フィリア女王陛下…いえ、僕は王国を継ぐ器にありません。それに僕はこのクリスタルパレスのリーダー選に立候補しました。ここのリーダーに選ばれたら、僕はここでティアラと暮らしていきます。どうかお許し下さい」
「まあ…王にはなりたくないの?フォーン王子とは全く違うのね」
「ここに住んでいる皆さんが僕の背中を押してくれました。だから僕が当選したら、皆さんのために尽力を尽くして生きていきます。ティアラ…ついて来てくれますか?」
「もちろんです!お母様…ごめんなさい、私…」
片時も離さないといわんばかりに手を固く握り合っているリロイとティアラの姿に瞳を細めたフィリアは、ようようと首を振った。
「いいのよ。だけどもし当選しなかったら、あなたにはレッドストーン王国の王になってもらうわ。ふふ、なんだか優先順位がおかしいわね」
――ティアラは、コハクに抱っこされているラスに目を遣った。
駆け寄りたくても遠慮してそうしなかったのか――ラスと目が合うと、コハクの腕の中でもがいて降ろしてもらったと思ったら、いきなり飛びついてきて倒れそうになった。
「ラス…私…リロイのお嫁さんになれるの。すごいことよね…ラス…あなたがずっと応援してくれたおかげだわ」
「ううん、ティアラが諦めなかったからだよ!ティアラ、おめでとう!ほんとにおめでとう!」
ラスが泣きじゃくった。
ティアラもついつられて泣きじゃくり、広場に集まった人々からの歓声が止むことはなかった。