魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
2年前は、リロイに恋い焦がれるあまり…交換条件を持ち出した末での一夜だった。


だが、今は違う。

リロイが求めてくれて、決闘までしてくれてまで…王族殺しになっても構わないという強い意志を持って求めてくれたのだ。


「ティアラ…その手を外してくれないと困るんですけど」


「…だ、だって…私…ラスに比べればぷくぷくしてるし…胸だってコンプレックスだし…」


ティアラはまだローブを着たまま胸の前で腕を交差させて脱がされるのを阻んでいた。

ひとつになりたいという気持ちはあっても、恥ずかしいという思いが先立ってなかなか踏み切れないティアラの心情を察したリロイは、ティアラの額にキスをして隣に身を横たえた。


「僕だって恥ずかしいのは同じですよ。2年前はただがむしゃらで…だけど今はあなたがはっきり見える。僕がはっきり見えますか?」


「ええ…見えます。あなたの金の髪も瞳も…全部綺麗。でも私は…」


「ラスと比べるのはおかしいですよ。僕はラスとそんな関係じゃなかったし、本音を言うと…僕はあなたを早く抱きたい。恥ずかしいならこうしましょう」


リロイから腰を抱いて引き寄せられて抱きしめられると身体がぴったり密着し、そうしながらリロイの手がバスローブの紐をゆっくり解いた。

緊張と不安にティアラの身体は揺らいだが、今夜はもう絶対に避けられないし、リロイに抱かれたい。

強くそう思ったティアラは、頑なに交差させていた腕を解き、熱い瞳でリロイを見つめた。


「お願い…怖くしないで下さい…」


「…僕はあなたしか知らないし、あなたは僕しか知らない。だからどうすれば優しくできるのかわかりませんが…努力します」


くすりと笑い合うと、リロイはゆっくりバスローブを脱がせながらも、ティアラの真っ白な肌に見入っていた。

暗闇の中にもよく映える真っ白な肌に触れると、ティアラが指を噛んで声を我慢したので、ますます愛しさが募る。


「大切にします。影とラス以上に幸せになりましょう。あなたを愛しています。ずっと…」


「リロイ…っ、嬉しい…!私もずっと、あなたを愛しています…!」


身体が重なり、互いにとろけるような表情を浮かべながら舌を絡め合い、ベッドを軋ませた。

顔の横で指を絡めて何度も何度も愛し合っては少し休憩を挟んで昔話に花を咲かせて、そしてまた愛し合う――

――翌朝、彼らを起こしに行く者は誰ひとりとして居なかった。

誰もがリロイとティアラを祝福しながら、にやにやしていた。

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