魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
朝日が部屋に差し込む時間にようやく目が覚めたリロイは、隣で疲れ果てたように眠っているティアラの優しい寝顔に見惚れた。

…2年前のあの一夜は誰にも気付かれないように慌ただしく行われて、余韻もへったくれもなかったのだが…ティアラの全てを見て知ることができて、もっともっと愛しくなった。


「ティアラ、朝です。そろそろ起きないと、影たちからものすごくからかわれると思いますよ」


「…ん…リロイ…?おはようございます…」


「まだ寝ぼけてるんですか?おはようございます、そろそろ起きましょう。昨日はディナーを食べ損ねたので、さすがにお腹が空きました」


リロイの長い腕が伸びてティアラを引き寄せて抱きしめると、ばっちり身体を見られてしまったティアラが顔を真っ赤にして身をよじった。

そんなティアラの反応もお見通しだったリロイは、ティアラの細い肩にキスをして首筋に顔を埋めた。


「それと…朝日の中で見たあなたの身体もとても綺麗だ。こんなに綺麗だなんて…もっと早く気付くべきでした」


「そ、そんな…リロイ…ありがとう。その…あなたの身体も…その…」


2人して真っ赤になりながら布団に潜り込み、唇の音がするほど何度も舌を絡め合ったキスをした後、さすがにそろそろラスたちと合流しないとまずいと感じたリロイは、布団に潜ったまま手を伸ばして床に落ちたバスローブを拾い上げた。


「ティアラ、これを。先にシャワーを浴びてきて下さい。僕も後で…」


「い、一緒に浴びませんか?その…急がないといけないんでしょう?わ、私なら平気ですから」


――リロイの頭にコハクの口癖でもある“爆発する!”という言葉が浮かび、思わず噴き出した。

ティアラがきょとんとすると、バスローブを腕に抱かせて身体を隠してあげながらベッドから出てバスルームに向かったリロイは、ほんのり頬を赤く染めた。


「僕だって恥ずかしいですけど、これからはこうして一緒にお風呂に入ったりしましょう。ああ早く急がないと影が乗り込んでくるかも」


「そ、そうですね、じゃあリロイ、私が身体を洗ってあげるわ。あと私もお腹が空いたから何か作ります。一緒に食べましょう」


2人で泡まみれになりながら、幸せを噛み締めた。

愛し愛される喜びに魂が震えて、笑い声を上げながら身体を洗い合い、何度もキスをした。
< 587 / 728 >

この作品をシェア

pagetop