魔王と王女の物語②-Chain of destiny-【完】
「もうっ、コーどこに行ってたの?」
「ちょっと散歩ー。ふふふふ」
不気味な笑い声を漏らしながら嫌がらせのためにデスのローブをすっぽり着てみせたコハクは、早速デスからローブを引っ張られて無言の抗議をされながらもそれを無視してソファに座って脚を組んだ。
「ティアラたちはそろそろ起きてくるかなあ?その…起こしにくいよね」
ラスがベッドの上で正座しながらもじもじしてしまうと、コハクはラスを手で招きよせて膝に乗せつつ頬をぺろぺろ舐めた。
それをデスが真似しようとしたので、それは許せない魔王は、デスの頬を思い切り手で押して遠ざけさせた。
「小僧はランニングしてたし、ボインはキッチンでなんか作ってたぜ。美味そうで甘い匂いのやつ」
「え、そうなのっ?コー、行こ!フィリア様とグラースを起こしてみんなで食べよっ」
昨日よりもまたラスの腹が大きくなった気がしたコハクは、愛しそうに何度も大きな手で腹を撫でて顔を寄せてキスをした。
人の身体の中に人が――未だに信じることのできない神秘的なラスの姿はいつ見ても美しいが、ラス自身は日増しに大きくなる腹を喜びつつも、唇を尖らせる。
「最近ドレスが窮屈になったの。体型が崩れて戻れなくなったらどうしよう」
「んなこと気にすんなって。抱き心地がさらに良くなっていいじゃん。そろそろマタニティドレスの出番だなー、この前買ったピンクの可愛いやつ希望!」
「ほんと?体型が戻らなくても平気?デスはどう思う?」
ようやくローブを脱がして取り戻したデスはラスにそう問いかけられて首を傾けると、ラスの金の髪を撫でた。
「…?…体型が…何?…俺…ラスのこと…好き」
「こらお前!なにどさくさに紛れて告ってんだ!チビはひとかけらもやんねえからな!チビ、行くぞ!」
さっとラスを抱っこしたコハクは、なんだかきゅんとした顔をしているラスに焦りまくりながらもドアを蹴破る勢いで部屋から出た。
途中、フィリアやグラースの部屋に寄って合流し、キッチンに着いた時は人数分のパンケーキと大量の生クリームと蜂蜜がテーブルに並べられていて、ラスが興奮。
「美味しそうっ。ティアラおはよっ、ね、ね、どうだったっ?」
「え!?ら、ラスおはよう。どうだった…っていうのは…どういうこと?」
「とぼけないでっ。ね、どうだったっ?」
はしゃいで腕を引っ張り回してくるラスに苦笑しつつ、顔を上げればコハクのにやにや笑いと出会い、渋面。
「後でね。2人だけの秘密よ」
コハクはフォーンのことを黙っていた。
教える必要はないと思いながらも、床に散らばったフォーンの少ない頭髪だけはきっちり掃除させていた。
「ちょっと散歩ー。ふふふふ」
不気味な笑い声を漏らしながら嫌がらせのためにデスのローブをすっぽり着てみせたコハクは、早速デスからローブを引っ張られて無言の抗議をされながらもそれを無視してソファに座って脚を組んだ。
「ティアラたちはそろそろ起きてくるかなあ?その…起こしにくいよね」
ラスがベッドの上で正座しながらもじもじしてしまうと、コハクはラスを手で招きよせて膝に乗せつつ頬をぺろぺろ舐めた。
それをデスが真似しようとしたので、それは許せない魔王は、デスの頬を思い切り手で押して遠ざけさせた。
「小僧はランニングしてたし、ボインはキッチンでなんか作ってたぜ。美味そうで甘い匂いのやつ」
「え、そうなのっ?コー、行こ!フィリア様とグラースを起こしてみんなで食べよっ」
昨日よりもまたラスの腹が大きくなった気がしたコハクは、愛しそうに何度も大きな手で腹を撫でて顔を寄せてキスをした。
人の身体の中に人が――未だに信じることのできない神秘的なラスの姿はいつ見ても美しいが、ラス自身は日増しに大きくなる腹を喜びつつも、唇を尖らせる。
「最近ドレスが窮屈になったの。体型が崩れて戻れなくなったらどうしよう」
「んなこと気にすんなって。抱き心地がさらに良くなっていいじゃん。そろそろマタニティドレスの出番だなー、この前買ったピンクの可愛いやつ希望!」
「ほんと?体型が戻らなくても平気?デスはどう思う?」
ようやくローブを脱がして取り戻したデスはラスにそう問いかけられて首を傾けると、ラスの金の髪を撫でた。
「…?…体型が…何?…俺…ラスのこと…好き」
「こらお前!なにどさくさに紛れて告ってんだ!チビはひとかけらもやんねえからな!チビ、行くぞ!」
さっとラスを抱っこしたコハクは、なんだかきゅんとした顔をしているラスに焦りまくりながらもドアを蹴破る勢いで部屋から出た。
途中、フィリアやグラースの部屋に寄って合流し、キッチンに着いた時は人数分のパンケーキと大量の生クリームと蜂蜜がテーブルに並べられていて、ラスが興奮。
「美味しそうっ。ティアラおはよっ、ね、ね、どうだったっ?」
「え!?ら、ラスおはよう。どうだった…っていうのは…どういうこと?」
「とぼけないでっ。ね、どうだったっ?」
はしゃいで腕を引っ張り回してくるラスに苦笑しつつ、顔を上げればコハクのにやにや笑いと出会い、渋面。
「後でね。2人だけの秘密よ」
コハクはフォーンのことを黙っていた。
教える必要はないと思いながらも、床に散らばったフォーンの少ない頭髪だけはきっちり掃除させていた。